39.戦争は圧倒的戦力で制圧するもの
やってきました負けイベント。
主人公よ蹂躙されるがいい。ふははははーー。
は、ははは、はぁ。無理だったかorz
そしてタイラス領との戦争当日になった。
宣戦布告から3日も猶予があったので準備できることは全部やったつもりだ。
現在は領主館の1階会議室でミツキと戦争開始の合図を待っている。
「これまでの襲撃と違っていつ来るかが分かってる分、気が楽だな」
「うんうん。以前は警鐘がいつ鳴るのかびくびくしてたから」
のんびりお茶を飲む余裕さえある。
と、ハトリが会議室に駆け込んできた。
どうやら来たらしいな。
「領主様。敵部隊の到着を確認しました。
あと10分ほどで攻撃可能距離に到達する見込みです」
「分かった。で、敵の陣容は?」
「確認出来た範囲で東門側に騎兵500、重装歩兵1000です」
「他は?」
「確認できておりません」
「……そうか」
おかしいな。どういうことだ?
まるで野戦を行うための陣容じゃないか。
所詮下位の村だから大した防備もなく攻城兵器の類は不要だと判断された?
まあ有り得なくはないか。
それならその油断を突かせてもらうだけだ。
「ミツキ隊とゼフの魔獣隊は開始と同時に西門から出てぐるっと回ってきてくれ」
「分かったわ」
「いつも通り無理はしなくて良いから、ヒット&アウェイで敵を側面から攪乱してくれ」
「はーい。じゃあ行ってきます」
会議室を出ていくミツキを見送り、俺も立ち上がった。
「予定通り、イメーコ隊はここの防衛、ハトリ達隠密隊は周囲の警戒を続けてくれ。
そして西門に配置していたマスオ隊は東のヨサク隊に合流だ」
「「はっ」」
俺が領主館を出たところで戦争開始1分前の警鐘が鳴り響いた。
次に警鐘が鳴ったら戦争開始だ。
そして警鐘と同時に領主館の玄関先に旗が突き刺さる。この旗が奪われたり破壊されたら即時敗北となり戦争は終結だ。
イメーコにはヤバいと思ったらさっさと旗を破壊しろと伝えてある。
「機を逸することのないように。頼んだからな」
「へーい。領主様もやっぱり出られるので?」
「まあな。みんなを危険に晒して奥でふんぞり返ってるのは性に合わないから」
「まぁお気をつけて」
相変わらずのんびりとした雰囲気のイメーコに見送られながら東門横に作った物見やぐらへと登った。
すると敵部隊の陣形が見て取れる。
確かに報告通り騎兵と重装歩兵のみだな。それも騎兵が先頭に配置されている。
破城槌も無ければカタパルトも井闌車のようなものも無い。
かと言って騎兵がランスを抱えて突撃するのかと言えば持っているのは長槍だし重装歩兵がハンマーで攻め入るなら騎兵よりも前に居ないとおかしい。
どういうことだろうか。やっぱり考えても分からない。
ただ分かるのは、敵の騎兵が突撃してくるだろうということだけだ。
「全員、まずは騎兵の撃退に集中してくれ」
「あの、それで敵はどうやって門を突破してくるのでしょう?」
「分からん。だが俺達には想像もつかない手があると思っていてくれ。
変な話だが敵を信じろ。あの陣形で騎馬が突撃してくる以外にはない!」
「しょ、承知しました!」
そして戦争開始の警鐘が鳴った。
さあお手並み拝見と行こうか。
って、動かないな。
代わりに他とは格好の違う人が騎馬の前まで出てきた。恐らく将軍のひとりだろう。
遠目でよく分からないけど、体格からして女性……いや女の子かな。
すっと両手を前に突き出したかと思ったらその手の前に赤く光るボールが出来て門に向けて撃ち出された。
バレーボールサイズのそれが門に当たった瞬間、眩い光と共に大爆発。
門が粉々に砕け散っていた。
なるほど。まさか将軍のスキル、いや魔法かな?の1撃で門を破壊できるのか。
まるで人間攻城兵器だな。これなら確かに下手な兵器は不要か。
「……あれ?」
攻めてこない。
てっきり門が壊れたんだから一気呵成に突っ込んでくると思ったんだけど。
まだ何か奥の手を隠し持っているのか?
「……ちっ。全軍、突撃!!」
「「おおっ!!」」
ちがった。普通に攻めてきた。今の間は一体何だったんだ?
とにかく小細工不要とばかりに本陣に50人を残して全軍が破壊された門に向けて進軍を開始してきた。
完全な力押しだな。
「弓隊、騎馬の足を止めろ。
全員、プランFだ。
村への被害は気にするな。派手に行こう!」
「「はいっ」」
「ヨサク、後の指揮は任せるぞ」
「承知しました。領主様はどちらへ?」
「後ろでふんぞり返ってる敵大将に挨拶してくる」
「なるほど。ご武運を!」
言ってる間に敵の騎兵が矢の雨を掻い潜って村の中に突入してきた。
落とせたのは50騎程か。
やはり攻撃力は今後の課題だな。
村の中に侵入した騎馬は用意しておいた馬防柵によって大幅に減速はさせられたけど柵の隙間から奥へ抜けられてしまった。
更には重装歩兵までもが村の中に侵入。
「突撃ーっ。進め進めーーっ!」
「横は気にするな、突き進めーー」
「「おおっ!!」」
こちらの弓や投石を受けつつも騎馬の後ろを全速力で追いかけていく。
っと、見てる場合じゃないな。
こっちは頼む。死ぬんじゃないぞ。




