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Cafe Shelly

Cafe Shelly お菓子な毎日

作者: 日向ひなた

 私の夢。それは、パティシエになること。お菓子作りを通して、たくさんの人を笑顔にさせること。小学六年生の時に、それを思った。

 それまでは姉と同じ、幼稚園の先生になりたいと思っていた。けれど、それは姉のまねをしていただけ。

 どうして突然、パティシエになりたいと思ったのか。きっかけはささいなこと。

 六年生の時に姉と一緒にお菓子作りをした。三つ上の姉は、お菓子作りが得意。私も姉のまねをして、初めてクッキーを作ってみた。そのクッキーをおばあちゃんに食べてもらった。そしたらおばあちゃん、満面の笑顔でこう言ってくれた。

「すごくおいしいじゃない。なかなか才能あるんじゃない。あなた、パティシエになるといのに」

 今思えば、おばあちゃんはお世辞で言ったのだろうけれど。その時の私には、何かを目覚めさせる言葉であった。

 そのあと、学校の作文で将来の夢を書くことがあった。そこで私は、初めて「パティシエになりたい」ということを書いてみた。書いたらそれをますます自覚するようになって。お母さんにもその作文を読んでもらったら、今度はお母さんがその気になって。以来、中学に入ってすぐに高校の進路まで一緒になって考えてくれた。そして高校は調理科のあるこの高校を選んだ。

 希望を持って、夢を持って進学。学校での勉強も力が入る。もちろん、それだけではなく学校生活を楽しむことも忘れていない。友達とはカラオケに行ったり買い物に出かけたり。

 そしてもうひとつ、アルバイトもしっかりとやった。これは次の道に進むための資金を蓄えるため。自分の力で自分の進路を。これはいつしか身についた考え方。お父さんは冗談交じりにこう言う。

「我が家で一番のお金持ちは舞奈だな」

 確かにそうみたい。だからといって、派手な買い物とかは一切していない。強いて言えば、家でお菓子作りをやる材料代くらいなものかな。

 私の趣味は家でもお菓子を作ること。なにかあるときにはクッキーやマドレーヌ、他にもちょっとしたお菓子を作って持っていく。

「舞奈、今日は何を持ってきたの?」

 友達も私が作ってくるお菓子を楽しみにしているみたい。バレンタインの時なんか、気合を入れてつくるからね。

 そんなお菓子づけの毎日を過ごした高校生活。今年はいよいよその集大成の年。そんな私には一つの目標があった。それがこれだ。

「スイーツ甲子園」

 今、私はそのポスターの前に立っている。今年こそ、これに出場するぞ。

 スイーツ甲子園。これは年に一度開かれている、まさに私達のためにあるようなコンクール。このコンクールに出場できるのは高校生だけ。まずは書類審査に応募し、通過すれば地区大会が開かれる。この地区大会で優勝すれば、今度は全国大会。まさに野球の甲子園と同じだ。優勝すれば、パリの研修旅行がプレゼントされる。本場で学ぶチャンスだ。

 私がアルバイトをしている理由の一つにフランスへの留学がある。ゆくゆくはそういったところで本格的に修行をしたいって気持ちは強い。

 去年は650チームが参加したらしい。こんな中の頂点に立つなんて、さすがに自信はない。けれど、チャレンジはしてみたい。これは一年生の時からの目標だった。

 この大会、三人一組で出場する。まずはこの大会に一緒に出てくれる仲間を見つけないと。

「でさぁ、これに出てみない?」

 二年生の終わり頃から私は仲間を見つけ始めた。けれど、仲の良い遊び友達の返事はこうだった。

「えーっ、これって土曜日とかに練習しないといけないんでしょ。なんかめんどくさいなー」

 修行より遊ぶ方を優先するのか。あまりいいたくはないが、この学校って学力レベル低いんだよね。だから遊ぶ方を優先する人が多い。

 この時感じてしまった。いくら友達だって言っても、価値観って違うんだなって。先生ももうちょっと募集してくれればいいのに。ただポスターを掲示しただけじゃ、誰も集まらないよ。

