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37.各村の視察

ちなみにこの2週間、ただスキルで遊んでいただけではなくちゃんと村づくりにも力を入れている。

人口は遂に1000人の大台を突破して2000人ももうすぐだ。

村もしっかりとした防壁と濠を作ったのでトロルが相手でも簡単には攻め込めなくなった。

防壁を突破されても、各種防衛陣地を造ったので倍の戦力差があっても撃退は可能だろう。


「あの、領主様。このため池は何ですか?」

「プール兼日照り対策兼防火用ってところだな」

「はぁ」


今のところ村の建物は全部木製だから火矢や火炎瓶などで放火されたらかなり危険だ。

なのでこうして水を用意しておけばすぐに消化活動ができるだろう。

日照り対策は、今のところ必要なさそうだけど気候が変動して旱魃が起きた時には重宝するだろう。

こういう万が一に備えるのは悪くない。

ただこの世界、保険という概念は無いみたいだからいまいちピンとこないようだ。


「ところでヨサク達の砦はどうだ?」

「まだ完成度10%と言ったところです。最低限の稼働まではあと1月は掛かるかと思われます」

「そうか。ああいうのは後から改造するのも大変だからな。今のうちにしっかり造ってもらおう」


普通城造りなんて年単位でやるものだから2カ月で形になってくれるなら大したものだ。

また以前、どういった造りが良いかアドバイスを求められたので日本の城を参考に答えておいた。

どうなるかは完成してからのお楽しみだ。

ただまぁ、攻められないことが理想なので折角造ってもらったのに出番が1度もない、なんてこともあるかもしれない。

その場合は身内の軍事演習で使わせてもらおう。

他にも領地の探索を依頼していたハトリとゼフのチームも早々に成果を上げている。

やはり領主になったと言っても目を離すとすぐに魔物の集落や人間の村が出来るみたいなのだ。

規模も20人程度の小規模なものもあれば100~200人規模のものもある。

見つかり次第部隊を派遣する訳だけど、その時にちょっと試してみている事がある。

何かと言えば降伏勧告だ。


「えー、お前達は完全に包囲されている!

無駄な抵抗はやめて大人しく降伏しなさい!

繰り返す。

悪いようにはしない。死にたくなければ降伏しろ!」


襲撃をかける前にこうして呼びかけると9割方は無視して反撃してくるので、魔物であろうと人間であろうと心を鬼にして殲滅している。

そして残りの1割だけど、こちらは呼びかけに応じて白旗を上げてくれた。

それは人間であっても魔物であってもだ。

魔物の場合、言葉は通じるんだろうかと心配になったけど、降伏した後は片言ではあったけど無事に会話が出来た。

ただそれでも人間と魔物が同じ村で共存できるのか分からなかったので、砦の近くに実験村を造って様子を見ている。

後になって力を付けてから反乱を起こされた場合は砦で食い止めたいという思いもある。

それは降伏した人間も同じなので、そっちはそっちで別に村を造ってもらっている。

またうちの村からも各村の半数に相当する人数を送ることでうちの文化を浸透させていく計画だ。


「いいか。間違ってもこっちが上であっちが下、なんてことはない。

お互いに信頼し尊敬し合える関係の構築に努めてくれ。

最終的には種族とか出自とか関係なく同じ領民になってほしい」

「はい。承知しております」

「あと競争は認めるが対立は禁止だ。代表と目標を決めて一丸となって良い村を造ってほしい。

丁度いい感じに鉱脈も2カ所見つかっているからな。村の運営が落ち着いたらその採掘を任せようと思う」

「はっ。お任せください」


任せた村人はちょっと真面目過ぎる気がするけど、まあ大丈夫だろう。

大丈夫、だよな?

何か心配になって来た。ちょっと様子見てみるか。

そう思って更に2週間ほど空けてから視察に行くことにした。

まずは人間の村はどうかというと……何故か村人全員が休めの体勢で整列していた。

その先頭で声を張り上げる男性が一人。


「いいかお前達。

我々がこうして平穏に暮らせているのは誰のお陰だ!」

「「すべて領主様のお陰です!!」」

「我々が虐げられることなく生きられるのは誰のお陰だ!」

「「すべて領主様のお陰です!!」」

「我々が飢えることなく襲撃に怯えることもないのは誰のお陰だ!」

「「すべて領主様のお陰です!!」」

「よろしい。この村は領主様が我々の為に特別に用意して下さった場所だ。

我々が受けた恩を少しでもお返しする為に、日々奮励努力せよ!」

「「はっ」」


えっと、ちょっと待てよ。

これは一体どこの軍隊だ?

