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13.凱旋するとそこには

戦闘に勝利した俺は皆に物資の回収を命じた。

どうせ残しておいても意味が無いからな。根こそぎ頂戴するとしよう。

あ、でもあれは良くないな。


「食料関係には手を出すな。

魔物には食べれても俺達には毒なんてことは良くあるからな」

「はっ」


元の世界でも占領した敵軍の食糧庫が毒に冒されていて、気付かず食べた兵士たちが死んでいくという、所謂ブービートラップが存在した。

あの魔物たちにそこまで考える余裕があったとも思えないが、今後も無いとは限らないからな。


「領主様。物資の回収終わりました」

「よし、では俺達の村に帰るぞ」

「「はい」」


今回も無事に誰一人欠けることなく戦いを終えることが出来た。

毎回こんなにうまく行くとは限らないが、今はまだ勝ち続けて士気を高めていく事が重要だろう。

敗北から学ぶのはまだ先で良い。

あ、でも。


「お前達、浮かれすぎ。

もしかしたら俺達が居ない間に村が襲撃を受けてる可能性もあるのだから、油断はするな」

「そ、そうでした」


この短い間にそんなことはないと思いたいが、最悪の場合は考えておかないとな。

でも今回に限っては完全に杞憂に終わったようだ。

戻って来た俺達の前には出る前と何も変わらない村の姿があった。


「では各自、村の施設に異常が無いかを確認した後、解散。今日の所はゆっくり休んでくれ。

初陣ご苦労だった」

「「はは~」」

「それと、領主館1階の浴場を解放する。

男女で時間を区切って利用すること。

どっちが先に使うかは、そうだな。ヨサクとワカメでジャンケンをして決めてくれ」

「じゃんけん?」


あれ、この世界にジャンケンはないのか。

えっと、どう説明すれば伝わるだろうか。ハサミとか紙を彼らが知ってるとも思えないしな。

確か元ネタのパターンの1つでは、グーが打撃、チョキが急所突き、パーが掌打を意味するんだっけか。

打撃グー掌打パーで受け止められ、掌打パー突きチョキで貫かれ、突きチョキ打撃グーにへし折られるとか何とか。

想像するとちょっと怖いけど、ちょっとした遊びだと強調しておけば大丈夫だろう。

結果、なぜか俺の株が少し上がった。いや、格闘技にも精通してるんですねって、知識だけだから。

あと先に女性陣が風呂を使うことになったようだ。

男性陣はそれぞれ、自分たちが担当の小屋と畑に向かっていった。

じゃあ俺も自室に戻って少し休憩するか。

流石に最後のオーガの一撃はなかなかにきつかったからな。

多分これまでの2度の戦闘経験が無ければ間に合わなかったか、間に合っても腕がへし折られていた可能性が高い。

何となくだけど、戦いを繰り返す内に俺の戦闘力も上がっている気がするんだ。

その辺りはゲーム的に言えばレベルが上がってるって事になるんだろう。

そんなことを考えながら自室の扉を開けると、そこには大量の木札の山が俺を待ち構えていた。


「凄い量。というか最近全然木札を見ないなと思ってたら全部こっちに置いてあったんだな」


この部屋って寝室と執務室を兼ねているんだけど、基本俺は外で村づくりの陣頭指揮を執っている事が多くてなかなかこの部屋に戻ってくることは無い。

そのせいで気付くのが遅れたようだ。

折角なので内容を確認してみると、どうやら工房を作る前くらいから溜まっていたようで『工房を作れ』『近隣の魔物の集落を攻めろ』など既に終わった内容もあった。

というか、この木札を読まなくても自由に行動は起こせるんだよな。

この木札は俺に対して強制力を働かせる訳でもないし。

でも中にはまだ有益な情報もあった。

例えば『投石具を作れ』とか『魔物の侵入経路を予測して落とし穴を作れ』とかだ。

そう言えば近距離戦闘用の武器ばかりで遠距離攻撃の手段が無かった。

今回のオーガよりも大型で強力な魔物が出てきた場合、それが無いと詰む危険性もある。

これは早めに用意させて訓練させた方が良いな。

他に驚いたのは『小屋をレベルアップさせろ』というものだ。

確かにこのまま村の人口を増やそうと思ったら今いる広場が小屋と畑だらけになってしまいそうだからな。

2階建てになったり、アパートみたいな集合住宅になったりするのだろう。

ちなみにレベルアップには追加の資材と魔石とお金が必要らしい。

やはりいつの時代も世の中金か。

いや、じゃなくて、そもそもこの世界にお金の概念があったのか。買い物にいく街も見つかってないし良くて近隣の村との物々交換だと思ってた。

でも困ったな。

お金なんて持ってな……あるな。

資材と同じように確認したらいつの間にか80マニー持ってることになってる。

マニーっていうのがこの世界の通貨単位のようだな。

でもいつの間に?考えられる可能性と言ったら魔物の集落から回収したとかか。

魔物がお金を集めている?なんかイメージと違うんだけど。光物だから?

しかしその答えは最後に手に取った木札に書かれていた。


『近隣の村を襲撃し資金を調達せよ』


この言葉が何を意味しているか。

そして現在の所持金が80マニーである理由。それはきっと8人分・・・だということだ。

この世界では魔物を倒せば魔石が出てくる。

なら人を殺せば?きっとお金に変わるんだと思う。

80マニーはきっとさっき襲撃した魔物たちが『チュートリアルで襲撃してきた人間を倒した結果』だ。

この木札の内容からして、魔物じゃなくても人を殺せばお金になる。

考えたくは無いが自分の村人を殺してもお金になるのかもしれない。そんなことは何があってもやらないが。

どうやらこの世界は予想以上に殺伐とした世界のようだ。







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