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44.王たちのお茶会

いつもお読みいただきありがとうございます。

今回は閑話っぽい話です。

ただいつの間にか章の終わりが閑話って流れになってるので通常回です。

自由広場のカフェテラス。

そこで仮面を被った男が2人でお茶を飲んでいた。

テーブルの上には15号サイズのケーキが1ホール置いてあるのが異様ではあるが。


「最近はどこも静かだよね」

「仕方なかろう。

近々起きるであろう災厄に向けてどの国も力を蓄えているところだからな。

もし動くとしたら災厄が終わった後だろう。

大きな被害を受けた国があれば、そこを狙って喰らい合いが起きる」

「それもいつもの流れか。

僕としてはさ。こう新しいものが欲しい訳さ。

例えばリアルチート持ちの新人が大暴れしてくれるとか、新たな魔王が誕生するとかさ。

今いる魔王はパッとしないというか、自称勇者国を相手にするのが精々だしね」

「中二病の知識チートで参戦してくる奴はそれなりに居るらしいが、そのほとんどが領地を平定することすら出来ずに散っているのが現状だからな」

「人心掌握とかコミュ力も必要だからねぇ。ぼっちのオタクには厳しいさ」


ショートケーキサイズに切り取ったケーキに齧り付きながら、渋い声の男がふと何かを思い出したように話を続ける。


「そう言えば『兵士の最高ランク:一般兵以下』という領地を見たことはあるか?」

「それは出来立ての村じゃなくて領主でってことだよね。

領主や将軍が強かったり、レアな魔獣を調伏出来たのなら不可能じゃないとは思うけど。

そんな一騎当千型じゃあ戦争は勝てなくですぐ消えるでしょ」


その回答にニヤッと笑う男。


「ワシもそう思ったんだが、うちの若いのが騎兵重装歩兵合わせて1500を出して首都である村に攻め込んでおいて完敗したそうだ。

しかも中級破壊魔法が使える魔導士を派遣してやったにも関わらず、だ」

「そりゃあ凄い」

「お前ならどう戦う?」

「それは守る方でって事だよね?そうだなぁ。

魔導士がいるなら立てこもっても簡単に壁は破壊される。

なら打って出るかと言えば兵の強さが違い過ぎる。きっと騎兵だけで粉砕されるね。

やるとしたら村の中に敵兵を引き入れて兵士の人海戦術で足止めをして、その間に一騎当千の将軍が少数精鋭で敵大将を討つ。

これならまぁ勝てなくはないかな」

「なるほどな。だがそれでは大将は討てても残りの兵は倒せんな。

実際には大将の他、1500の兵の内の8割以上が倒されたそうだ」

「その領地も寄り親から強力な部隊を借りていたとか?」

「いや、そこはまだどこにも所属してないようだ」

「ふぅむ、なんだろう。まさか将軍1人で1500人を相手にしたとか?

うちの大将達ならまぁ出来なくもないけど、国にもなってない領地にそんなのが居るとも思えないし。

だとすると、うーん」

「……火計を使って、村を火の海にしたそうだ」


それを聞いて一瞬呆けるも、笑い出す男。

ついでにケーキも1/4を切り出してガツガツと食べ始める。


「は……あはははっ。そりゃ良い。

まさか本土決戦で自分で村を丸焼きにするなんて。

玉砕覚悟とはなかなかいい度胸じゃないか。

ただそれじゃあ折角勝っても復興に1月は掛かるし、費用だってプラマイゼロ……あ、一般兵なら安いから何とかプラスに持っていけるか。

でも自分でやるかと聞かれたら絶対やらないね。

自らの手で自国民に被害を出すと民からの評価が下がって、最悪反乱を起こされる。

それよりかは、さっさと降伏してしまったほうが何倍も良い。

まだ小さい領地なら奪われる資源だって大したことは無いからね」

「それとな」

「ふふっ、まだあるのかい?」

「派遣した魔導士を捕虜として捕えてあるそうだ」

「ほほぉ、それは大金星だね。村人全員と引き換えにしたってお釣りがくる。

僕ならまず間違いなく自分の所で囲むだろうね。

ただ。そこまで面白い事をしてくれる領主なら違うことをしてくれたのかな?」

「ああ『ただで帰してやる』と言ってきおったわ。

交渉に来た商人にふざけてるのかと問いただしたら『なら貸し1つでいい』とか言っておったそうだ」

「大国相手に貸し1つねぇ。確かにそれは魔導士1人よりも大きいかもしれないね。

それで?貸し1つで返してもらうのかい?」

「まさか。

貴様のつばが付いた魔導士などくれてやると突っ返してやったわ。

おまけで『何か困ったら言ってこい』という言付けもつけてな!」

「あっはっは。それじゃあ借りが出来たも同然じゃないか」

「馬鹿を言え。大国の器を見せ付けてやっただけだ」

「それで、その面白い領地は何て名前だったかな?」

「確かサカガミ領の領主はリュウジュと言ったか」

「ふむ。僕も覚えておこう」


と、そこへ第3の人物がやってきた。

邪魔が入らぬように周りのテーブルは自分たちの配下で固めていたはずだが。


「随分面白そうな話をしていますね。

まさか2国の王がこんな場で雑談をしているなど、他の国が聞いたら同盟でも結ぶのかと慌てる様が思い浮かびます」


涼やかな声で話しかけてきた女性は元からいた男性2人も良く知った人物であった。


「これはこれは、キヌエ女王。ご機嫌麗しゅう」

「ふん、邪推する奴らは勝手にさせておけばいいさ。

それよりお主もこのリュウジュとかいう者をしっておるのか?」

「ええ。先日ちょっと困っているところを助けてもらいました。

それで、先ほどの話をもっと詳しく教えてもらえますか?

事と次第によっては戦争の準備を始めますので」

「いやいや、そう慌てるな」


にこやかなるも緊張を孕んだ会話。

お茶会は更に賑やかになっていくのだった。



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