27.まだまだ弱小領主です
この先のルート分岐が多すぎてどれにしようか悩み中です。
頭の中でずっと「普通じゃないルートが良いよ」と悪魔の囁きが聞こえますが、それをすると執筆がハードモードになりそうで怖い。
近隣の敵対勢力が無くなったことで地方領主となった。
ミークの話では今はまだ他の領主にここのことは知られていないけど、知られたら攻めてくる可能性は十分にあるようだ。
「一難去ってまた一難。弱小領主は今度は中堅領主の良いカモってことか」
「そうにゃ。世知辛い世の中にゃ。
だから領地の情報は極力秘匿するか、同盟を組んだり大領主の庇護下に入るのが一般的にゃ」
そう言いながらミークは世界地図のようなものを取り出して見せてくれた。
ただそれは大まかな地形と幾つかの国家が記載されているだけの簡素なものだった。
「大陸の中央には天山と飛ばれる世界一高い山があって、頂上まで行くと神様が住む天界に行けるという伝説があるにゃ」
「伝説ってことは誰も頂上には行けてないって話か?」
「少なくとも頂上まで行って戻って来たっていう人はいないにゃ」
天界に行ってしまったのか、途中で死んだのかは定かではないってことか。
登山家なら危険を顧みず登りたくなるだろうけど、俺は登山家じゃない。
この世界の真理に近づけるのかもしれないけど、命がけって言われたら躊躇うな。
「天山の他にも4つの秘境と呼ばれる場所があるにゃ。
まあどこもすぐに領主様に関係するものではないから今は気にしなくて良いにゃ。
重要なのはここからで、人間と魔物の勢力図についてにゃ。
現在は人間が5つ、魔物が3つの大国が存在するにゃ。
魔物の方が数は少ないけど、1つ1つの規模は人間の国よりも大きいから、ある意味均衡が取れてる状態にゃ。
ただ同じ人間、魔物と言ってもお互いに仲が良い訳では無くて、隙あらば攻め滅ぼして天下統一してやろうと目論んでるって言うのが一般的な見方にゃ。
だからどの国の傘下に入るかはしっかり考えてからの方が良いにゃ。一度入ると別の国に入ろうとしてもスパイと疑われて門前払いにされる可能性があるにゃ」
「なるほど。ちなみにここから一番近い国はどれになるんだ?」
「それは分からないにゃ」
「分からない?」
地図には大まかにではあるが各国の所在が記載されている。
それなのに分からないってことは、あ、つまり。
「ここが地図のどの辺りなのかが分からないのか」
「そういうことにゃ。うちは商人専用のルートで近くまで転移してきてるんにゃけど、転移先の位置情報は分からないのにゃ。
雪が降ってるとか砂漠があるとかの特定の気候があればおおよそは予想できるけどにゃ」
なるほど。長距離転移の弊害ってところかな。
「と、そうだ。結局あの長距離転移門ってのは何なんだ?」
「名前の通り遠くへ行き来するために使う門にゃ。
と言っても初期状態で行けるところは『自由広場』のみにゃ。
それ以外については随時登録していく必要があるにゃ」
聞けば複数の領地を行き来する場合や同盟国への移動に使うのが主なようだ。
自由広場っていうのはお互いの身分を隠した状態で行うフリーマーケットの様なものだった。
自分の領地で手に入った珍しいものを持ち寄って物資や資金と交換が行われるらしい。
中には鉱石や原石を買って加工して販売する二次産業で儲けている領地とかもあるのか。
うちは残念だけど特別売れそうな物はまだ何もない。
今後は特産品なんかの開発をする必要も出てくるかもしれない。うーん、やる事が増えるな。
そしてそれ以外の転移門の使い途だけど、多くの場合は他の領地に攻め込む時に使われる。
といっても突然村の中に転移されることは無く、転移可能ポイントっていうのが各領地によって決まっていてそこから第1防衛ライン、第2防衛ライン……本拠地の攻略となる。
「別に門と門が繋がってる訳じゃないんだな」
「そうじゃないと危なっかしくておいそれと設置出来ないにゃ」
「そりゃそうだ」
あ、でもむしろ敵が門からしか攻めてこないなら、門の前に即死級トラップを設置しておけば万事解決な気がする。
でもきっとすぐに対策を取られるだけか。
みんな考えることは同じだろうし。
「ちなみにここの所在が知られてないなら引きこもってこっそり暮らすのはダメなのか?」
「ダメじゃないけどお勧めはしないにゃ」
「どうして?」
「数年に1度、大災厄と呼ばれる現象が起きるにゃ。
これが起きると世界中に魔獣が溢れかえって力のない領主は飲み込まれ、国家クラスでもかなりの被害を受けるにゃ」
「それは人間側だけが一方的に被害を受けるのか?」
「んにゃ。魔獣と魔物は別にゃ。魔獣は人間も魔物も関係なく襲うにゃ。
さっきの秘境はこの魔獣の巣窟でもあるにゃ。だから一説には秘境の魔獣が大災厄を引き起こしているんじゃないか、なんて言われてるにゃ。
まあそんな訳で大災厄が起きる前に力を付けるために、頭を下げて大国の援助を受けるのが得策にゃ。
上手く取り入れば防衛軍を派遣してくれる可能性もあるにゃ」
人と魔物が敵対していて、更に両方の敵として魔獣が居る訳だ。
でも魔物が率いていた狼やゼフの例がある通り、必ずしもすべての魔獣が敵だという訳でも無いんだろう。
上手く付き合う事が出来れば大災厄だって戦わずに乗り越えられるかもしれない。
「それでどうするにゃ?
何処かの大国の下に付くなら紹介状くらいは書いてあげられるにゃ」
「ん~ひとまず保留で」
「分かったにゃ。気が変わったらいつでも言うにゃ」
「うん、ありがとう」
「じゃあうちはそろそろ行くにゃ。
あ、そうそう。もう間もなく神様からの保護期間が終わるはずにゃ。
色々勝手が変わるそうだから頑張ってにゃ」
そう言い残してミークは去って行ってしまった。
保護期間?何のことだろうか。
首をかしげる俺を夕焼け空が赤く照らしていた。
領地人口:約600人




