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55.広がる領地

ポージンを討ち取った俺は、そう言えばポージンの他に数人分の気配があるとハトリが言っていたのを思い出して、奴が出てきた部屋を確認してみることにした。

そこには、小学生~中学生くらいの女の子達が裸で部屋の隅で震えていた。


「……ああ、そういうことか」


一瞬理解出来なくて考えてしまったが、領主の部屋で裸の女性と考えれば答えは1つか2つしかない。

ちょっと年齢が幼い気がするがそこに目を瞑れば自由広場にそういうお店もあったし、納得は出来た。

ただまぁ、今すぐどうこう出来るかと聞かれたら難しい。

領主を討ち取ったとはいえ、ここはまだ敵地だからな。

彼女達を救う前に俺が逃げ出さないといけない。

ふと、そこで最年長と思われる女の子が俺に近づいて来て、土下座をした。


「あの、ご主人様。私達はこれからどうすれば良いでしょう?」


ご主人様?


「待て。お前達のご主人様は部屋の外で死んでる豚で俺じゃないだろう?」

「いえ。前のご主人様が死にましたので、それを倒したあなた様が新たなご主人様です」

「俺がどういう立場の人間かは分かるのか?」

「えっと、はい。何となくですが。領主様か王様ですよね」


質問ではなくただの確認という感じで言われた。

これはあれか。この世界の住民特有の能力。

それなら何とかなるかもしれない。


「お前達は適当にカーテンでもシーツでも使って適当に身繕いをしつつ休んでいろ」

「は、はい」


俺は女の子達をその場に残し部屋の外へと出た。


「誰か居るか!」

「はっ、ここに」


声を上げれば数名の兵士がやって来て、俺の前で片膝を突いた。


「お前達の元領主は死んだ。

これからはサカガミ領領主の俺が新たな主だ。良いな!」

「はっ。承知致しました」

「まずはそれを領地全体に周知せよ。それと同時に領旗をサカガミ領のものに変えよ」

「ははっ」

「続いて、先ほど正門付近で爆発が起きたと思うが、その犯人2人組はどうなっている」

「申し訳ございません。まんまと逃げられました」

「構わん。それは俺の仲間だ。もしまだ追っているならその必要はないから戻せ」

「はっ、今すぐに」


俺の命令を受けて急ぎ走り去っていく兵士たち。

この様子なら攻城戦を行っていたヨサク達の方も無事終戦している事だろう。

俺は領主館を出ると、長距離転移門へと向かった。

門をくぐればいつものホールには自由広場への出口の他、サカガミ領への出口の他にもう1つ出口があった。

『ルクセン領』?

聞いたことが無いな。まぁ今は良いだろう。

サカガミ領へと戻った俺はイメーコにプロステイン領を掌握するように指示を出した。

さっきのあの感じなら特に衝突などは起きずに済むだろう。

ついでにあの女の子達についても保護するように伝えておく。

さて次は、と思ったところで長距離転移門からヨサク達が帰還してきた。

ヨサクに背負われているのは、マスオか。


「ヨサク、よくやってくれた。マスオは無事か?」

「はい。隷属の首輪を使われた影響で今は眠っています」

「そうか。ワカメも心配しているだろう。マスオの事はワカメの所に預けて来てくれ。

それが終わったら疲れているところ済まないが、攻城戦の報告とイメーコの応援に向かってほしい」

「はい」


戦争が無事に終わったとはいえ、やるべきことは山積みだ。

なにせ急に領地面積が倍、国力で言えば3倍以上に膨れ上がったことになる。


「領主様。その認識は違うにゃ」

「違う?」


戦争が終わったのを見計らってやって来たミークが俺の考えを否定した。


「領地は倍じゃなくて3倍。プロステイン領はその南のルクセン領を占領していたので、自動的にその両方が領主様の領地になった計算にゃ。

そして国力はなんと8倍にゃ!」

「8倍って。それはつまり今回7倍の敵を倒したって事なのか」

「そうにゃ。これは快挙、いや奇跡と言って間違いないにゃ」


奇跡か。確かに普通に戦ったんじゃまず勝てなかったしな。

偶然隣の領地だったからこそ出来た芸当だし、今後同じようにいく事は無いだろう。

しかし、最初ただの空き地から始まったのに、随分と大きくなったものだ。

この世界に来てからまだ1年経っていないのに、もうずっと昔の事のようだ。

そういえば最初の頃にあった木札は最近全然見なくなったな。

これはもう、好きにやれってことか?

まぁ変な命令されても無視するんだけどな。

最初の頃こそ、何のゲームだと思っていたけど、今では魔法とかちょっと前の世界と違うルールがあるだけで自分がここで生きているんだという実感がある。

多分いつかは俺もここで妻を娶ったり家庭を築いたりしていくんだろう。

それなら子供たちが安心して成長していける領地にするのが俺の役目だな。


「3領地を平定するのは大変そうだけど、これでようやく中規模の領主にはなれた感じだよな」

「それだけど、国力的にそろそろ国を名乗っても良い頃合いにゃ」

「国?国になると何か変わるのか?」

「どこの国にも属していないここにとっては大きくは変わらないにゃ。

知名度が上がって他国と各種交渉が出来るようになるのと、後は他の領地の寄り親になれるようになるにゃ」

「突然大国から宣戦布告されたりとかは?」

「大国からすればまだまだ旨味は少ないから、相当迷惑なことをしない限り一方的に攻められることはないにゃ」

「それなら安心だな」


なら建国してもいっか。俺は王様って柄じゃないけど。

それに今回の勝利を祝って盛大に祭もしたかったし、それなら建国祭って名目にしたら新たに増えた領地の住民にも受け入れてもらえるだろう。




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