表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/19

第7話「異常者の依頼」

 俺はあの後。

 すぐにその場を後にした。

 逃げ出した。


 あの表情が忘れられない。

 引かれたかな。


 いや、俺はわかる。

 無関心だった。

 まぁ、それはそうだ。

 俺が同じ立場だったらどうでもいい。


 京と昼飯を食べていた。


 呆然とした。

 なんとも言えない。

 喪失感に浸りながら。

 妹の愛妻弁当を食べていた。


 あぁ染みる。

 心に染みるよ、この弁当。


 俺は先程の一連の流れを。

 京に話した。


「はっはっはっ!!! 腹痛い。

 なんだよ〜その流れ! はっはっは!!」


 京は腹を抱えて。

 笑っている。


 まあ。

 それはそうだ。

 第3者からしたら。


 俺も──笑ってしまう。

 完璧に身から出た錆である。


 話すと少し楽になった。

 ありがとうな京。


「まぁ、そうだな。笑っちゃう」


 俺の顔を見て。

 京は笑うを辞めた。


「まあ──なんだそのなぁ、人の性格は顔に出る。

 人の行動にはその人の環境が出るってよく言うだろ」

「──そうなのか」


 こいつ俺をフォローしてようとしているなぁ。

 急にしどろもどろになっている。


「まあ、部活の件はお前が悪い。

 でも、マイナスからプラスは、良くハマればいい感じになるんじゃないか?」


 よくある話だな。

 俺はそれを否定した。


「京それは間違っている。

 ある程度の興味がある人間が少しのマイナスからのプラスは好感に変わる場合もある」

「あぁ」


「だが、今回の事例は無関心の人間がドマイナスに落ちての無関心だ。

 これを上げるのは無関心を解除しなければならない」

「でも、どぎつい印象が脳に刺さったんじゃないのか?」


「そんなことない! 彼女の顔は無関心だった」

「お前──それ、自分で言っていて虚しくないのか?」


「……」


 俺の時間が少し止まった。


「まあ、そのとりあえず頑張れ!」


 京はニッコリと笑いながら言う。

 その言葉は、頑張れ──以外には何も。

 言いようがないって事だな。


 はぁ〜まあ頑張るか。


 俺は何から頑張っていいのか。

 分からずにただただ。

 その言葉を受け入れた。



 ---



 いつものように普通になりたい部に向かう。


「あれ? 美鈴はいないのか?」


 俺は勉強をしている。

 冬柴先輩に問いかけた。


「お友達の所に行くって言ってたかしら。

 今日は部活に顔を出して、直ぐに帰ったわよ」

「へぇ〜そうなんですか」


 毎日を欠かさず来ていた美鈴が。

 珍しいこともあるんだな。


「それと私の依頼忘れたとは言わせないわよ!」

「なんですか、それ?」


 冬柴先輩は少し睨みながら俺に告げた。


「私が普通になるため。

 休みの日少し付き合ってもらうから」

「はぁ〜休みの日ですか?」

「そうよ」

「すいません、やっぱり無理です」

「なっ!!」


 冬柴先輩はめちゃくちゃ睨みながら再度告げた。


「私が普通になるため。休みの日少し付き合ってもらうから」


 ──えっ!?

 この人は俺が聞こえてないと思って。

 もう1度同じ事??


「だから……その。すいません無理です」


「はぁ〜 しょうがないわね。

 玲香先生に言って、頼んでもらうかしら」


 ────なっ!!!!


 それは卑怯だ!!!

 あのゴリラを巻き込むと、ろくな事が起きない。


 あいつは金の奴隷だ。

 理事長の孫が困っているってなれば。

 直ぐに話をこじつけやがる。


 仕方ない今回だけは折れるか。

 仕方ない今回だけは折れるか。

 もう一度言う。


 仕方ない今回だけは折れるか。


「はぁ〜しょうがないですね。じゃあそれでOKです」

「なら、携帯貸して」

「えっ?」

「携帯」

「はぁ?」


 めっちゃ睨んでるよこの人。

 俺は徐ろに冬柴先輩に携帯を手渡した。


「これで休みの予定送るから」

「わかりました」

「じゃあ、休みの日ね」

「はい」


 俺は思ってもいなかった。

 この約束が俺の恋と異常者の戦争への第一歩だとは。

 考えていなかった。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感謝です。
読んで下さり有難うございます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