確かに村人が一丸となって活動はしてるけど、想像してたのと違う。

任せた手前、あれこれ口を出すのは良くないけど、一応釘を刺しておくか。


「ちょっと良いか?」

「これは領主様。如何なされましたか」

「村の為に頑張ってくれるのは嬉しいんだけど、無理はしなくていいから。

根を詰め過ぎるといつか破綻するから適度にガス抜きをするように。

あと怪我や病気で満足に動けない時はきちんと休ませてやってくれ」

「はっ。承知致しました。領主様の寛大なお心に感謝します」

「いや、お前ももうちょっと肩の力を抜け。

上が気を張り詰めてると下はもっと硬くなるからな」

「ははっ」

「いやだから……」


こりゃ近いうちに村同士で交流する機会を設けた方が良さそうだな。

村ごとに多少色が違うのは良いけど、混ざらないのは困る。

ミツキの所なんてここと違って凄いフランクだからな。

ここの人が見たらびっくりするだろう。

で、お次は魔物の村はというと……おぉ。普通だ。普通にゴブリンとかが農作業をしてトロルが建築作業をしてたりする。

と、ゴブリンの1体と目が合った。


「ア、リョウシュ、サマ?」

「ああ、そうだ。みんな元気にやっているか?」

「フワーーッ。リョウシュサマガキターー」

「え、ちょっ」


なぜか大声を上げて逃げられたんだけど。なんで?

そしてその声を聞いて村中の魔物たちが作業の手を止めて集まって来た。

なんだなんだ。俺を囲んで襲うつもりか?流石にこの数相手に大立ち回りは骨が折れそうなんだけど。

と、思ったら違った。

なぜか全員俺に向けて土下座して拝み始めたし。


「……誰か説明をお願い」

「ここにいる魔物たちは領主様のお陰で生き延びられています。

人間でありながら本来なら敵であるはずの魔物に寛大なる慈悲の心で受け入れた領主様はまるで神の使いのようだと説いていたら、いつの間にか彼らの中で神格化されてしまったようです」


答えてくれたのはこの村を任せた村人のひとりだけど。

お前だな?そうやって説いて回ったのは。宣教師か?ザビエルとか名前付けるか?

どうすんだこれ。今更否定しても意味無いっぽいぞ。


「あーその、なんだ。

人間とか魔物とか関係なく、お互いに協力して感謝の気持ちを忘れないように。

ここでは強いから偉いなんてことは無いから。

自分の出来ることで貢献して、出来ない事は助けてもらおう。

誰かの為に行動する時に損得勘定で動くと軋轢を生むから、まず与える。返ってきたらラッキーくらいの気持ちでやって行こう」

「……ヨクワカラナイケド、サスガ、リョウシュサマダ」


え、難しかったか?20文字以内に簡潔に言えってこと?


「要するに、みんなで幸せになる為に頑張ろうってことだ」

「ソレナラ、ヨクワカッタ」


今度はちゃんと伝わったらしい。

この調子なら暴動とか反乱とかは起きなさそうだし大丈夫だな。


「そう言えば何か足りないものとかは無いか?

俺達も魔物の生態とか習慣が分かってないからな。

必要な物があったら遠慮なく言って欲しい」

「ソレナラ、サイダン、ホシイ」

「祭壇?それって神様にお祈りしたり貢物を置いたりする場所ってことか?」

「ソウ、ソレ」


ここでいう神様ってきっと俺の事なんだろうな。

別に貢物とかは要らないんだけど。それより、


「一応言っておくけど生贄は禁止だからな」

「……ワカッテル。ムラノサクモツ、ササゲル。ムラハッテン、オレタチツヨクナル」


若干の間があったのが気になったけどまあいいか。

それより、魔物は祭壇に貢物をすることで成長を促すのが一般的らしい。

人間でいう所の商人から武器やらを購入してパワーアップするのと同じ原理かな。

なら無茶をしないかだけ気にしてれば良いだろう。

ただ、やっぱり出来れば俺を見て拝むのはやめてほしいかな。

派遣した村人とは上手くやってるみたいだから良いけど。

そうして村を見て回ったりして日々を過ごしていた所でミークが手紙を持ってきた。

えっと……『宣戦布告』って書いてあるんだけど何かの間違いかな?



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