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43.捕虜の処遇

言い方は悪いけど今回の戦争での一番の戦利品は間違いなく今俺の隣の席でムスッとしている女の子だ。

対応を誤ると大爆発を起こす危険物でもあるから注意が必要なんだけど。


「それで君のことはこれからどうしようか」

「……処刑するならさっさとすればいいでしょう?

それとも男たちの慰みものになってからかしら」


怒り気味に返された。

いや暴れてないだけで完全に怒ってないか?

そもそもなんでそういう話になったんだ。


「待て待て。俺は殺す気は無いぞ?」

「ふぅん。つまり一生ペットとして可愛がってやるぞってことね」

「だから違うって。ミツキからも何か言ってやってくれ」

「あー、うん。お兄さんの性癖についてはちょっと分からないかな~」

「いや、そういう話じゃなくて」


おかしい。

どうやらミツキも味方では無かったようだ。

そういえばミツキは俺が彼女を捕まえてたシーンを目撃してるので、その時からずっと態度が冷たい。

もしかして本当に俺がそう言う事をする男だと思ってる?いや、流石にそうでは無いと信じたいが。

他に味方は、あ、イメーコが居るじゃないか。


「イメーコからも何とか言ってやってくれ」

「何とかと言われても、そもそもその子は誰ですか?」

「敵軍に居た魔導士の女の子だ。名前は……まだ聞いてなかったな。なんて言うんだ?」

「チチカよ。チチカ・カコンティス」


あるだろうなとは思ったけど、ファミリーネームまで付いてるのか。

というか、この世界に貴族とか居るのか?また今度ミークに確認してみるか。


「それでチチカ。なんで殺すとかいう話になったんだ?」

「だってこんな重要な話を聞かせたんだから、生きては帰さないってそういうことでしょう?」

「いやいや。全然大した話じゃないし。これくらい知られてもどうってことないから。

うちで重要な話って言ったら例えば……」

「お兄さんの性癖とか?」

「そうそう俺の、ってそこから離れような。それと俺はノーマルだから」

「突然私の胸を揉みしだいて口を押えてきた人がそれを言うんだ」

「ちょっ、お兄さん!?」

「いや、あの時は魔法を止めるので必死だったから仕方なくだな」

「……」


いかん。イメーコまでジト目になってきた。

ここに俺の味方は居ないらしい。

どうにかしないと真っ先に俺が社会的に殺されてしまいそうだ。


「……なにやら面白い状況になってるにゃ」

「その語尾はミーク!」


まさかのここで救世主の登場である。

というか呼んでないんだけど来る予定あったんだっけ?


「戦後処理で何かと入用かと思ってきたけど、そちらは領主様の2人目の愛人ですかにゃ?」

「愛人!?」

「2人目!?」


しまった。救世主と見せかけて処刑人だったというオチか。

そもそも1人目は誰、ってミツキの事を言ってるのか?

別にまだ手は出してないぞ?

て、イメーコ。なぜそこで驚いたような顔をする!?

えっ、もしかして他の皆もそういう目で見てたのか?

うーむ、まあそれについては後で問いただそう。今はチチカの処遇だ。


「それでミーク。捕虜になったチチカを元の領地に帰すことは出来るのか?」

「勿論できるにゃ。捕虜の返還はうちら商人が間に入って話を纏めて、自由広場を経由して引き渡しになるにゃ。

あとは身代金とかはどうするかにゃけど」

「え、別に無くて良いんじゃないか?」

「……領主様は欲が無さ過ぎるにゃ。

聞けば彼女は敵領地の寄り親が派遣してきた刺客にゃ。

今回の戦いでも彼女ひとりで相当な被害が出ているし、多少吹っ掛けても大丈夫にゃ」


とは言ってもなぁ。

彼女自身はただ指示されてやっただけだし、むしろ彼女が居てくれたお陰で敵は単純な力押しで来てくれたところもある。

彼女が居なければ門を突破されるまでの間に弓矢の応酬でそれなりに人的被害も出ていただろうから、むしろ感謝しても良いくらいなんだけど。


「じゃああれだ。こっちからは特に提示しないけど向こうが出すって言い出したら『貸し1つでいい』と答えておいてくれ」

「にゃっはは。了解にゃ。

ただ、交渉が成立するまで多分3日くらいは掛かるにゃ。

その間の彼女の待遇はお任せするにゃ」


そう言ってミークはビシッと礼をすると会議室を出て行った。

早速チチカの派遣元の国に話をしてきてくれるんだろう。

でもチチカの待遇って言ってもなぁ。


「ひとまず空き部屋は沢山あるからミツキ、適当に案内してあげて」

「はーい、じゃあいこっか」

「え、ええ。というか、本当に牢屋とかではないのね」


ミツキに連れられて出ていくチチカを見送ると、会議室には俺とイメーコだけが残った。

するといつもとは違って真剣な表情になるイメーコ。


「本当に良かったんですか?」

「ん、なにが?」

「彼女。魔導士なんて中堅領主でも召し抱えているところは少ないっていうのに、しかも1撃で門を破壊出来る程の戦力ですよ?

国元に帰さずにここで雇えば一気に戦力アップ。

またどこかの領地が攻めて来ても今回のように村に被害を出さずに一方的に返り討ちにすることも出来るかもしれないし、こちらから攻めるときに魔法で門や壁を破壊してもらうってことも出来ます。

そんな彼女をタダ同然で帰すのは余りにも勿体なくないですかねぇ」

「イメーコには彼女が兵器に見えるのか?」

「そういう冷徹な判断も出来るようになるとこの先楽になりますよって話です。

まぁ。俺達はそういう甘々な領主様だからこうして忠誠を誓ってるんですけどね~」

「ならそういうことだ。

むしろ俺が冷徹な判断しかしなくなったら滅亡のサインだから諫言を頼むよ」

「うへぇ。そういうのはヨサクにしてもらいますよ」


イメーコも本気で彼女にそんな扱いをしたい訳じゃなく、最終確認みたいなものだろう。

今後も似たような事があった場合に捕虜をどうするかを明確に示せてよかった。

とは言っても、みんながみんなチチカみたいに大人しいとは限らないから、暴れるなら容赦はしないけどな。



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