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107.アポロン神殿攻略開始

龍王国と不死の王国の協力を得られることになった俺達は改めて神聖教国の首都、の隣の山に神殿を建造しているアポロン達の攻略に乗り出した。

ちなみに天上王国のシルクさんにも話だけは通しておいた。

後から伝えてのけ者にされたって怒られるのも嫌だからな。

ただ向こうは向こうでなにやら忙しそうな雰囲気だったので、もしかしたらアポロン以外にもどこかの神が何かやらかしているのかもしれない。

こっちが落ち着いたら何か協力できないか聞いてみよう。

まずはこっちを済ませてからだ。


「さて。どうだカミッチ」

「まったく、結局カミッチのままなのか。

まあいい。それより、残念な報せだ」


遠くにアポロンの神殿を眺めながらカミッチは首を横に振った。


「もう完成してるのか?」

「まだ5割と言ったところだろう。

だが防衛に関する施設だけは最優先で完成させている。

魔法障壁のほか、魔導砲も完備してそうだな」


魔導砲。つまり巨人が放つブレスを固定砲台にしたのか。


「威力は格段に上だがな」


それを聞いて嬉しそうに笑う龍王。

敵が強ければ強い程、戦い甲斐があるって喜んでるんだろうな。


「では予定通り我々が一番槍を頂くぞ」

「よろしくお願いします」


龍王は後ろに控えていた数十人の部下と共にドラゴンの姿になって飛んでいった。

それを見送りつつ不死の王も不敵に笑う。


「さて。こちらも動くか。

あの調子では敵が残るか怪しいがな」

「ですね」


まるで散歩に出掛けるかのような軽い足取りで不死の王も闇のなかに消えていった。

残った俺達は神殿と神聖教国の中間地点に陣地を造る。

敵の援軍が来るとしたらここを通るだろうから、その足止めだ。

ちなみに今回の作戦は実にシンプルだ。

龍王達が空からブレスで魔法障壁を破壊して不死の軍団がその物量で占領。

後詰めの俺達は神達が逃げた時の保険だ。

え、俺達がメインじゃないのかって?

いやこの陣容で出る幕ないって。

龍王たちはむしろ戦えた方が喜んでくれるからこれで良いんだ。


「それにしても壮観だな」

「そうですね」


神の山の周囲を何体ものドラゴンが包囲して飛び回り、ブレスを吐いて攻撃していく。

あの破壊力はうちではなかなか出せない。

ただ敵も負けてはおらず、ブレスは全て障壁に阻まれその一部は放ったドラゴンに打ち返されている。

更には5基の魔導砲絶え間なくドラゴンを狙っており、簡単には全力のブレスを撃てなくしている。

流石のドラゴンでもあの砲撃の直撃は厳しいかもしれない。


「うちの首都もあれくらいの防衛設備は欲しいところだな」

「無理よ無理。あんなのどんだけ魔力を消費すると思ってるのよ」


俺の呟きがチチカによってばっさり切られた。


「あんな風に守りに徹するより、打って出た方がなん十倍も建設的ね」

「確かにな。っと、流れ弾だ」

「お任せください。ふんっ」


ドラゴンが避けた砲撃の1つがこちらへと落ちてきた。

それをさっと前に出たヨサクが盾で弾き飛ばす。

軽くいなしてるように見えるけど、実際には結構な威力だったはずだ。


「龍王の拳に比べれば軽いですから」


さらっと答えるヨサク。

それは確かにな。

そうか。強者に触れたことでヨサク達も成長したんだな。


「お兄さん、沢山来るよ」

「は?」


ミツキの言葉に振り返れば、確かに何発も砲撃がこちらに飛んできていた。

今はミツキ達が対応してくれてるから被害は出てないんだけど、何でだ?

神殿の方を見れば確かに砲撃はドラゴン達を狙っている。


ベシッ!

「げっ」


砲撃がドラゴンの目の前で向きを変えこちらへと飛んできた。

っていうか、いま完全に狙ってやったよな!

龍王を見ればニヤッと笑顔が返ってきた。

どうやら楽はさせて貰えない、というより、これで鍛練の足しにしろとか考えてそうだ。

そんな余裕綽々なドラゴン達だけど、どうやら敵も本気を出すようだ。

正門付近にひときわ大きな砲台が迫り上がってきた。

恐らく威力も今までの比ではないだろう。

それを見た龍王も空中で静止してブレスを溜め始める。

どうやら正面から撃ち合う気らしい。

一瞬の静寂。他のドラゴン達も固唾を飲んで見守っている。

そして。


カッ!!

「ガァッッッ!!」


ほぼ同時に放たれる2つの閃光。

ぶつかり合うそれは拮抗したかに見えたが、すぐに龍王へと、軍配が上がった。

砲撃を呑み込んだブレスは障壁にぶつかり、そのまま粉々に粉砕してしまった。

これは内部に被害を出さなかった障壁を誉めるべきかな。


「ふぅむ。やはり完成するまで待つべきだったか」


龍王だけはこの結果に不満みたいだ。

その欲求不満が後でこっちに向けられないと良いけど。

そして障壁が無くなれば次は不死の軍団の出番だ。

待ってましたとばかりに山の麓から一斉に駆け上がっていく。

まるで砂糖の山に群がる蟻のごとしだ。

……いや、これはあれだ。

『交響曲:禿げ山の一夜』

神の住まう山で悪魔が躍り狂う夏の夜の夢。

まさに悪夢のような光景ではあるが天使達もただやられている訳ではない。

群がる不死者を槍で突き刺し薙ぎ払い、光線で滅していく。

それでも全然数が減らないように見えるのは、俺達と戦った時よりもゾンビの生産速度が格段に早いからだ。

って、スケルトンじゃなくてゾンビなのか。

それは変な表現だけどまだ肉が残ってるような新鮮な死者が多い事を意味している。

死体が残らないこの世界でどういう理屈かは分からないけど、とにかく今喚び出されているゾンビ達は最近あの場で殺された、神殿造りに従事させられた人達なのだろう。

つまり天使達が苦戦を強いられているのは自業自得だ。



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