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52.悪い知らせと良い知らせ

珍しく作者の願望により話の流れを動かしました。


領都に戻って来た俺達は、イメーコを始めとする大勢の仲間たちから迎え入れられた。

怪我をしている者たちはすぐにワカメ達の治療院に送られ、残りのメンバーも疲労の色が濃い。

ここまで大きな敗北っていうのは初めてだし、敵に追われる不安と恐怖で精神的にも疲れたのだろう。


「みんな、よく頑張ってくれた。

今日の所は無事に帰って来れたことを喜び、ゆっくり休んでくれ」

「「はいっ」」

「ヨサクとイメーコは悪いが今回の作戦の報告書を纏めてくれ」

「分かりました」

「ミツキも疲れただろう。お風呂に入って体を休めて」

「う、うん。あの、お兄さんは?」

「俺はちょっと、ワカメの所にな」

「もしかして怪我、じゃないか。……うん。頑張って」


ミツキ達に見送られつつ俺は重い足取りでワカメの元に向かった。


「ワカメ。話があるんだ。少しいいか?」

「はーい、ちょっと待ってください」


負傷兵たちの手当てをしていたワカメはひと段落したところで俺の所にやってきた。


「それで、何かありましたか?」

「ああ。その、悪い知らせだ」


マスオの事をどう伝えるのが良いだろうか。

残念ながら俺はこういう経験がない。


「その。マスオなんだけどな……」

「夫が……そうですか」


俺の雰囲気からすべてを察したワカメは静かに俯いただけだった。


「それで、夫の最期はどうでしたか」

「ああ。その名に恥じぬ国一の益荒男ぶりだった」

「そうですか。それはようございました。

これから生まれてくる子供にも父親のことを伝えましょう。

あなたの父はこの国と王の為に最期まで勇敢に戦い抜いたのだと」


そう言ってそっと笑うワカメ。

こういう時、女性ははるかに男性よりも強いと実感する。


「あの、少し休憩を頂いても?」

「……ああ。ゆっくり休んでくれ」

「では……」

「ちょーーっと待つにゃ!」


しんみりとした空気を叩き割るようにミークが駆け込んできた。

一体何事だ?流石にこれ以上のトラブルはごめんだぞ。


「領主様。マスオはまだ生きてるかもしれないにゃ!」

「なんだと!?」

「本当ですか、それは!」


ミツキの発言に驚いて詰め寄る俺達。


「お、落ち着くにゃ。

うちの管理している名簿からマスオの名前はまだグレーになってるだけで消えてないにゃ」

「それはどういうことだ?」

「恐らく敵に捕虜として捕まっている状態にゃ」


どうやら商人の情報網で将軍の生死が確認できているらしい。

言われてみれば確かに俺は、マスオが敵に突撃したところまでしか見ていない。

あの後、殺されずに捕まっていたということか。

そうか。ならまだ助け出せる可能性は残っているという事か。


「だが戦争状態の相手がそう簡単に敵の将軍を手放してくれはしないだろうな」

「そうだにゃ。返還の対価に相当吹っ掛けられるか、もしくは公開処刑をすると見せかけて救出に来た部隊を罠にはめるかどっちかにゃ」

「領主様。夫は領主様を危険に晒してまで助かりたいとは思っていないでしょう。

どうぞお見捨てください」

「まあ待て。そう結論を急ぐな」


すぐさま毅然と言い放つのは流石ワカメだと思うが待ってほしい。

助けられる可能性が出てきたんだ。みすみすこれを逃す手はない。


「ミーク。プロステイン領についての情報を教えてくれ」

「はいにゃ。そう言うと思って調べてあるにゃ。

プロステイン領は典型的な軍事国家にゃ。

領内に良質な鉱山があってその収入を全部軍事費に当ててるみたいだから軍備は相当なものがあるにゃ。

人口は約18000。砦の数は2つ。兵士のランクも鋼鉄装備がデフォにゃ。

領主のポージンは悪い方に有名で奴隷なども多数所有しているという噂にゃ」

「そうか。戦場では前に出てくるタイプか?」

「んにゃ。戦場でみたという話は聞いたことが無いにゃ。

恐らく部下を足で使って自分は城に篭ってやりたい事だけやってるタイプにゃ」


そうか。とすると戦場に敵領主を引っ張り出して倒すのは無理か。

人口などから考えてもこっちの倍は居るのにこんな罠を仕掛けてくるくらい姑息で慎重な奴なら、少しでも危険な場所には出てこないだろう。

と、その時。

窓から小鳥が飛び込んできて俺の肩に止まった。


「ぴっ」

「へ?領主様は鳥に好かれてるにゃ?」

「多分、スキルのお陰、かな」


『片翼の王』っていうのが、王って付くくらいだし、他の空飛ぶ生き物からの好感度アップの効果もあるみたいなのだ。

お陰で時々こうして近くに来た鳥が俺のすぐそばまで飛んできたりする。

それを見た俺の頭がキラリと閃いた。


「そうか。その手があった。……よし。

ミーク、プロステイン領に攻城戦を申し込むことは出来るか?」

「それは出来るけど、領都攻略の前に砦が2つあるからいくらチチカが居ても勝ち目は薄いにゃ」

「分かってる。それと申し込み後、戦争日は最長でいつに指定できる?」

「最長?それなら一カ月にゃ」

「よし。ハトリはいるか?」

「はっ、ここに」

「隠密隊と魔獣隊を総動員していい。2週間でこれからいう事を遂行して欲しい」

「はっ。必ずや領主様の期待に応えてみせましょう」


一か八かの賭けにはなるが、どうせこの先にも似たような場面やもっと厳しい場面は何度でもやってくるだろう。

ここで躓くようなら俺もそれまでだったって事だ。

それに優秀な仲間のお陰で勝算は十分ある。

こうなったら俺達に敵対したことを後悔させてやるぞプロステイン領。

いや、後悔する間もなくあの世に送ってやる。覚悟しておくがいい。



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