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41.戦争は終わったけど逃げよう

時々こう、おふざけがしたくなりますよね。

タイラス軍の歩兵の最後尾が東門のあったところに到達する頃、領地をぐるっと迂回してきたミツキとゼフ達が姿を現した。

当初の予定では敵の後背を突かせるか本陣が残るならそこに突撃して大将首を取る計画だった。

でも待てよ。さっきの魔法をミツキの軍に撃ち込まれたら大惨事だ。


「ミツキ隊に連絡。纏まっているとマズいので部隊を小分けにして仕掛けるようにと」

「畏まりました」


これで少なくともさっきの魔法くらいなら回避できるはずだ。

しかし魔法がそれだけな訳が無いからな。

そこは俺が何とかしよう。

ミツキ達が敵の気を引いている間に俺は敵陣の後ろに回り込む。

さて、あの魔導士の女の子は……いた。

本陣がミツキ達の襲撃に慌てているのに我関せずって感じでぼーっと眺めている。

お、なんか偉そうなおっさんが話しかけてる。


『奴らを撃退するためにお力をお貸しいただけませんか!?』

『……私の仕事は、さっき終わったよね?』

『それはそうなのですが予想以上に敵の襲撃部隊が強く、このままでは敵の本陣が落ちるのが先かここが落とされるのが先か、時間との勝負になってしまいます』

『そう。私はあなた達の戦争の勝敗に興味は無いわ』


ふむ。何を言っているのかここまでは聞こえてこなかったけど、おっさんがガックリしてミツキ達襲撃隊の方に向き直ったところを見ると何かを頼み込んで断られたってところか?

今のところ手を出す様子は無いけど危なくなったらどうなるかは分からない。

俺は身を潜めて見つからないように女の子に近づいた。

6メートル、5メートル。


「……ん?」

(げっ、気付かれた!?)


こうなったらスキルも使って一気に距離を詰める!


「なっ、敵!?」

「え、違うかも?」

「いや絶対敵でしょうが!!」


あほな受け答えでお茶を濁そうと思ったけどダメか。

早くも女の子の周囲に魔法っぽい光の玉が作られだした。

あれの威力は分からないけど多分死ぬほど痛い。

なら撃たれる前に避ける。


「『飛躍』!」

「き、消えた!?」


スキルで一瞬にして女の子の斜め後ろまで飛べば、彼女からしたら急に消えたように見えるだろう。

見えなければ魔法で攻撃することもできないはずだ。

そしてそのまま右腕で抱きかかえるようにして捕まえた。


むにっ

「ん?」

「ふぇっ?」


手のひらに伝わるびったり手のひらに余る柔らかい膨らみ。

咄嗟の事とは言え思わずむにむにと感触を確かめてしまったのは男の性だろうな。

うん、仕方ない仕方ない。


「いっ……」

「い?」

「いやああもがごがっ」


叫ばれそうになったので慌てて反対の手で口を押えた。

敵には気付かれてないか?まだ大丈夫そうか。

今は兎に角、彼女を連れてこの場を逃げ去るべきだな。


「んーーーっ、んーーっ!!」

「もうちょっと我慢してて。大丈夫、傷つけたりしないから」


暴れる彼女の耳元でそっと伝えるとようやく暴れるのを止めてくれた。

とはいえ手を離すと魔法で反撃される恐れがあるので油断はできない。

おっ。村の方から火の手があがったので、予定通りならもう少ししたらあっちは終わるだろう。

ミツキ達の方も人数は倍以上居るし速さで翻弄しながら着実に敵の数を減らしている。

敵の大将にも結構なダメージを与えてるみたいだな。

おっと大将がこっちを見た。

恐らくこの子に助けを求めようとしたんだろうけど、俺に捕まえられているのを見て愕然としてる。

でもそんなぼーっと突っ立ってると危ないぞ?


「やああっ!」

「ごはっ」


ほら言わんこっちゃない。

ミツキは正面から正々堂々なんて武士道は持ち合わせてないんだから。

隙があれば背中からだって攻撃する。

そして敵大将が倒れたことで戦争は終結。生き残った敵兵は散り散りに逃げ出している。


「深追いは不要だ。それよりも仲間の傷の手当てを優先してくれ」

「はいっ」


ワカメが携行用の傷薬をみんなに持たせてくれているから簡単な手当はその場で行える。

ミツキも敵大将と戦ってできた傷、といってもかすり傷程度だけど、に薬を塗りながら俺の所にやって来た。


「やあミツキ。お疲れ様。無事敵の大将を討ち取って大手柄だったな」

「う、うん。ありがとう。

って、それは良いんだけど。その、なにやってるの?」

「見ての通り、敵軍の魔導士の少女を捕獲してるんだ」

「なんていうか、犯罪者っぽいよ?」

「ん、あれ?」


傍から見れば今の俺の状態は、小柄な少女を後ろから抱きしめて口を押えている、変質者か強姦魔だな。

警察に通報されても文句は言えないだろう。

ここに警察居ないけど。


「えっと、手を離すけど暴れないでくれよ」

「(こくこく)」


しっかり頷いたのを確認してからそっと手を離すと女の子はその場にへたり込んでしまった。

慌てて駆け寄るミツキ。


「大丈夫?お兄さんに変な事されなかった?」

「大丈夫じゃない。いっぱい辱めを受けた」

「ちょ、お兄さん!?」

「いや待て。すまなかった。

悪気があった訳じゃない。不可抗力だから」


最初に胸を触ったのは偶然だし、その後ちょっと指に力が入ったのは仕方ない事だし、それ以外で言ったら口を押えたくらいだから大丈夫。乙女の純潔は守られてるから。

だからそんな冷たい眼で見ないでほしい。


「ところで、戦争は終わったんだけど君は帰らなくて良いのか?」

「私敵に捕まった捕虜。

これから鬼畜領主に凌辱されておもちゃにされる運命なのね」

「……お兄さん?」

「いや、しないから。ジュネーブ条約無くても捕虜は丁重に扱うから」


いかん。早くなんとかしないと戦争に勝ったのに社会的に抹殺されてしまいそうだ。

ここは戦略的撤退するしかない。


「ま、まぁここで話し続けるのもあれだから、村に戻ろう。

あっちの被害状況だって早めに確認しておきたいし」

「あ、逃げた」

「逃げたわね」


あーあー聞こえない。

さあヨサク達は無事かな~。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 素晴らしい完勝ですね。 [気になる点] 野戦軍壊滅させたのであれば、速攻の襲撃ターンじゃないのですか? 攻城戦能力に不安があるのでしょうか。
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