第9話「異常な糸」
桜が玄関まで走ってくる。
ひょこっと現れた。
「あら? 淳くんの妹さん? よろしくお願いいたします」
冬柴先輩は綺麗な会釈を桜にする。
桜は冬柴先輩を見て目をぱちぱちせている。
「あ〜冬柴由姫さんだ!! お兄ちゃん友達だったの?」
俺は一驚した。
「桜は冬柴先輩を知っていのか?」
「ええ〜超有名だよ!! 葵高校のスーパー美少女。
中学の頃から有名だよ!! 才色兼備の姫って」
「なるほど」
そんなにこの冬柴先輩は有名なのか。
確かにビジュアルは綺麗だ。
「冬柴さんは? どうして家に??
お兄ちゃんの友達ですか?」
その問いに冬柴先輩は笑顔を見せ、答える。
「淳くんとは同────」
「──あ!!! そうなんだよ!
桜〜冬柴先輩とは勉強をたまに教えて貰ったりしているんだよ!」
「あ〜なるほど!
これからもお兄ちゃんのことをよろしくお願いいたします」
桜は冬柴先輩お辞儀をする。
俺はアイコンタクトをして冬柴先輩を無言でみる。
冬柴先輩は口元を少しニヤリとさせて俺に告げる。
「そう──私達はとても仲良いの。
昨日の夜も連絡を取り合っていたくらい」
「へぇ〜お兄ちゃんやる〜やる」
桜は肘で俺をグイグイする。
俺は思った。
────女は怖い。
弱みを握られた。
あの一瞬で普通になりたい部を妹の桜に教えてないって。
この人は気づいて。
ふふふっと笑っている。
恐ろしい。
「お兄ちゃん〜
そろそろ学校行かないと遅れるよ〜」
「あぁそうだな。冬柴先輩また後で!」
ニコと笑みを見せた冬柴先輩。
俺は玄関を閉めた。
俺は急いで準備して玄関へと向かう。
そして、家から出た。
そこにいたのは冬柴先輩だ。
「先に行かなかったんですか?」
「ふふふっまぁ、せっかくだから一緒に登校しましょ」
何故か嫌な予感がする。
俺はドアノブを掴んだまま固まった。
「お兄ちゃん行く〜
あれ? 冬柴先輩まだいたんだ!」
「一緒に登校する予定だったから」
えっ???
俺はそんな予定を立ててない。
「その────」
「ねぇ淳、くん〜」
冬柴先輩の無言の圧力。
「そうでしたね〜遅れてすいません先輩」
「ふふふっ」
俺は登校する。
いつもと同じ通学路なのに今回はやけに違う。
ジロジロジロジロ人が見る。
隣の冬柴先輩はやけに近い。
「姫が知らない男と歩いている」
「先輩……嘘でしょう」
「隣の男殺す!!」
学校に近付くにつれ悲嘆の声が聞こえる。
うぅ恐ろしい。
この女はこれが目的なのか。
俺は冬柴先輩に視線を転じる。
すごい────
勝ち誇った顔をしている。
俺はそのまま冬柴先輩と別れ。
教室へと入った。
「おいおい、なんかあったのか敦?
噂が凄いたってるぞ〜」
そう心配そうに声をかけるのは京。
本当にいいやつだ。
俺はその言葉だけで察した。
「たまたま、ばったり会って。登校したんだ」
「そうなのか〜同じ部員だからな。
まぁ、普通か。
なあなあ淳、淳〜」
ニヤニヤ笑みを見せながら話す京。
「どうしたんだ京?」
「今日の昼飯、一緒に食うよな〜」
まぁ、今日は予定ないし。
いつも予定はないのだが。
言ってみたかっただけさ。
クソっ。
「あぁ!」
「そうか、そうか」
---
昼休み。
いつもの場所に向かう。
校庭だ。
俺はそれを見て固まった。
白石さんがいる。
えっ???
何でだ。
京は俺に気づいて。
こいこいっとモーションをする。
「……」
無言で俺は京の隣に座ろうとしたが。
京は無言でトントンと、座る場所を指定する。
まじか白石さんの隣か。
白石さん、俺、京、知らない女の順で。
横一列に座る。
この状況で何となくわかった。
京の隣に座る、知らない女だ。
この知らない女は京が目当てで、
その友達が白石さんってことか。
それを知ってて誘ったんだな京は。
まぁ、ありがとう事だけど。
自分を犠牲にして欲しいくないな、京。
だが、やばいな。
やっぱりコミニュケーション能力高いな本当に京は。
普通に仲良さそうに喋ってる。
隣の女の子も目がハートだ。
こっちは無言でご飯もぐもぐしてるよ。
あぁ耐えられない──この雰囲気。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ。
あっ携帯か。
誰だ?
冬柴先輩か。
通知OFFから戻したんだよな。
怖いから。
「くまくまちゃんだ〜」
俺はハッと見て白石さんの方へ視線を転じる。
「えっ?」
白石さんは徐に携帯を見せる。
ぉぉおおおおお!!!!!!
「お揃いだね。くまくまちゃん」
俺の瞳に映ったのは。
俺と同じ顔が怖いくまのストラップだった。
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