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第11話「攻める異常」

「お兄ちゃん〜お手洗いしてご飯食べよう」

「おっおう」


 手洗いを済ませ、リビングに向かう。


 なんていうことでしょう。

 テーブルの上に乗る、数々の多種多彩な料理。

 なんて豪勢な夕食でしょ。


 俺の頭の中にピアノが流れている。


 桜よ、お兄ちゃんの為に。

 ありがとう。


「お兄ちゃん! 今日の夕食凄いでしょ〜ぜ〜んぶ

 美鈴さんか作ったんだよ!」

「えっ? 美鈴が!」

「はいですぅ。精魂込めてつりました!」


 ガッツポーズをしている美鈴。


 しかし、コーラと烏龍茶をラベル剥がした後、

 分からなくなるやつが。

 料理とか大丈夫なのか?

 調味料とか。


 俺は目の前の料理をじろりと見渡し、

 徐に口へと運ぶ。


 うめえぇえぇぇえぇええ。


 桜よりも上手い。


 あっ!?

 ごめんな桜。

 お兄ちゃん比べてしまったよ。

 ごめんな。

 悪いお兄ちゃんだ。



 だが、正直上手い。


 桜の手料理を超えるとは、ガチだ。

上手い。


「美味しい」

「よかったですぅ」


 にこっこりと微笑む美鈴。


「コーラどうぞ」

「あぁ、ありがとう」


 俺はご飯にはお茶や水はなんだけどなぁ。

 まぁ、せっかくこんなに美味しい料理作ってくれて、

 気を使ってくれているんだ。

 これ以上、求めたら悪いだろう。


 だが、俺は美鈴の行動に困惑する。


「それ?! お茶だよな、美鈴」

「えっ?! コーラですぅ」


 ジト目をする美鈴。

 いやいや、今回はラベル剥がしてないし。

 お茶って書いてあるし。

 2リットルのゴリゴリのお茶のペットボトルだし。

 どっどう言うことだ?


「美鈴さん、それお茶だよ」

「あっ! そうでした……ごめんなさいですぅぅ」


 しょぼんとしている美鈴。

 なんだったんだ。

 一体。


 桜の言葉にはちゃんと反応するんだなぁ。

 よく分からん。


「まぁ、ありがとうな美鈴!」

「はいですぅ」

「美鈴! 手元手元!」


 みっちみちに注がれたお茶。

 なんか抜けてるよなぁ、美鈴。


 でも、こんなバカ美味しい料理作れるのに。

 不思議だな。



「お兄ちゃん〜食べるペース早いね!」

「まぁ、美味しいからな」


(よかったね美鈴さん。

 お兄ちゃんの前だと緊張しすぎて、コーラとお茶間違えるくらいあがっちゃうなんて。

 それに気づかないお兄ちゃんは鈍感すぎるけど!)


「ところで、桜と美鈴は知り合いだったんだな」


「うん! 前話したハンカチ拾ってくれた人が美鈴さんで、

 それから料理とか教えてくれたりしたんだ〜」


 へぇ〜そうなのか。

 美鈴はやはり悪い子じゃないなぁ。

 うんうん。

 少し、いや、だいぶ変わってるけどなぁ。


「そうかそうか、ありがとうな美鈴」

「そんなことないですぅ。

 私も部活でお世話になってますから」

「そんなことないだろ!」


 謙遜とか、いい子やな。

 ふむふむ。

 ちょっと対応の仕方を見直すべきだな。

 ちょっと冷たくしすぎたかな。

 ちょっとなぁ。

 うんうん。


「お兄ちゃん」


 目をぱちくりさせている桜。

 俺をまじまじ見ている。


 はっ──────

 しまった。

 これは高速で動いた。


 そして、日本伝統の技を使った。


 ────────ドゲザだ。


「桜、申し訳ない。

 すまない、お兄ちゃんは桜に嘘をついていたんだ。

 サッカー部……なんか入っていなくて。

 そっ……その普通になりたい部って所に入ってるんだ

 ごめんなさい桜」


 俺は地を舐めるように土下座した。


「ちん、表を上げよ」

「はっはぁは! 桜様」

「汝の大罪は許されることではない。

 だが、妾の血族じゃ。

 わかるの? その意味が」

「わかりまする。桜様

 私めは罪人です。

 いや、ただの家畜です。

 私めは桜様がいないと何も出来ない罪家畜です」


「いや、否である。

 なら、週末の休みを妾の為に使うのじゃ」

「えっ?!」


 週末の休み。

 冬柴先輩の依頼が。


「どしたの? お兄ちゃん」

「ちょっと用事があってな」


 桜は可愛く指を顎に当て、考えた後、告げる。


「週末ゴロたんのお兄ちゃんが?」


 ちょっと考えた後に出た言葉がそれ?

 まぁ、週末ゴロゴロしてるけど。

 家から出ないけど。

 一人だけど、どうせ。


 でっでもたまに京と遊ぶし。

 京と一緒にいるし。

 満足だし。


 ────傍から見たらBLです。


 だが、嘘はよくない。

 まぁ、隠すこともなしなぁ。


「週末はお兄ちゃん、冬柴先輩と出かけるんだ」

「──えっ!!! お兄ちゃんデデデデート!!」

「えっ!!! デート」


 俺は動揺で反芻(はんすう)してしまった。

 たっ確かに。

 二人きりで会う。

 待ち合わせする。


 デートじゃん。


 まさか冬柴先輩、俺の事好き?!

 なんか今カチッとハマったぞ!


 あ──だから部活に入りたいって、

 ごねたのか。

 しかも、一緒に通学なんてさ。

 なるほど、なるほど。

 俺もモテ期が来たなぁ。


 どうしようかな〜

 まぁ、あの人めちゃくちゃ綺麗だし。

 でも、俺には白石がいるからな。

 すまない冬柴先輩。

 ふふふっ。


「淳くん」


 鬼の形相で俺を睨む美鈴。


「どうしたんだ? 美鈴」

「へぇ〜そうなんですぅか」

「なっ何かだよ」

「ふへぇ〜二人きりで」


「美鈴も聞いただろ!

 冬柴先輩が普通になりたい部に入った時依頼があるって。

 それだよ、それ」


 なんで俺は(まく)し立てて、

 美鈴に弁解してるんだ?


 おかしい。


 その言葉を聞いてにぱぁって顔する美鈴。


「なんだ! そんなことですぅか!」

「あぁそうだよ、そんな事だよ」


「お兄ちゃん、お兄ちゃん。

 所で普通になりたい部って何?」

「普通になりたい部はな────」



 俺は知らなかった。

 普通になりたい部はホントに普通になりたい異常が

 集まっていることを────



 ---



「悪いけど。貴方の恋は絶対邪魔するわ。

 私の復讐よ!!

 3年間、いや、20歳まで貴方の恋を邪魔するわ」

「なんで……そんな事を冬柴先輩!!」

「私が貴方の彼女になって!!

 邪魔したあげるわ!!! ふふふっ!!!!」



 次回!! 普通になりたい部。

 異常なデート


 最後まで見てくれてありがとう。

 この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

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読んで下さり有難うございます。
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