110.アポロンとの空中戦
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「いいね」機能が実装されたということで早速ONにしてみたところ、
はやくもいいねをして下さる方が居て大変喜んでいます♪
神聖教国首都の上空で空中戦を繰り広げていた。
前後左右上下、自在に飛び回っては魔法を放ち接近して切り掛かる。
これ俺の飛行スキルが治って無かったらヤバかったな。
帰ったら礼の一つでもしておくか。
「フンッ」
「よっとあぶない」
アポロンが放つ魔弾を急旋回を繰り返して避ける。
そして避けきったところで俺が一気に接近して切り掛かれば向こうも防壁を張りつつ距離を取る。
さっきからその繰り返しだ。
飛行に関しても魔法攻撃に関しても向こうの方が一日の長があるから中々に大変だ。
俺の遠距離魔法だとダメージを与えられるか怪しいし。
かと言って剣で戦うにはいちいち近づかないといけないし近づけば魔法が避けにくくなるのでこちらが不利だ。
「チッ、ちょこまかと。王とはいえ人間ごときが大人しく倒れろ」
「そっちこそ。神だとか偉そうに言ってたんだから大魔法でバーンと派手にやったらどうだ」
ついでにそれで隙を見せて俺に切られてくれ。
「ふんっ。そんなもの貴様には勿体ないわ。
それにどうやら貴様は空は慣れていないみたいだな。
随分と息が上がっているようじゃないか」
「それを言ったらそっちは戦い慣れてないんじゃないか?
魔法の狙いが甘いし。いつも後ろで偉そうにふんぞり返ってるからそうなるんだよ」
言葉の応酬をしながら攻撃も続けるけど、このままだと埒が明かない。
アポロンの言う通り俺はまだそれほどこの翼で飛び慣れてはいない……あ、そうか。
別に敢えて『飛行』する必要はないんだ。
「『飛躍』」
「なにっ!?」
突然直角に進行方向を変えた俺をみて驚くアポロン。
更に中空を蹴って一気に肉薄しつつ剣を突き刺す。
その一撃は見事アポロンの防御を潜り抜けてダメージを与えることに成功した。
「ぐっ」
「残念、足か。でもこれで形勢逆転だな」
お互い空を飛んでいるのだから足を切られても動きが鈍ることは余りない。
それでも攻撃が通ったことに意味がある。
次は翼、もしくは急所にだって当たる可能性があるのだから。
俺は跳弾よろしくアポロンの周りを駆け抜けすれ違いざまに切り付けていく。
「これでもう落ちるのも時間の問題かな」
「人間風情が。調子に乗るな。
だがまあ、よくやった方だと褒めてやろう。しかしそれもここまでだ。
出来ればこれは使わずに終わらせたかったのだがな」
そう言ってアポロンは防壁を展開しつつ両手を上に掲げた。
すると地上から幾筋も光が飛んできてアポロンの手の上に集まっていく。
光の出どころを見れば城を守っていた側の人間達だ。
彼らはうめき声を上げながらバタバタと倒れ、一部は存在そのものが光に変わりそれも全部アポロンへと集まっていく。
まさか自分を信奉する人間の命を根こそぎ吸い取っているのか。
「お前は自分の国の人間を何だと思っているんだ!」
「家畜だろう。道具と言い換えても良いがな」
俺の怒りにアポロンは当然のようになんでも無いかのように言ってのけた。
むしろ俺が怒っているのを理解出来ないというように首を傾げ、どこか納得したように頷いた。
「なんだ。気付いていなかったのだな。
この世界に居る人間も魔物も、一部の領主や王を除いてその命に価値などない」
「どういう意味だ?」
「ふっ。今から死ぬ貴様が知る必要も無かろう。
さあ懺悔の時間だ。最後の慈悲として苦しむ間もなく消滅させてやろう。
無駄な荷物を背負った貴様ではこれは避けられまい」
アポロンは頭上で直径5メートルに達した光球を俺に向けて投げ飛ばした。
その速度は決して速くはない。
しかし放物線を描いて飛んでくるそれは避ければ向かう先は地上の街だ。
そこにはミツキを始め多くの仲間が居る。
「避ける訳には行かない、か」
とはいえ受ければ生き残れる可能性はほとんどないだろう。
自分を取るか仲間を取るか。
覚悟を決めようとしたその時。地上から何かが飛んできた。
「あたしたちがお荷物だなんて言わせないわ」
飛んできたのはミツキだった。
恐らく刺突スキルで自分自身を槍に見立てて飛ばしたのだろう。
それは一直線にアポロンの放った光球へと向かっていく。
まさか俺の身代わりになるつもりか。
「ミツキ。待てっ!」
俺の制止も無視してミツキはそのまま光球へと突き刺さった。
瞬間。
俺とアポロンの中間あたりで大爆発が起きる。
あまりの光と爆風で何も見えなくなった。
「くそっ。ミツキ!!」
この威力だ。防御の苦手なミツキじゃひとたまりも無いだろう。
まさか彼女を犠牲にしてしまうとは。こんなことならもっと入念に作戦を練ってくるべきだった。
そう悔やむ俺の元に明るい声が届いた。
「お兄さん後よろしく~」
「って、ミツキ。無事だったのか!?」
光が収まって地上を見れば何事も無かったかのようにミツキがこっちに手を振っている。
どういうことだ?
「いやね。光球には剣だけ突き刺して、あたしはすぐに離脱したの。
そんな、自分を犠牲にしようなんてする訳ないじゃない」
「そ、そっか。まあ無事なら良かった」
「それより。あいつさっきから街の上空しか飛んでないの。
もしかしたら外に出られないんじゃないかな」
ん?それってまさか。
確かアポロンのスキルは『聖域』だ。
つまりこの街の中に居るお陰でやつの能力が強化されている可能性が高い。
「よし、ならば」
俺は大技後で動きが鈍っているアポロンに対してタックルを仕掛けた。
ガッチリ腰のあたりを抱え込む。
その際前からではなく後ろにまわることで反撃されにくくすることも忘れない。
ただそうするとちょうど手が奴の正面にまわるのでうっかり当たったりもする。
どうやら神にも性別はあるらしい。声の感じからしてもそうだろうなと思ってたけどアポロンは♂か。
「くそっ。放せ、このっ」
「俺だって男に抱き着く趣味は無いから街から出たらすぐ放すさ。それまで待ってろ」
ジタバタ暴れるアポロンに構わず飛び続け、無事に街の外に出たところでアポロンの足を掴んで地面へと投げ飛ばした。
「これはおまけだ」
「ぐはっ」
手持ちの剣を投げ槍の要領でアポロンの落下地点に投げつければ、特に抵抗されることなく奴を地面に縫い留める事に成功した。
どうやらミツキの予想通り、街の外に出たことでスキルが正常に発動しなくなったみたいだな。




