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35.絶叫系スキルだった?

自由広場から無事に戻って来た俺は村の空き地へとやってきていた。

何の為かと言えばそう、新しく手に入ったスキルの動作確認だ。

色々と不安になる説明文だったから、何があっても良いように村の施設から離れて実験してみようと思ったんだ。

ただ、なぜかミツキ達が付いてきたんだけど。


「見ててもそんなに面白いものでも無いと思うぞ?」

「いえいえ。お兄さんが何か新しい事を始めるってだけで、楽しそうですけど?」

「俺はそんなエンターテイナーじゃないと思うけど。

まあいい。危ないかもしれないから離れててくれ」

「はーい」


ミツキ達が10メートルくらい離れてるのを確認してから改めてスキルを確認する。

『空を制し、空を自在に誰よりも速く飛ぶことが出来る』

とあるし、飛行スキルなのは間違いない。

まずは垂直方向に飛んでみるか。


「『飛べ』。……っ!」


一瞬で切り替わる視界。

さっきまで草原と森しか見えてなかったのに、今は木しか見えない。

恐らく3メートルくらい飛び上がったんじゃないかな。

下を見ればミツキ達が見え、って、落ちる!?

3メートルの高さから地面に落ちたら失敗すれば骨折するかな。

こうなったら地面にぶつかる前にもう一度スキルで飛び上がるか。


「……今だ『飛べ』っ」


地面すれすれから再び先ほどと同じ高さまで飛び上がる俺。

って、これじゃあ着陸出来ないだろうに。

えとえと、そうだ。出力を抑えてやるとかどうだ?

それなら落下エネルギーと相殺されていい感じになるんじゃないか?


「えっと半分くらいで『飛べ』」


おっ、おお。

よしよし。2メートルくらいの高さで納まったな。

これなら後は問題なく着地できる。

ふぅ。無事に着地出来たところで見学していたミツキ達が声を掛けてきた。


「お兄さん。凄い!なんか一人トランポリンしてるみたいで面白かった!」


ミツキよ。それは誉め言葉か?

それに別に遊んでる訳じゃないんだが。


「それで今のスキルは何なの?」

「あ、そう言えば言ってなかったか。『片翼の王』っていう飛行系スキルなんだ」

「おぉ格好いい名前!

あれ、でも飛ぶって言うよりかは飛び跳ねてなかった?」


言われてみれば。

飛び上がっては自由落下してを繰り返しただけだからな。

飛ぶって言ったらこう、翼を羽ばたかせてゆっくり持ち上がっていくようなイメージだよな。

じゃあそっと飛び続けるようにしてスキルを使えば。


「お……おぉ!って、うわっ」


無事に浮き上がったかなって思ったところでバランスを崩して半回転してしまい、慌てたせいでスキルが切れたのか背中から地面に落下した。


「いったたた」

「ぷぷっ。大丈夫?」

「まあ何とか。どうやらバランスを保つのが難しいみたいだ」


説明にも片翼だから色々制約が付いてるってあったしな。

レベルが上がればもうちょっと安定するかもしれないけど、現時点では飛び続けるのは厳しいみたいだ。


「残念だけど空を自由に飛ぶのは当分先になりそうだな」

「じゃあ折角の新しいスキルなのに使えないの?」

「いや。まだそうとは決まってないさ。

幸い、今何回か使ってみても疲れた感じはしないし、ミツキのスキルと違って燃費は良いみたいだからな。

飛び続けるのは無理でも連続で飛び上がり続ければ高く飛べるかもしれない」


俺はもう一度スキルを使って飛び上がり、更に頂点に達したところでもう一度スキルを使用する。

飛んで飛んで飛んで飛んで、とん……あ、あれ。

4回連続使用したところで次が続かなくなった。

連続使用制限とか、そんな感じかな?

でもちょっと待って。現在高度は12メートルくらい。

ここから落ちたら流石にマズいだろう。と思ってるそばから自由落下。


「『飛べ』はやっぱダメか。ならえっと、減速とか軟着陸とかそんな感じでとにかく落下よ『止まれ』」


必死の願いが通じたのか、地上1メートルで止まる俺の身体。

でも止まったのも一瞬で、またもや体勢が崩れたかと思ったら地面にダイブしていた。


「ふぅ。死ぬかと思った」

「お、お兄さん大丈夫?」

「何とかね。飛べなくなった時はダメかと思ったけど、何とか一瞬だけでも落下を止めれて良かった」

「さっきはトランポリンみたいって言ったけど、どっちかというと遊園地のフリーフォールの方が近い?」

「そうかもしれないな」


飛行スキルだと思ってたら実は絶叫マシンだったって落ちか。

俺あんまり絶叫系は得意じゃないんだけど。

あの頭に血が上る感じとか重力とかで体が圧迫されて苦しくなるのとか、好んで体験したいとは思えない。

って、待てよ?


「ちょっともう一回やってみる」

「え、うん。気を付けてね」


気になったことがあったのでもう一度飛行スキルを使って地上3メートルの高さまで飛び上がった。

何度も使って目が慣れたのか、最初の時よりも飛んでる最中の状態も把握できるようになってきたな。

そして落下。ああ、やっぱりだ。


「ただいま」

「おかえりなさい。で、何か分かった?」

「ああ。どうやら飛んでいる最中は落下も含めて空気とかの抵抗を受けないみたいだ」


飛び上がっても髪が風に靡くことすらなかったし、体内の血流に影響も無かった。

そのお陰で冷静に考え事をする余裕もあったし周囲の事も把握出来た。

これなら後は飛距離と連続使用回数さえ増やすことが出来れば、空中を自在に飛び跳ねることができるだろう。

残念ながら優雅に飛ぶってのは無理だけどそこは我慢しよう。



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