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20.決闘少女

敵方の大将は普通のオークよりも大きく先日倒したボスよりも貧相な見た目だった。

さしずめオークリーダーってところか。

でも部隊を指揮するより自分が前線で暴れることを優先するタイプみたいだな。

後ろの戦況の変化なんて気にもしてない。


「キサマ、コロス。オレタチ、カツ」

「まだ皆頑張ってくれてるんだから。ここであたしが負ける訳にはいかないのよ!」


見たところ2人の戦力は互角。

女の子の方がスピードは勝っているけどパワーではやや不利といった具合だ。

しかし向うにはお供のオーク達がいる。

スピードを活かしてクリーンヒットは受けないようにしてるけど多勢に無勢でジワジワと押されてる感じだ。

それなら。


「その意気を買って、邪魔なオーク達は俺が相手をしよう」

「あなた、兵士じゃないでしょ?危ないわよ!」

「確かに兵士じゃあないな。でもグレートオークに比べたら楽勝だ」


言いながら俺は手近なオークを袈裟切りにして倒してみせる。


「ほらなっ」

「ほらなって、あなたもしかして将軍級なの?」

「いや、そうでもないけど何とかなるものだ。

と、無駄話はそれくらいにして、そっちのオークリーダーは任せて大丈夫か?」

「もちろん。邪魔が入らなければ余裕よ」


目を細め、身をかがめる女の子。

凄い集中力だ。恐らくもう狙いのオークリーダーしか見えていない。

どうやら彼女は決闘特化の戦闘技能の持ち主みたいだ。

一瞬時が止まった錯覚に陥った次の瞬間。


「ヤーーッ」

「ガッ」


鋭い掛け声と共に敵の心臓へと放たれた。

しかしそこは流石将軍級。何とか身体を逸らして急所は回避。

それでも女の子の1撃はオークリーダーの左腕を切り落としていた。


(刺突でなんで丸太のような腕が落ちるんだろうな)

「っと。感心してる場合じゃないか。あんな大技の前後はやっぱり隙だらけだ」


技を放って態勢が崩れた所にオーク達が殺到するが、その手前で杖に持ち替えた俺が邪魔をする。

ちなみにこの杖も先端部分を鉄で補強しているので打撃力と重量が増して遠心力を利用すればオークを吹き飛ばすことくらい余裕だ。

更にはゼフが鋭い爪と牙でオーク達の首を切り裂いていく。お陰でもう魔物で真面に動けるのはオークリーダーだけだ。


「そっちはまだ行ける?」

「もちろん。援護ありがとう」


肩で息をする女の子。

さっきの一撃は強力な分、かなり体力を奪うみたいだな。

戦況的には片腕を落とされて重傷な向うの方が不利だろうけど。

と、オークリーダーが剣を持った右手を高々と頭上に持ち上げた。

大上段の構え。

隙だらけにも見えるそれは、次に飛び込めば最大威力の一撃で迎撃するぞ。自分の方が早いと思うなら掛かって来いという挑発でもある。

身長差は50センチ以上。かなりのプレッシャーだろう。

それでもなお、女の子は先ほどと同じ構えを取った。

にらみ合うふたり。

先に動いたのはやはり女の子の方だ。


「ヤーッ」

「フンッ」


突撃する女の子に合わせて振り下ろされる大剣。

タイミングは確実に先に大剣が女の子へと届いていただろう。


キンッ

「ナッ」


大剣はしかし振り下ろす途中で俺の杖に阻まれていた。

まさかの事に驚く間もなく、オークリーダーの胸に深々と女の子の剣が突き刺さりその命を奪った。

体力を使い果たし地面に膝を落とした女の子がじろっと俺の方を見た。


「余計なお世話。でも助かったわ」

「お見事でした。さ、後はゆっくり休んでていいよ」

「そうもいかないわ。まだ皆戦ってるんだから」


剣を支えにしながら何とか立ち上がる女の子。

確かに言う通りオークリーダーが倒れたと言っても戦い自体は終わっていない。

やはりボスとは違うということなんだろう。

でも戦況はといえば既に大局は決まっている。

ここから見た感じトロルは4体とも倒されているし、残りのオーク達が倒されるのも時間の問題だ。

女の子に肩を貸して前線に辿り着いた時にはもう雲も晴れて戦いが終わったことを示していた。

村の様子はなかなかに酷い。

トロルが暴れたであろう場所は建物が粉々に砕け散っている。

通常の戦争なら辺り一面死体だらけなのだろうけど、この世界はなぜか死体は残らないから地面にはその激しさを示すように抉れたり折れた剣が落ちているだけだ。

それでも相当数の人が死んだのが分かる。


「ねえ、もっと早く援護に来れたんじゃないの?」

「出来なくは無かったけど、それをするとこの村が戦ってるのか俺の村が戦ってるのかが分からない状態になっていただろうな」


今回は魔物がしっかりとこの村に食い込んだタイミングで攻撃を仕掛けると伝えてあった。

もしその前に俺達が攻撃してしまったら、魔物たちはこの村を無視して俺達と全面戦争を行った可能性がある。

そうなってしまえばこの村にとって今回の襲撃は対岸の火事で自分たちの村に閉じこもってしまったかもしれない。

それでは色々と困るんだ。だからちゃんと狙いはお前達なんだと理解させたいが為の時間差だった。

まぁマスオが勢い余って早めに攻撃を仕掛けたのには驚いたけど。






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