 半分落胆。でも、早く仲間を見つけないと…

「舞奈、メンバーは集まったか?」

 先生、私がスイーツ甲子園に出たいといっているのは知っている。先生も期待はしているみたい。けれど仲間が見つからないことにはどうしようもない。

「ダメ、なかなか見つからないよ。先生、なんとかしてよ」

「なんとかって、そのくらい自分でどうにかしないと。でも、教頭先生もこれには期待しているんだよなぁ」

 土曜の放課後の調理室、私は調理クラブという自主活動でお菓子を作っている。ここに来ているのは、もっと自主的にお菓子作りの腕を磨きたいという人ばかり。もちろんここの人たちにも声をかけたのだが、どうしてかスイーツ甲子園になると腰が引けてしまっている。

「仕方ない、後輩にも声をかけるか…」

 先生、最後の手段に出ようとした。後輩かぁ、正直技術レベルが追いついていないんだよね。それに、チームとして息が合うかが心配。

 そんなことを考えていたら、お父さんからこんな提案があった。

「舞奈、お父さんの知り合いに元パティシエがいるんだよ。今度会いに行くことになっているけど、一緒に行ってみるか?」

 正直気のりはしなかった。だが次の一言で気持が切り替わった。

「その人が前にやっていたお店に、この前のパティシエの世界大会で優勝した人が務めていたそうだ」

 えっ、世界大会で優勝した人が? その話はぜひ聞きたい。

「うん、わかった。で、いつなの?」

「今度の日曜日なんだけど」

 日曜か、バイトが夕方から入っているからそれに間に合うように帰ってくればいいということを伝えた。

「じゃぁ決まりだな」

 ちょっとワクワクしてきた。さすがに世界大会で優勝した人に会えるわけではないけれど。でも、そんな人を知っているっていうだけでなんだかドキドキしてくる。

 そうして迎えた日曜日。私はお父さんに連れられて、待ち合わせをしている喫茶店へと向かった。

「このお店はパティシエをやっていた人のお兄さんがやっているお店なんだよ。クッキーがすごくおいしいところだ。時々お父さんが買ってくる、あれを売っているところだよ」

 連れられてきたのはカフェ・シェリーというお店。喫茶店なんて入るの、初めてじゃないかな。ちょっとドキドキする。

カラン・コロン・カラン

 ドアを開くと、心地いいカウベルの音が鳴り響く。

「いらっしゃいませ」

 女の人の声と、少し遅れて男性の声。

「こんにちは。今日は娘を連れてきました」

 お店の人にそう紹介されて、私はペコリと挨拶をした。

「あ、こちらが話してた舞奈ちゃんですね。初めまして。私、マイっていいます。舞奈ちゃん、パティシエを目指しているんですってね」

 ここのお店のお姉さん、私にそう話しかけてくれる。おかげで緊張が少しとけたかな。

「妹さんは?」

「もうすぐ来ると思うけど」

 お父さんとこのお店のマスターが話を始めた。

 私はその間、店内をぐるりと見回す。そんなに広くないお店だけれど、なんだか居心地がいい。白と茶色で統一されたお店。シンプルだけど落ち着くな。お店の中はクッキーの甘い香りが充満している。それだけじゃなく、コーヒーの香りもうまい具合にミックスされている。

「舞奈ちゃん、飲み物は? このシェリー・ブレンドがおすすめなんだけど」

 マイさんから薦められたのは、オリジナルブレンドのコーヒー。しかしここで問題が。

「私、コーヒー飲めないんです」

 私、パティシエを目指しているにもかかわらず、私はコーヒーや紅茶の類が飲めない。だから今まで、コーヒー味のお菓子とか紅茶を使ったお菓子っていうのは手がけたことがない。

