53.プロステイン領の野望
すみません、想定よりもゲスい話になってしまいました。
プロステイン領。
そこは新興領地でありながら、領地を平定してすぐにレアメタルの鉱山を手に入れることに成功したお陰で急成長した領地である。
資金に物を言わせて武器を買い、傭兵を雇う事で一気に軍事力を増強、村の施設もすぐにランクアップさせて人口も増加させ弱小国家から頭一つ抜き出ることに成功した。
また遭遇戦も積極的に行い、その全てで勝利してきたこともこの領地の発展を後押しした。
人は自分の器以上に富を得ると天狗になるものだ。
領主ポージンの場合、まず手を出したのは女だった。
なにせこのポージン。この世界に来る前は41歳童貞、ストライクゾーンは15歳以下というある種の病気持ちなのだ。
だが、自分の領地にいる女はどう低く見積もっても17歳。
ポージンのあれは反応しなかった。
そこで目を付けたのが自由広場から行ける風俗店と奴隷市場だった。
まずは少女を専門に扱っている風俗店に2週間毎日通ったポージンは、次に自分専用の少女を求めて奴隷市場へ行き、そこに居た好みの少女を3人買うと同時にその奴隷商の上客として挨拶を受けた。
「懇意にしてくださっているお客様限定でこういう物も販売致しております」
そう言って奴隷商が見せたのは『隷属の首輪』。
それは敵国の将軍を捕虜として捕まえた際に強制的に部下として従わせるものだ。
ただポージン的には大して魅力的には見えなかった。
なにせ将軍と言えば男。戦争でこき使うだけの道具でしかない。
まあそれでも、折角だから1つくらいは買ってやるか。
そうして買ったはいいものの余りに興味が無くて配下の将軍に「使える機会があったら使っておけ」と適当に下賜して終わった。
そんなものより買って来た少女だと、それから1月の間は奴隷たちと寝室に篭るのだった。
ようやく寝室から出てきた領主は、奴隷商から新商品入荷の連絡を受けて見に行くと、そこには今までの少女が石ころに思える程の美しい少女が待っていた。
透き通るような肌。太陽の陽ざしを受けて輝く若葉のような髪。そして幼い容姿。
ポージンは一瞬で魅了された。
「ほ、欲しい!! だが、この金額はなんだ。俺の所の国家予算の10倍だと!?」
「こちらとある妖精郷の元王女です。この内からあふれ出る美貌は普通の女性ではありえません。
この額でもかなり勉強させて頂いております」
「むぐぅ、確かにこの美しさにはそれ程の価値があるか。
だが流石に手持ちがない。急ぎ用意する故、取り置きを頼むぞ」
「それは流石に。他にも欲しがる方は大勢いらっしゃるでしょうから。
せめて手付金としてこれくらいは頂かなくては」
「うっ、くそっ」
有り金投げ捨てて急ぎ自領に戻ったポージンは考えた。
今までのように遭遇戦では勝っても得られる資源には当たり外れがあった。
むしろ弱小領地相手では外れがほとんどだ。
それではいつ必要額が貯まるか分かったものでは無い。
そこで考えたのが領地の拡大だ。
隣接する東西南北の領地の内、東と西はまだ領地が平定されていなかった。
一見、今なら自由に奪えるように思えるが、1から領地を開拓していく必要があるので時間が掛かる。
それよりも既に平定が済みで、鉱山なども見つかっている領地の方が良い。
そう言う意味では北の領地は平定されたばかりでまだ早い。南は丁度いい感じだ。
なのでまずは南の領地に目を付け攻略を開始した。
しかしその途中で気付いてしまった。南の領地を吸収してもまだ若干足りないと。
ならば北の領地だ。
だがやはり北はもう少し成長してからの方がいい。
ただそうなると正面から戦を仕掛ければ時間が掛かるし、消耗を強いられるのも問題だ。
南の領地の平定にももう少し時間が掛かる。
そこで目を付けたのが領境に出来た小さな村だった。
「よし、あそこの村をこちらの傀儡にし、北の領地へ嫌がらせを行え。
それに耐えかねて村を攻めてきたら、こちらの領地に侵攻してきたとして宣戦布告をし、一気に殲滅する。
もし南の領地を平定するまで動かないようなら、こちらから全軍を挙げて攻め落とすことにしよう」
ポージンの目論見は見事的中し、北の領地は領境の村に攻めてきた。
しかも領主自ら参戦していたというではないか。
どうやら死にたがりか戦争大好きな馬鹿と見える。
流石にその場で領主の首を手に入れることは出来なかったが、それは流石に望み過ぎだろう。
その代わり敵の将軍を1人捕えたらしい。まあ戦力を削げただけで良しとするか。
しかしその次に届いた報せは頂けない。
「第2大隊が全滅だと、どういうことだ!?」
「分かりません。村を襲撃した敵軍に敵領主が含まれていたことから、敵領内に侵攻すると報告があった後、次の日には連絡が途絶えました。
恐らく何らかの敵の策に嵌められたものと思われます」
「くそっ。一体奴らに幾ら掛かったとおもってるんだ!」
机を叩き壊してもこの怒りは収まらない。
敵領主を捕まえたら火あぶりにしてやろうかむち打ちの方がいいかと考えていたところに、商人がやって来た。
「領主様」
「なんだ、俺は今機嫌が悪いぞ」
「北の領地のサカガミ領から攻城戦の申請書が届いております」
「なんだと!?」
商人が差し出す申請書を奪い取って内容を確認する。
その内容に思わず腹の底から笑いが込み上げてきた。
「ぐはははっ。どうやらこの領主は底抜けの大馬鹿野郎だな。
どうやら第2大隊を倒したことで天狗になっているようだが、そんなもの1か月もあれば補充できる。
それにその頃には南の領地の平定も終わる。
のこのこ攻めてきたところを圧殺し、逆侵攻で今度こそ領主の首を落としてくれよう」
「ではこの申請を受けるという事で?」
「ああ、それでいい」
ああそうだ。そう言えば敵将を捕虜にしたと言っていたな。
なら奴らに更なる絶望を与える為にそいつに隷属の首輪を付けて真っ先にぶつけてやるか。
かつての仲間と戦うのはどんな気持ちだろうな。
ふははっ。面白くなってきたではないか。




