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第2話「普通に群がる異常者」

 昨日は普通になりたい部を創立。

 そして、部室で一人で過ごして終わった。

 まあ、単純に家で勉強する時間が。

 それが部室で過ごす時間に変わっただけである。


 ああ──素晴らしい〜

 誰にも邪魔されない普通のいやいや、自分の環境。

 今日もまた一人楽しく。

 普通になりたい部で普通に部活を行おうとしていた。


 物珍しげに俺を見ながら声を掛ける京。


「今日も部活か??」

「あぁ〜」

「そうかそうか! 楽しめよ〜」


 京は安堵したような、喜びに溢れた表情で手を振っている。

 俺はその姿を見て、踵を返し教室を出た。


 京には部活を作った経緯は全部話した。

 だが、楽しめって。

 俺一人しかいない環境で楽しめって。

 いやいや、愚問だった。


 マイルームは勝ち組の証拠。

 一人で一人の時間を楽しむ。

 それは誰にでも出来ることではないのだ。


 選ばれし者だけが手に入れる事が出来るジョブ。

 ボッチ職である。

 

 普通になりたい部は三階の一番奥の部屋である。

 まず一年は絶対に寄り付かない。

 上空か見て、玉の姿の校舎の左上の三階である。

 一年は全て一階なので、俺は絶対に寄り付かない。


 だが、今日俺の足取りは軽い。

 誰にも邪魔されない空間に今から赴くのだ。

 そして、部室へと向かった。


 部活の部長には部室の鍵を渡されている。

 通常は必ず、職員室に返すのがルールみたいだが。

 玲香に戻さなくていいと言われていたので。

 俺が管理をしている。


 あ〜素晴らしい〜なんで有意義な時間。

 そう部室で勉強して過ごしていると。


 アホみたいにバタバタ廊下を走る音が聞こえる。


「絶対に──頭悪い」


 俺が居る部室の扉に人がぶつかる。

 物凄い音を立てた後、激突した人の影が消える。


「うわぁ……めっちゃぶつかった……」


 扉を開けることを知らない原始人か。

 扉にぶつかるのが快感なサイコパスか。


 部室の外から呻き声を数分聞こえた後。

 部室の扉が開かれる。


 うわぁ……何かようなのか。

 嫌な予感がする。


「うぅぅうぅぅ──痛いですうぅぅ」


 そう言いながら、頭を押さえながら、

 入室してくる、駄肉巨乳の女。


 俺はその姿に戦慄する。

 何故、ここに入ってきた。

 何故、一年がここに……。


「だっ……大丈夫ですか?」


 その言葉にニパァって顔をしながら近づいてくる女。

 距離感、距離感!!


「ありがとうございますうぅぅ。大丈夫です!」


「あぁ! はい」


 俺は何故か手をむぎゅむぎゅされている。

 だが、色々な意味で痛そうだなぁ。

 俺はすぐにその女を放置して勉強をはじめる。


 関わらない方がいい。

 関わらない方がいい。

 関わらない方がいい。


 その光景をまじまじと目線を一切逸らさずに見ていた後。

 十分後に女は告げた。


「あの? あの! あの!!!」

「あっはい……」


 この空気で切り込むとは……なかなかだな。

 だが、十分もずっと見つめながら動かないって……。

 関わらない方がいい……。


「この部活に入ると普通に慣れるんですよね?

 私! 普通になりたいです!!!」


 ────俺の時が止まった。



 ガチ……やべえやつが入ってきた。


「あぁ病院ですね! わかりました!

 病院は葵高校を出て向かって右側にバス停があるので。

 バスに乗って十五分前後で着くと思います。

 最終時間は十八時なので、まだ間に合うはずです!

 良かったですね〜」


 にこやかに俺は巨乳女に言う。


「びょびょ病院は行きました!!!

 なおらないのですうぅぅ!!」


「……」


 ……やばい……その返しは想定していなかった。

 返事すら出来なかった。

 唖然とした。


「私はぁあ──自分のドジをなおしたいのです。

 なのでこの部活に入ればなおると聞いたので……」


 目を輝かせて爛々としている女。

 ちょ待っ──待てよ。

 さっきからコイツが言っている。


 この部活に入ったら治る?

 即ち、誰かが異常者を掃き溜めにしているのか??


 俺はとてもニッコリと優しく語りかけた。


「あのそうなのですね〜

 しかし──誰からこの部活の存在をお聞きしたのですかね?」


「その──それはの玲香先生が言っていたので」


 もじもじしながら、可愛らしいポーズで告げる女。

 だが、俺はそんな目の前の女など瞳に映らなかった。


「……」


 あのクソゴリマッチョが!!!!!

 何が一人で青春を過ごせだ!

 余計な事をしやがって。

 ────クソっ。


 すると突如、扉を開け部室に人が入ってきた。

 俺はすぐに目線を転じる。

 玲香だ。


「おうおう! 二人ともよろしくやってるな!!

 良かった! 良かった!」


 歯をキラ〜んっとさせ笑っている。

 いや……俺には嘲笑(ちょうしょう)を浮かべてるようにしか見えない。


「……どうゆうことだ!

 俺は一人で青春を過ごすって言ったはずだが!」


 その言葉にゲラゲラ笑いながら。

 俺をを見ている玲香。


「まぁな、大人には色々あるのさ!

 他の教室で同じように部活動に入っていない人が居るって女の先生に聞いてな。

 それでここを紹介したのさ!」


 俺の問いを無視して、自論を話す玲香。

 この女好きめ!!!!

 他の女の先生に良いように見られたいから。

 俺を犠牲にしやがって!!!


 俺はすぐに立ち上がり玲香に告げる。


「拒否する!」


 俺は右手を前に出し宣言した。


「ふわわぁわぁわぁあ拒否されました〜どうしましょう〜」


 その光景に慌てふためく女。

 だが、すぐに玲香が返す。


「無理だ!」


 玲香は右手を前に出して宣言し返した。


 目には見えない魔法が放たれた。

 ゴリラから放たれた……。

 立場という魔法に俺はたじろいだ。


「俺は顧問だ!

 確かに部活動の入会の有無は部長が決めれる。

 ただ、それ以上に立場が上なのは顧問だ!

 わかったなぁ?

 拒否権はねぇ!!!」


 威圧を込めながら玲香は告げた。

 そういえばそうだ。

 このゴリラが普通になりたい部の顧問だ。


 ぐぬぬぬぬぬぬぬ。


 俺のチートのボッチ職が。

 ────クソっ。


 その戦いを見て理解し、

 俺の両手をニギニギにしながら喜ぶ女。


「そうなのですね!!

 私はあの私は立花美鈴(たちばなみすず)と言います。

 これからよろしくです!! 普通になります!」


 ……まじか、俺の普通が……。

 このゴリラによって……侵されていく……。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

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読んで下さり有難うございます。
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