2つの重要な発見
中庭の目立たない場所にあるベンチに、メリンダを座らせ
リリーナはゆっくりと肩をさすっていた。
あれから目線もうつろで、小さく震えていたので
落ち着くまでは話すのを止めよう、と決めていた。
「…ふぇ…」
「ふぇっっくしょーーんっ!!」
台無しだ。
そう思いながらリリーナはくしゃみなど無かったかのように
肩をさすり続けた。
「リリーナ、それは流石に、反応せざるを得ないわ。ふふ…」
「あ、気付きますよね…やっぱり。」
と言いながらも、ようやく笑えるまでに回復したメリンダを見て
リリーナはにっこりと微笑んだ。
けれどすぐに真剣な顔になり言った。
「顔色、ひどいです。」
「ええ…だと思うわ…」
「彼女…明らかに階段からジャンプしてましたよね…」
メリンダは首を小さく横に振った。
「ああ、いいの、私のせいにされて足を怪我するのは知っていたの。
その事じゃなくて…リリーナが危ない目にあったことに動揺しているわ。
マリエナさんの先に顔が見えた時は、もう…肝を冷やしたわ。
本当に…無事でよかった…。」
「え!そんな……私のことで元気を無くさないでください……」
「いいえ、無くしてしまうの!もうっ、わかってないわ!
…でも、リリーナのおかげで気分が少しマシになったから許すわ。」
「ええ!なんか私が悪いことをした感じになってません?」
「ふふ。」
「ふふふっ!」
メリンダが動揺していた理由を聞いて
考えても無かったものだったので、少し驚きながらも、
いつもの調子が戻ってきた彼女を見て、ひと安心したリリーナだった。
*
いつまでもメリンダの眼前に立っているのも
おかしいかと思い、リリーナは彼女の隣に座った。
落ち着いたところで、メリンダが話し始める。
「…ちょっと混乱しているわ。衝撃的な事が2つあったの。
ありえないはずなんだけど…。」
「先程の出来事で、ですね?」
メリンダはこくりと頷く。
「一つはね、先見で見た結果と違うことが起こったの。」
「えっ!!!?…それって、初めてじゃないですか?
メリンダ様がずっと変えようと頑張っても、どうしても変わらなかったって
言ってた事ですよね?」
「そうなの。だから驚いているわ。私が見た内容は、彼女が階段から落ちて、怪我をする。
そこにたまたま通りがかったヴェクトルが、彼女を助けて私を激しく叱咤する。
…あなたが来る事も、あの方が助けに入る事も見えてなかったの。」
「あの方って、レオン様ですか?」
と言ったところで、メリンダが少し目を開いて、
リリーナににじり寄った。
「えっ、レオン様って…し…食堂で倒れたリリーナを運んでくれた方!?」
「は、はい。そうです…けど…?」
「まさか……彼はレアキャラ…うーん…そうなのね。
あの時は、色々言われた後の疲弊と、倒れたリリーナのショックとで
お顔が見えてなかったわ。そうね、でも条件が……。」
ぶつぶつとひとりで呟き始めた。
リリーナはまた遠くに行ってしまったメリンダを
呼び戻すように、声をかけた。
「も…もしもし、メリンダ様…?」
「あ、あああー!ごめんなさいね。
何だか私、更に混乱しているわ…
とりあえずは、先見の結果が違った、てことね。」
一息つき
メリンダは話を続けた。
「もう一つ。さっきより大変な事実かもしれないわ。」
……マリエナさんも先見の力を持っているわ…」
「なんですって!!?」
リリーナは衝撃的な内容にベンチからずり落ちそうになった。
「そうよね。私もさっき知って驚いたのだけど、だとしたら、
私が回避しようとしても避けられなかったっていうのに、納得がいくのよね。」
「彼女は、自ら、そうなるように動いている…。」




