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25.本当の領主様に

倒れ伏すボスを見送った後、俺は急ぎ戦況の確認をした。

いや、しようとして既に俺達以外の戦いは終わっているようだった。


「えっと、みんな早かったんだな」

「いえ、領主様の戦いが激戦だっただけです」


自分の感覚では10分くらいかなって思ってたけど実際には1時間ほど、俺はこのボスと殺りあっていたらしい。

30分ほどで戦闘を終えた皆は手を出すに出せなくて、じっと見守ってくれていたらしい。

ミツキだけは俺に何かあった時にいつでも介入できるようにと機会を窺ってくれていたそうだ。


「というか、お兄さんは何か武道をしてたの?」

「どうして?」

「見ていて動きが的確だったし、いくらこの世界に来て多少は身体能力が上がっていてもボスの攻撃をあそこまで綺麗に避け続けるのは無理だから。

1回2回ならともかく、連続となるとどうしても動きに迷いが生じたり態勢を崩してしまうのが普通なのよ」

「護身術程度に軽く習っただけなんだけどな」


そう言えば習いに行った時の先生方にも君は筋が良いって褒められたっけ。

あの時は社交辞令かなって思ってたんだけど、そうでも無かったようだ。


「それより、回収するものを回収して村に帰ろう」

「はい!」


俺達は集落に残されていた物資を全て回収した後、ファースの村によって預けていた村人と合流してから自分の村へと帰った。

ちなみにイメーコの方は襲って来た狼たちを殲滅した後は早々に村へと帰っている。

彼らの本来の役目は留守居だから間違った動きではない。

言伝に『疲れたから帰ります』とあったけど、彼なりのジョークと考えておこう。

村に帰って来た俺はひとまず領主館の自室へと顔を出した。

もしかしたらまた木札が山になっているかもしれないと思ってたんだけど、今回は1つも無かった。

神様の怠慢でないことを祈ろう。

と、そこへ聞こえるはずのない声が聞こえてきた。


「へぇ。ここがお兄さんの部屋なんだ~」

「……あれ?なんでミツキが居るんだ?」


ファースの村に寄った時に「今回はありがとう。じゃあまたな」って言って別れたはずのミツキがなぜか興味津々に部屋の中を物色していた。


「意外と片付いていてザ・男の人の部屋って感じ。お花くらい飾ればいいのに」

「いやまぁ碌に使ってないからな。

って、そうじゃなくて。ミツキが居なくて向こうの村は大丈夫なのか?」

「大丈夫大丈夫。元々あたしなんてお飾り領主みたいなものだし。

そ、れ、に。あたしはもうお兄さんの部下になったんだよ?

つまりあたしの村もお兄さんの傘下に入ったって事でしょ」

「え、いつの間に」


アルファの集落を攻める前に俺の指揮下に入るって言ってたけど、てっきり集落を攻め終えるまでかと思ったらそうでも無いらしい。


「将来的に見てもお兄さんの村と争って勝てる見込みは無いし、そうなるとどっちみち吸収合併みたいな形になるでしょ?

それが早いか遅いかだけの違いしかないと思うよ」


お互いに独立不干渉とは、多分行かないか。

時間が経てばまた新たな魔物の集落が出来て襲撃を受けることになる。

襲撃が起きる度に今回のように救援を行うようなら、いっそ合併した方が楽だ。

でもそっか。

そうすると現時点で近隣に敵対する村や集落は無くなったことになる。

これ以上遠くに手を出そうとすると往復だけでかなり時間が掛かってしまうので大変だ。

いっそ今後はのんびり内政を進めていくか。

この世界に来てから何だかんだ襲撃したりされたりで忙しかったからな。

ここらで骨休めも良いだろう。

と、思っていた俺の希望は2日後にやって来た行商人のミークによって打ち砕かれた。


「地域統一おめでとうございますにゃ。

お祝いに長距離転移門を贈らせて頂きますにゃ。

使い方は後程お伝えしますが、これがあればリュウジュ様も1地方領主として世界中の領主や国家と対等に渡り合う事が可能ですにゃ。

独裁国家を目指すもよし。連合王国を目指すもよし。世界統一を目指すのもよし。

夢が広がりますにゃあ」


言いながら村の南端にドドンと巨大な石門が設置された。イメージは地獄の門だな。

って、それ何処から出したんだ?絶対馬車には乗らない大きさと重さだろう。

しかしそうか。

ここら一帯では最大規模になったと言っても世界から見ればまだまだ弱小の駆け出しも良いところだ。

むしろ一歩間違えれば蟻を踏みつぶすように簡単に大国に滅ぼされるに違いない。

今後は安易に攻めればいいのではなく、しっかり相手を見極めながら外交を駆使して行く必要があるって事だ。

はぁ。

俺そう言う駆け引きって苦手なんだけどなぁ。


「あ、あと国旗を作る必要がありますにゃ。

大まかなデザイン案を出してくれれば用意するので、それを領主館と各村の門の所に飾っておく必要がありますにゃ」

「国旗かぁ。まぁ俺の名前が竜樹だから大木に巻き付く竜でいいか」

「分かりましたにゃ。じゃあ次来た時に持ってきますにゃ」


自分で言っておいてなんだけど、大木=世界樹に巻き付く竜というか蛇?って言ったらニーズヘッグか?

若干格好良すぎる気もするけど、まあいっか。





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