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65.始まる死の行軍

そしてあっという間に1週間は過ぎ、不死の王国との決戦の日となった。

今回こちらが用意した砦は2つ。

第1の砦にはプロステイン領とルクセン領の連合部隊が詰めている。

ただどちらの領地も今回の話を聞いて領民の9割が居なくなってしまったので、合わせてみても全然足りなかった。

そこで以前一時期プロステイン領の捕虜になっていたマスオが大将となって防衛に当たることになった。


「おらが生きてる限り、砦は落とさせねえだ!

おめえらも意地を見せるだよ!」

「「おうっ!!」」


第2の砦はヨサクが大将を務める。

他にハトリの隠密隊、ゼフの魔獣隊、更には魔物村から魔物隊も集まった混成部隊となった。


「私達で勝てればベストだが、恐らくそれは無理だろう。

だが1体でも多くの敵兵を討つことで最終決戦での陛下の負担が減る。

国家の存亡はこの1戦に掛かっている。

死を恐れず前へ出よ!

そして決して自分たちの命を無駄にするな。それこそが勝利への鍵となる!」

「「はいっ!」」

「「ガウッ!!」」

「「オオォッ!」」


そして本陣は俺とミツキ、チチカ、そして王都守備隊と残りの国民だ。

人数という意味ではここが一番多いけど戦力は劣る。

通常であれば王都に攻め込まれる時点でほぼ敗戦は確定したようなものだ。


「俺としては戦う前に白旗揚げたいんだけど。もしくは俺1人で前線に立つとか」

「残念だけどここに残った人達は誰もそれを望んでないよ」

「だよなぁ」


それだけこの国を大事に思ってくれてるんだから嬉しい。

でも同時に(おれ)としては(みんな)に死んでほしくないとも思ってしまう。

難しい顔をしているとチチカがバシバシと背中を叩いてきた。


「上に立つものは時として部下を死地に送り込む命令を下さないといけないのよ。

あなたはもう王なのだから腹を括りなさい」

「チチカは厳しいな」

「当たり前。私は愚かな王に仕えた覚えはないし、今後も仕える気はないもの。

それに、私は勝つ気でいるわよ」


気丈に振舞ってはいるが、握った拳はかすかに震えている。

それは当然だ。

RPGで言えばやっと第1章のボスが倒せたってところでラスボスが攻めてくるようなものなのだから。

でも今は武者震いだと思ってみて見ぬふりをさせてもらおう。

それと先ほどからここにいるはずの人物がいない。


「あれ、イメーコは?」

「そういえば今日はまだ見てないかも」

「まさかあいつ、怖気づいて逃げたわね!」

「そうか……」


幹部クラスで唯一の離脱者だ。まぁ怒る気はないけど。

彼は最初からどこかひょうひょうとした所があった。

計算高いというべきなのか、ヨサクやマスオ何かとは違って俺の事を領主だから絶対の君主だ、みたいな感覚は持ち合わせてはいなかった。

だから勝算の無い今回の戦いから離脱したのも彼らしいなと思ってしまう。

と、そろそろ時間か。いつものように太陽が雲に隠れた。

同時に空のスクリーンに不死の王の姿が映し出された。


『リュウジュ王国の諸君。覚悟は出来ているようだね。

さて、戦いを始める前に今回の特別ルールについて説明しておこう』

「特別ルール?」


俺の呟きが聞こえたように不死の王は頷いた。


『そうだ。今のまま普通に戦ったのでは面白味の欠片もないからな。

そこで各戦場においてこちらからひとつ試練を課す。

それをクリア出来た者は、この戦争で死んでも生き返らせてやろう』

「そんな事が出来るのか」

『不死の王である私の特殊スキルのひとつだ。

まぁ強力な分、発動条件の試練は厳しいがね』


それはそうか。

もし仮に無条件で復活出来るのだとしたら自爆特攻とかえげつない戦い方が出来てしまうからな。

そしてきっとその試練を突破することが唯一の俺達の生存の道なのだろう。


『それとこちらは何れかの戦場に出た将兵は他の戦場には参加しないこととしよう。

どうかね。ここまですれば多少はそちらにも希望が出てくるだろう』


不死の王の言葉に若干緩みそうになるけど、そうじゃないだろう。


「あー、みんな。勘違いするな。

不死の王国の国力はこちらの10倍以上だ。

つまり各戦場に戦力を分散させても余裕でこちらの3倍以上の兵力だからな」

『ふふっ。王自らそんな士気の下がることを言って良いのかね?』

「現状の正確な把握は大事だからな」

『ふむ。希望に油断した顔が絶望に変わる瞬間を楽しみにしていたのだがね。

まあいい。ではそろそろ始めようか。こちらの先鋒はこの2人(・・)だ』


不死の王の言葉と共に第1の戦場に現れたのは軍隊ではなく、将軍級と思われる人物がたった2人。

1人は身長4メートルに達する巨大スケルトン。

そしてもう1人は身長150センチほどのボロボロのローブを纏っている。手には大きな杖を持っているから魔導士であることは分かる。

しかし、いくら何でもたった2人で砦を落とす気なのか。


『では第1の試練だ。最初は簡単だから安心するがいい。

試練の内容は【逃げること能わず】。

どんなに絶望しても逃げなければ良い。どうだ簡単だろう?』


魔導士風の男が地面に巨大な魔方陣を展開すると、そこからゾロゾロと骸骨兵が生み出されていく。

それは身長140~180センチ程度で、元は普通の人間だったと思われるものやゴブリンだと思われるものが中心だ。

出てきた骸骨兵はガシャガシャと音を立てながら砦へ向けて歩いていく。

その動きは決して速い訳でも力強い訳でもない。恐らく生前の村人やゴブリンとそれ程変わらない強さだろう。

しかし、その数が尋常ではない。

召喚が始まって10分以上経った今でも湧き出る泉のように出続け、既に1万を優に超えている。


「いったいどこからこんなに出てくるんだ?」

『全てこの領地で死んだ者たちだ。

過去数十年、幾度となくここに国が生まれ戦争や災厄によって滅んできた。

この世界はどこに行っても死体が大量に埋まっているのさ』


そうしてたった2人から始まった敵は今では5万もの大軍となって第1の砦へと押し寄せていった。



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