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84/111

84.ボスは最後に出てくるものです

地上に降り立った俺はみんなを見て残念な事実を伝えた。


「みんな。まだ災厄は終わってないぞ」

「え、でも無事に大型の厄獣は今ので無事に鎮静化しましたよ?」

「ああ。だがよく考えてくれ。

この程度で『大災厄』と言うにはヌルイだろう?」

「「あっ!!」」


そうなのだ。

最初の小柄な厄獣で国未満の領地は滅びるかもしれない。

次の大型の厄獣で小国なら滅びるだろう。

でも中堅の国なら被害は出ても撃退出来るし、大国なら大した被害も出さずに済む可能性がある。

大災厄なんて大仰な表現をするなら大国でも油断すれば大打撃を受けるくらいを想定すべきだ。

そしてそれを証明するものがそろそろ地上からでも見えるだろう。


ズシンッ。ズシンッ。


地響きと共に姿を現したそれは、高さ100メートルを超える怪獣だった。


「……ゴ○ラ?」


ミツキがボソッと呟く。

でもまさにそんな感じだな。

巨体の割に何故か短い足で二足歩行をしてるし、首の向きから考えてももう四足では走れまい。

だから移動速度は決して速くはない。

それでもその巨体はそれだけで十分脅威だし、ここまでと違ってあのサイズに対応出来る施設がない。

砦じゃあ魔法陣が弱くて穢れを祓い切れないだろうし、王都横の山は登らずに殴り壊されそうだ。

あと仮にゴジ○に近いスペックだと考えるなら謎のブレスも吐いてくるかも、って!


「GYAOOOOOOッ!!」


大怪獣の背びれ?が尻尾の方から光りだしたと思ったら予想通りブレスを吐いて来やがった。

そのブレスは王都の魔法障壁に直撃して激しい衝撃と閃光を撒き散らした。

吹き飛ばされた俺達は慌てて顔をあげた。


「王都は無事か!?」

「は、はい。何とか障壁が持ちこたえました!!」


ふぅ。そうか。

ボーンドラゴン以上のブレスを想定して造った障壁だったけど、お陰で何とかなったな。

とはいっても次も耐えられるかは分からない。


「みんな。あのデカブツを倒すぞ」

「はい。しかし勝てるのでしょうか」

「なに、あの巨体だ。死角は幾らでもある。

奴の見えない位置から削って行こう。

危なそうなのは、踏みつけと、尻尾の振り回し、あと雷なんだかよく分からない謎のエネルギー攻撃だ。

特に最後のは死角とか関係なしにばら蒔かれる可能性があるから魔法防御は怠らないでくれ」

「「はい!」」


あの体型だとパンチや噛みつきが地上に届くとは思えない。

……あれ?そうやって考えると普段どうやって食事をするんだ?

実はあの見た目で森の木々や木の実を食べる草食だったり?

まぁ気にしない方がいいか。


「ヨサク達は側面から足、出来れば尻尾の付け根を狙って攻撃。出来れば切断を狙ってくれ。

上手く尻尾が切り落とせたら奴はバランス的に立って居られなくなるだろう。

そうしたら全員で頭をボコる。

くれぐれも潰されないように気を付けろ」

「はっ、承知致しました!」

「俺とチチカの魔法とで奴の顔付近を攻撃してヘイトを確保して進行方向を王都から反らすぞ。

それさえ出来ればかなり時間に余裕が出来る」

「分かったわ」

「お兄さん、私は?」

「ミツキは、うーん」

「ええっ」


言い渋る俺に眉を寄せるミツキ。

とは言っても、役目がない訳じゃなくて危険な大本命をお願いするか悩んだだけだ。

まぁ安全な方でいくか。


「ミツキは奴の背中に登ってヒレを1枚破壊してくれ。

うまく行けばブレス攻撃を阻止できるかもしれない」

「なるほど。やってみるわ」


ちなみにもうひとつの案はミツキの突きスキルの威力に期待して俺達が意識を反らした隙に一気に奴の心臓を狙うというものだ。

ただやはり向こうも一番警戒してる筈だし、普通の生き物のように心臓が急所とも限らない。

そうして俺達は、攻撃を開始した。


「『閃光』」

「『爆破』」

「GYAUッ」


俺とチチカの魔法が怪獣の顔を襲う。

まぁどちらも視界を奪うのが狙いだ。

それは上手く言ったとも言えるんだけど奴め。矢鱈めったら手や尻尾を振り回したり、電撃を周囲に撒き散らし始めた。

これじゃあ他の皆が近付けない。


「チチカ。視界を奪うのではなく、嫌がらせに近いものに変更だ」

「分かったわ。でも倒してしまっても良いのでしょう?」

「まあな」


挑戦的にニヤリと笑うチチカ。

最近は魔法陣の習得とかで鬱憤が溜まってるのかもしれない。


「『岩弾』」


チチカの手元からバレーボールサイズの岩が打ち出される。

それを見た怪獣は首を振って避けた。


「GAッ」


避けた筈の怪獣の顎が下から殴られた。

どうやら岩は囮で本命の魔法をぶつけたってところか。

あの巨体なら真下はまず死角だからな。

本人は何が起きたか分からないだろう。

と、俺も見てないで仕事するか。


「ほらほら。お前の相手はこっちだ」

「GAWGAW」


ユラユラと奴の目の前を右に左に飛び回る。

どうだ。目の前にハエが飛んでるみたいで不快だろう。


「GAッ」

「へぶっ」

「お兄さん!!」

「陛下!」


ぺしっと叩き落とされた。

地面に墜落した俺を見て慌てて皆が駆け寄ろうとしたけど、俺はすぐに飛び上がって止めた。


「すまん。ちょっと油断した。

俺の方は大丈夫だから作戦を継続してくれ」

「お兄さん、頭から血が」

「ん?ああ。ただの掠り傷だ」


俺の無事な姿を見てほっと安心するみんな。

怪獣はまるで何事もなかったようにチチカを見ている。

ならまずはただのハエじゃないって分からせないとな。


「まったく、図体の割に素早いじゃないか」

「GA?」


なんだまだ居たのかとでも言うように、再び俺を叩き落とそうとする怪獣。

だけどその速度で来ると分かっているなら避けられなくはない。


「よっほっはっ」

「GURAAAA」


ひょいひょいと爪撃を避けられて業を煮やした怪獣が噛みついてきた。

うーん、手で当たらないのに、口で攻撃する理由はなんなのか。

いまいち怪獣の気持ちが分からないけど格好のタイミングなので、俺は奴の鼻を踏み台にしながら眉間に剣を叩き付けた。


ガキッ!

「いってぇ」


なんつう固さだ。

攻撃した筈のこっちの手の方が痛いじゃないか。

やっぱり簡単には倒されてくれないみたいだな。

でもお陰で奴の怒りの視線を俺に向けることには成功したみたいだ。


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