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61.建国祭ダイジェスト

来賓の方も全員到着し、時間になったので建国式典を開始した。

最初は俺からの挨拶だけど、無難に高校の入学式の新入生代表挨拶みたいなので乗り切った。

それを聞いてミツキとシルクさんは「あぁ」って顔をしてたから元ネタに気付いたみたいだ。

続いて行ったのが任命式。

これまでは適当に各部隊の隊長を任せていたヨサク達に『将軍』とか『大臣』などに任命して、担当方面の自由裁量権なども与えていった。

と言ってもまぁやってもらう事は今までとそんなに変わらないんだけど、今後は俺が自由に動けなくなるかもしれないし。

新たに増えた人材としては、新たに増えた領地を管理するための代官を任命した。

プロステイン領には領地運営を任せられるものが居なかったからうちの初期メンバーから派遣したが、ルクセン領については前領主がまだ生きていたので軍事面の権限を幾つかはく奪した状態で就任してもらった。


「よ、よろしいので?」

「うん。突然知らない人たちが来て『今日から俺達がお前らの主だ』なんて言われても領民も困るだろ。

領地ごとに文化も風習も少しずつ違うみたいだし。

ただ、今後は少しずつ考え方価値観を俺のものに合わせて行ってもらう。

その為に何人か古参メンバーを派遣するから仲良くやってくれ」

「私が謀反を起こすとはお考えにならないのですか?」


恐る恐る聞いてくるが、謀反を起こす奴がそんなことを聞いては来ないだろう。それに。


「先日ルクセン領の視察を行ったけど、プロステイン領の占領状態から開放されて村人たちは嬉しそうだった。

きっとそれまでの君の統治が民を想って行われていたからだろう。

領主館も質素倹約を地で行ってる感じだったし野心は余りなさそうだったな。

そういう領主は民が幸せそうにしてたら無理に謀反を起こそうなんて考えないさ。

つまり君が今後謀反を起こすことはあり得ないってことだな」


俺が自信満々に言ってあげれば、深々と頭を下げて拝命されていった。

それが終われば次は来賓の方からの祝辞……って誰が来るかも分かって無かったから事前にお願いとかなにもしてない。


「もし良かったらどなたか挨拶を頂けませんか?」

「ふむ。ならば私が行こうか」


俺の突然のお願いに二つ返事で立ち上がってくれたのは、なんと不死の王だった。

それを見て驚いたのはシルクさん達人間の王様達。

多分みんな、何かの気まぐれで魔物の国から来ただけだろうと思ってたのに挨拶までやってのけるほど友好的な関係を築いていたのかと思っているのだろう。

実は内心俺が一番びっくりしているところだ。

全員が固唾を飲んでいる所に不死の王は良く通る声で話始めた。


「まずはリュウジュ王国の建国おめでとう。

私は魔物の国、不死の国の王シャレックである。

皆、なぜ魔物の国の王がこの場に居るのかと驚いている事だろう。

実を言うと私はこの姿になる前は人間だったのだ。

当時の私の国は奴隷の国だった。

それも民が王の奴隷になっているのではない。

王も民も神の奴隷となった国だった。

我らの神は我々に毎日のように戦争を行わせ、まさに血で血を洗う地獄のような状態だ。

その地獄から抜け出すには自ら命を絶つしかなかった。

しかし何の因果かこうして不死者として蘇ることになった。

蘇ってしばらくはこの世界に対する怒りをぶつけるように以前にも増して戦争を行ったよ。

まったく皮肉なものだね。

戦争が嫌で自決したはずなのに死んだ後も戦争をしているのだから。

ただ最近はそんな毎日に飽きて来てね。

時々思うんだよ。もしかしたらこんな戦争だらけの世界でも違う生き方があったんじゃないかとね。

今回の招待状を貰ったのは丁度良い機会だと思った。

なにせ、この国は元々兵士が1人も居ない国だというじゃないか。私の国は9割以上が兵士だったというのに。

だから見てみたいと思ったのさ。

この世界でその国がどう生きていくのか。

私としてはここが私の国と対をなすように『生者の国』なんて呼ばれて生きとし生ける者の希望の国になってくれることを願っているよ。

あぁ、もし途中で滅びてしまった時は呼んでくれたまえ。

我々は喜んで同志として迎え入れることを約束しよう」


堂々たるスピーチだった。流石1国を預かる王だけはある。

壇上から降りてきた彼と笑顔で握手を交わす。筋肉何てないはずなのになかなかに力強い。

ただやっぱりシルクさん達は呆然としたままだ。

不死の国が元々人間の国だったとか無差別殺人国家じゃなかったのかとか、衝撃の事実が多かったから仕方ないだろう。

挨拶が終わった後は各国から頂いたお祝いの品の紹介をして式典は終了だ。

お祝いの品は主に資源だったり金品だったり宝石だったり。

珍しいところでは龍王国から『龍の爪』『龍の牙』『龍の鱗』の3点セット。人間の国からしたら希少性が凄いけど、龍王国からしたらどれも年に1回生え変わるものらしく余っているそうだ。

他にシルクさんからは後日技術者を派遣してくれるという。これにより鉱山の発掘、発掘した鉱石の精錬、加工が全て自前で行えるようになる。

流石に龍素材を扱うには設備も何もかも足りないので他所に発注することになるが。


式典が終わった後は無礼講のお祭りだ。

ただ申し訳ないけどヨサク達には交通整理と警備をお願いしている。

無いとは思うけど来賓の方々に万が一があっては困るからな。

みんな屋台で買い食いする機会なんて中々無いだろうから驚いているが、お祭りに対する反応はおおむね好評だ。

シルクさんだけはどこか懐かしそうなのは、もしかしたら彼女も俺と出身が近いのかもしれない。今度聞いてみようかな。

ただ今日はその暇は無さそうだ。


「おじさま、おじさま。あれは何なのじゃ!?」


龍王国のチックルちゃんは子供の無邪気さと龍人族のパワーで連れまわしてくれる。

それにしても、うーん、おじさまかぁ。ま、この歳の子供からしたら俺はもう十分おじさんか。

他の人達も俺達を微笑ましく眺めているし、今日の所はチックルちゃんに付き合うとしよう。


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