90.流れ星が降ってくる
今年もお付き合いいただきありがとうございました。
来年も皆様、コロナに負けず元気に行きましょう♪
俺達が見守る中、空から降ってくる流れ星。
元居た世界だと流れ星に願い事を3回言うと叶うっていうけれど、こちらの世界ではどうなんだろうか。
「は?願い事が叶う、ですか?初めて聞きましたが」
「何かの儀式かしら。興味深いわね」
どうやらヨサク達もチチカも知らないという事は無いんだろうな。
それにそもそもこの世界では流れ星を眺めるなんて風習がないんだろうな。
夜は夜警以外は明かりが勿体ないから基本的に早めに寝るし。
「あの、そもそも流れ星って言うのが降って来て大丈夫なんですか?」
「は?」
ヨサクが不安そうに聞いてくるけど、大丈夫も何もないだろう。
流れ星なんて言うのは基本的に大気圏との摩擦で燃え尽きるんだから。
そう笑い飛ばそうと思ったんだけど、あれ?
よく見ると流れ星が消えないな。
「もしかして地上まで落ちてくるのか!?」
魔法があったり神様パワーがあったりする世界なんだ。
流れ星というか隕石の1つや2つ地上まで降って来ても不思議じゃないのか。
ただ問題は今視界に映っている流れ星が1つどころか見える範囲でも数百って単位なんだが。
その数の隕石が降ってきたら地球で言えば恐竜時代の終焉、氷河期の到来など世界規模で大災害が巻き起こりそうだ。
「とにかく魔法障壁で街全体を防御。
万が一、街に隕石が落ちて被害が出た時は早急に救助出来るように警戒してくれ」
「はっ。承知いたしました!」
改めて空を見上げれば今も新たに幾つかの流れ星が生まれている。
「願わくばあの流星群が一過性のもので、明日には止まってくれれば良いんだが」
「そうですね」
流石に今後いつ空から隕石が降ってくるかを心配しながら生活するのは嫌だ。
そんなことになったら毎日上を向いて歩くことになってしまう。
と、そこへマスオが大声を上げた。
「大変だ。1つこっちに落ちてくるだよ!!」
「「なんだって!?」」
慌ててマスオの指さす方を見れば、確かに1つ光る流れ星がこっちに向けてグングンと近づいて来ていた。
向うの質量次第だけど、あの速度で突撃されたら障壁がもつか怪しい。
「こうなったら魔法を撃ちこんで破壊するか」
「ちょっと待って」
さっとチチカが俺を手で制しながらじっくりと流れ星を睨みつけている。
その間にも凄い速度で近付いてくるのであまり時間はないんだが。
直前で破壊したらその破片とかも大変そうだし。
チチカは指を立てたり親指と人差し指で丸を作ってみたりしながら考えた後、ぽんっと手を打った。
「……うん。大丈夫だわ」
「えっと、なにがだ?」
「あれの軌道よ。わずかではあるけれど、王都に直撃はしないわ」
断言するチチカ。
そう言われて改めて流れ星を見るけど、うーん分からないな。
俺の目には真っすぐこっちに向かって来ているように見えるが、でも魔法の専門家であるチチカが言うのだからここは信じてみよう。
「分かった。じゃあ皆は流れ星が落下した後、すぐに対応出来るように準備してくれ。
恐らくかなりの衝撃と、もしかしたら大爆発が起きる可能性があるから」
流れ星の成分が何かは分からないけど、大きさは少なくとも数メートルなんてことは無いだろう。
数十メートルか数百メートルか。それ以上になると本当に直撃じゃなくても領地全体が無事じゃいられなくなる。
俺達が固唾を飲んで見守る中、流れ星は肉眼でその形を確認できるところまで来た。
どうやら丸もしくは楕円形の岩みたいだな。
それがチチカの言った通り若干王都から逸れて飛んできていた。
数秒後。
隕石は遂に王都の東側へと落ちた。
「……落ちた、よな?」
「ええ。間違いなく」
思わずそう訊ねてしまうほど、待ち構えていた衝撃も爆発も起きなかった。
どういうことだろうか。
「まあいい。とにかく調査班を編成して確認に向かうぞ」
「はい。ですが、陛下はここでお待ちを。もしかしたら何か危険があるかもしれませんから」
「え、いや、ちょっと」
「良いですね。陛下は大人しく待っていてください」
そう言ってヨサクは数人の部下と共に流れ星の落下地点へと向かって行ってしまった。
くっ。流れ星を直に見るとか面白そうだったのに。
その後、ヨサクから流れ星は東に作った山の山頂部分に突き刺さるようにして落ちていたことと、今のところ特に危険は無さそうだという報告が入り、今夜は見張りを付けて明日、明るくなってから改めて見分しようという事になった。




