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21.次に進む前に

俺達の姿を見つけてヨサクが駆けつけてきた。

見ればヨサクの全身は返り血が酷いことになってるし所々血がにじんでいる。

どれだけ激戦だったのかがよく分かるな。


「お疲れ様。被害状況は?」

「はっ。うちの村は死者2名。重傷者が20名ほどです。

またこの村の被害は建物の1/3が全壊。住民は兵士を中心に半数近くがやられています。

まともに動けるのは15人と言ったところでしょう。

今はワカメさん達が中心になって生き残った人たちの治療を行っているところです」

「そうか。やはり犠牲をゼロにしたいっていうのは中々難しいな」

「そこは皆理解した上で領主様に付いてきておりますので気に病まれませぬように」

「ああ、ありがとう。

みんなには今のうちに休息を取るように伝えてくれ。

ワカメ達の治療がひと段落したら次に行くからな」

「ははっ」


俺の指示を受けて走り去っていくヨサク。

あいつだって疲れているだろうに、もっとゆっくりでも良かったんだけどな。


くいっ

「ん?」


袖を引かれたと思ったら女の子、ってまだ名前を聞いてなかったな。


「そう言えば君の名前は?」

「ミツキよ。ってそれよりも、もしかしてあなた、領主様だったの?」

「まあな。ここの近くにある村の領主をやっているリュウジュだ」

「そう言えば行商人の人から近くにうちより大きい人の村があるとは聞いていたけどあなたがそうなのね」

「だろうな。他に近くには大きいところは無いはずだから」


一瞬、行商人がどこまで話しているのか気にはなったが、内部事情までは話していないと思いたい。

もしかしたらそんな良心的な人ばかりじゃないかもしれないけど、ミークは大丈夫だと信じよう。


「それと、さっき次がどうとか言ってなかった?」

「まあな。今襲って来た魔物たちの集落が、今なら戦力が半減してるはずなんだ。

これを逃すと俺の所と互角かそれ以上になっちまう。倒すならこのタイミングしかないんだ」

「そんな!ついさっき激戦を終えたばかりだというのに」


ミツキの驚きはよく分かる。

俺だって本当なら皆をしっかりと休ませて準備万端な状態で戦いたい。

しかしそれは敵にも回復する時間を与えてしまうことになる。

そうなれば消耗戦は免れないだろう。

だから多少無理してでも今から攻めるしかない。


「うちの重傷者をこの村で休ませてやりたいんだが頼めるか?」

「それは勿論良いけど」

「ありがとう。

よしみんな。今から30分後に出るぞ。ヨサクとマスオは俺の所に来てくれ」

「って、待ちなさいよ!」

「ん?」


ミツキとの話も終わって作戦会議でもするかと思っていたら呼び止められた。

まだ話すことなんてあっただろうか。


「助けられて『ありがとう、さようなら』で終わる訳ないでしょ!

あたしも行くわ。無事だった兵士も全員引き連れてね」

「いやでも、こっちの復興もあるだろう?」

「それは村人に任せておけば大丈夫よ。兵士は残しておいてもほとんど復興の役には立たないんだから」


そういえば兵士ってそういうものだったな。

うちは結局、専属兵士っていうのは作ってないから忘れそうになる。


「分かった。俺としても戦力は少しでも多い方が良いからな」

「ならあたし達は今からあなたの指揮下に入るから。しっかり頼むわね主将キャプテン♪」

「キャプテン?」

「あれ、おかしい?でも監督、でもないし、コーチっていうのも変だしリーダー的な存在って言ったらやっぱりキャプテンかな~って」

「それってあの、もしかしてと思ってたけど部活のノリか?」

「そうそう。ってやっぱりリュウジュさんも話通じる感じ?」


ここまで話してた感じそうなんじゃないかなって薄々考えてはいたけど、ミツキも元は俺と同じ日本人だったようだ。

なら現状に対する感覚も一緒かな。


「それにしてもこの世界ってまるで」

「うん。まるでVRゲームみたいよね」

「ん?」


あれ?なんかよく分からない単語が出てきたんだけど。

実は同じ日本と見せかけてパラレルワールド的な?

少なくともそんな名前のゲームは聞いたことが無いんだけど。


「VR?なんだそれ?」

「えぇ!?リュウジュさん、VRを知らないってどんなド田舎で暮らしてたの!?」

「いや、1年くらいアメリカ留学はしてたけど、そんなの聞いたことない。あ、もしかしてカードゲームのヴァルハラロワイヤルの略か!」

「違うから。そんなカードゲーム聞いたことも無いから。

ヴァーチャルリアリティ。仮想現実!ゲームの世界に入り込んで遊べるやつよ。

アメリカでも思いっきり流行ってたはずでしょ?」

「いやそんなのSF映画でやっと取り扱ってるような話だろ」

「いやいや。21xx年には完全ダイブ型の第1世代機がリリースされてるから」

「そんな100年以上先の話されても……あ」

「あ、ああ~」


ようやく合点が行った。

同時期にこの世界に来たから、てっきり元の世界でも同じ年代だったんだろうと思ってたのに、まさか100年以上の開きがあったようだ。

ただ、それが分かったところで元の世界に帰れる訳でもないんだけど。

と、何故かミツキがじーっと俺の顔を覗き込んでいる。


「ん、なんだ?」

「いや、そう考えるとリュウジュさんってあたしから見たら超おじいちゃんかなって?」

「おじいちゃんやめぃ」

「じゃあ見た感じ年上みたいだし、お兄さんって呼ぶのもありかも」

「……俺妹居た事ないんだけど」

「新鮮な体験が出来て良かったね。お兄さん」


ニコッと笑うミツキ。

なんだろう。ここに来て突然距離が近くなったような。同じ日本人だと分かったからか?

まあ俺自身、同じような境遇だって分かったら、面倒みてやらないとなとは思い始めてるが。

でも妹かぁ。

何か不思議な感じだな。



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