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11.いざ出陣

近隣の調査を開始させてから1日が経った。

その間に小屋もさらに増え村人も60人まで増えている。

ちなみに女性は20人。全体の1/3だ。これが多いのか少ないのかは何とも言えない。

また狼素材を使った手ヤリと胸当ても10組完成し、木製の杖とトンファー、盾も全員に行きわたるだけ完成した。


「領主様、調査に向かっていた者たちが戻りました」

「ああ。詳しく説明してくれ」

「はい!」


報告によると片道30分程度で行ける距離に魔物の集落が3つ、人の住む村が2つ見つかったようだ。

村の方はこちらよりもまだ規模が小さく、少なくともこちらを攻めてくることは無いだろうとのことなので今は無視して良いだろう。

続いて魔物の集落だけど、こちらは大中小と分かれている。

小が20体前後、中が40体前後、そして大は100体前後ではないかという話だ。

ちなみにこの数字は集落の小屋の数から計算している。

うちも小屋の数x4人で人口が増加しているから恐らく間違っていないだろう。


「恐らく規模から考えて先日こちらを襲撃してきたのはこの大の集落と思われます」

「なるほど。数だけで見てもこちらの倍近い訳か。

これはますます村の発展を急がないといけないようだな」

「私もそう思います。

それでどちらに攻撃を仕掛けますか?」


どちらというのは小か中か、という話だ。

流石に初陣で自分たちよりも規模が大きい所に攻め込むのはリスクしかない。


「小にしよう」

「先日の襲撃を考えれば中でも十分行けそうですが?」

「いや。攻めと守りでは勝手も違うし、しっかりと余裕をもって戦える方が良い」

「分かりました。それでいつ行かれますか?」

「準備ができ次第すぐに。この情報だって明日には全く別の内容になってしまう可能性もあるしな」

「そうですね。ではすぐに全員に連絡してきます」


そうして10分後。

俺は村の住民全員を引き連れて目標の集落へと向かった。

あ、森へはすんなり入ることが出来た。

明確な目的があったからなのかはよく分からないけど、置いてきぼりを食らわなくて済んだと内心ほっとしている。

森の中を歩く事しばし。

俺達の視界の先には再び森が開けた場所があり、そして俺達の村とは見た目が若干違うものの、確かに村というか集落が存在していた。

今からここを襲撃する訳だけど、やっぱり防衛とは緊張の度合いが違うな。

防衛の時は生きるのに必死で緊張とかしてる余裕もなかった。

だけど今度は自分たちの意思で危険に身を晒すので待機しているだけでも精神が削られていく。

それは皆も同じだろう。表情がこわばっているのが分かる。

なので俺は出来るだけ落ち着いた声で話しかけた。


「これから作戦を伝える。

出る前に話していた通り、俺とヨサクとマスオとワカメの4部隊に別れる。

まずは俺の部隊15人だけが先行して柵を破壊する。

その時には既に向こうに襲撃の情報は伝わっているだろうから迎撃部隊が出てくる。

ここまではまず問題ない。

問題は迎撃部隊の数と動きだ。

一番有難いのは敵のほぼ全員がこちらに向かって来た場合。

その場合は俺の部隊は手早く後退して敵を引き付けるから、ヨサクとマスオの隊で包囲殲滅する。

次にあり得るのが約半数だけが迎撃に来た場合だ。

迎撃部隊はさっきと同様に倒すけど、残りの敵が集落の中で待ち伏せしているので、思わぬ反撃を受ける危険性がある。

建物の影から突然襲って来たり、もしかしたら落とし穴などの罠もあるかもしれない。

なのでその場合は多少時間はかかるけど、端から小屋を破壊しつつ制圧する。

ここまでで何か質問は?」

「あの領主様。魔物に罠を仕掛ける様な頭脳があるとは思えないのですが」

「そうかもしれない。

でも無いと思い込んで実はあった場合と、あるかもしれないと警戒してて実際にあった場合では対応速度に大きく差が出る。

少なくとも魔物は馬鹿で自分たちは賢い、なんて油断はしないでほしい。

むしろ魔物だから俺達では想像も出来ないような攻撃を仕掛けてくるかもしれない、くらいに思っていてくれ」

「分かりました」


全員の顔を見渡して、しっかり頷いたのを確認してから俺は魔物の集落へと向き直った。


「よし、では行こうか」

「「はいっ」」


俺の部隊に配属された村人たちと共に俺は襲撃を開始した。

俺が森を抜けると同時に太陽が雲に隠れ集落の中が騒がしくなる。

こちらには聞こえないが、恐らく俺の村が襲われた時と同様に警鐘が鳴り響いているのだろう。


「地面に不審なところがないかを気にしながらまずは柵まで一気に行くぞ」

「「はいっ」」


先頭を走りつつ、こうして柵に向かう途中で落とし穴で敵の機先を制するのはありだなとか思ってしまった。

でも幸いにしてそんな罠もなく俺達は柵まで辿り着いた。


「斧を使って破壊しろ」

「おうっ」


建物を破壊するなら剣やヤリよりも重量のある斧の方が有効だ。

本当はハンマーなんかもあれば良かったのかもしれないけど、それはまた追々だ。


「「ガウガウッ」」


と、お出でなすったな。

先行してきたのは狼が10体。その後ろからゴブリン達の姿も見える。

どうやらほぼ全部隊で迎撃に来てくれたようだ。

それなら最初のプランで大丈夫だな。


「全員後退。狼を警戒しながら下がるぞ」

「はい!」


同時に後方に合図を送ればヨサク達が森から飛び出してくる。

こうなってしまえば単純に50対20の数の戦いだ。

更に俺達は武装を整えたお陰で攻撃力も防御力もアップしている。

ほぼ初期装備と思われるゴブリン達にはほとんどダメージを受けずに勝利を収めた。

また怪我をしたメンバーもワカメ達から治療を受けて回復していく。

ふぅ。これで終わりか。格下を相手にしたとは言えあっけなかったな。

ヨサク達も初陣の完勝に喜んでいる。

でもあれ?ちょっと待てよ。何かが引っ掛かる。

違和感を感じた俺は周囲を見渡し空を見上げ、そして気付いた。

まだ暗雲が立ち込めたままだ。


「全員警戒!まだ戦いは終わっていないぞ」

「グラアアアッ」


俺の言葉を肯定するように村の奥から魔物の雄叫びが聞こえてきた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 防衛側から見て自分たちと同程度の敵戦力なら、籠城戦の方がいいような気がするのですが、完全に引きこもられた場合の作戦はいらなかったのでしょうか?
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