「そうか…マスター」

 マイさん、マスターになにやら話しかけている。

「わかった」

 マスターは一言そう言うと、どこかに電話を始めた。

「じゃぁ、ジュースでいいかな。おすすめは搾りたてのグレープフルーツジュースだよ」

「はい、じゃぁそれでお願いします」

 マイさんから薦められたジュースに決定。おとうさんとマスターはカウンター越しに話を始めている。私は窓際の席に座っているんだけど、マイさんが話し相手になってくれた。

「パティシエになろうって思ったきっかけってあるの?」

「どんなお菓子が得意?」

「将来、どんなパティシエになろうと思っているの?」

 私に色々と質問をしてくる。私はそれに答えていくうちに、自分が目指している将来を再認識させられた。そしてこの話題。

「そういえばお父さんから聞いているんだけど。スイーツ甲子園に出たいんだってね」

「はい、でも三人組で出るんですけどまだ残りの二人が見つからなくて」

「そっか、それは困ったね。どうしてそれに出たいと思ったの?」

 どうして、ここで言葉が詰まった。ただ出てみたい、としか言えない。

「腕試ししたい、なのかな…」

 私はぼそりとそう言葉にした。

「そこがまだはっきりしていないみたいね。じゃぁ、もう少ししたらおもしろいことを体験させてあげるから。もうちょっと待っててね」

 おもしろいことってなんだろう? そう思っていると、ドアのカウベルが鳴り響いた。

「ごめんごめん、遅くなっちゃった」

「あ、きたきた。舞奈、この人が以前パティシエをやっていたマスターの妹さんのふみえさんだ」

 おとうさんからそう紹介されて、私は立ち上がっておじぎをした。

「あなたが舞奈ちゃんね。パティシエになりたいんだ。よろしくね」

 気さくなひとだな。ふみえさん、私の隣に座ってバッグからクッキーを取り出した。

「はい、よかったらどうぞ」

 そのクッキー、私がつくるようなものとは違って形もすごくきれいにできている。

「ふみえさんは私のクッキーの師匠でもあるの。このお店で出しているのは私が作っているんだけど、ふみえさんにも時々手伝ってもらっているのよ」

 マイさんの言葉で思い出した。おとうさんが時々買ってくるクッキー、確かにおいしい。私もこんなお菓子がつくりたいな。

「そうそう、こういうのもあるの。良かったら食べてみてくれないかな」

 ふみえさんが取り出したのは茶色のマカロン。

「まだ試作品なんだけど。よかったら一つどうぞ」

「じゃぁ、いただきます」

 私は早速そのマカロンを口に含んだ。

 何の風味だろう? 口の中でじわっと広がる感覚。こういうお菓子を食べると、なんだか笑みがこぼれてくる。うん、私も早く自分が作ったお菓子で人を笑顔にさせてみたい。

 今度のスイーツ甲子園もそうだ。その技術をどれだけ身につけたかを自分で知りたい。だから出たいんだ。

「舞奈ちゃん、どんな味がしたかな?」

「えっ、味? あ、あぁ、おいしかったです」

 そういえば何の風味だったんだろう?気がついたら別のことを考えていた。だがマイさんはそれを見透かしたように私にこんな質問をしてきた。

「何か頭の中にイメージできたもの、ある?」

「え、えぇ。私もこんなふうにお菓子で人を笑顔にさせたいって。どこまでそれができるのか、今度のスイーツ甲子園で試してみたいって。そう思いました」

「やった、大成功!」

 マイさん、すごく喜んでいる。ふみえさんも笑顔になっている。何が成功したんだろう?

「どれ、ひとつ食べさせてよ」

 おとうさんがカウンターからこちらの席にやってきて、マカロンを一つ手にとった。

「うん、なるほど、そういうことか。ふみえさん、これなら舞奈も食べられますね」

 おとうさんも何か納得しているみたい。どういう意味かな?

 私が不思議そうな顔つきをしているので、マイさんが種明かしをしてくれた。

「ふふふ、実はね、このマカロンはシェリー・ブレンド味なの。つまりコーヒー味ってこと」

「うそっ、コーヒーって感じしなかったけど…」

 あらためてもう一つ手にとって香りを確認してみる。あ、確かにコーヒーだ。

「すごーい、私にコーヒーって感じさせないくらい食べやすかったです」

 思わず感心してしまった。

「舞奈、ここのコーヒー、シェリー・ブレンドはその人が望む味がする不思議な魔法のコーヒーなんだよ。舞奈がさっき見たイメージ。お菓子で人を笑顔にさせたい、そしてそれがどこまでできるのか。それが今、舞奈が望んでいることだってはっきりわかっただろう?」

 お父さんが言う通りだ。自分ではわかっていたつもりだけれど、あらためてそれを自覚することができた。

「お菓子っていいよね。どんな人でも笑顔にさせることができるんだもん。舞奈ちゃんにはそれができるパティシエになって欲しいな」

 ふみえさんのその言葉は私に勇気をくれた。

「舞奈ちゃんはスイーツ甲子園に一緒に出る仲間を探しているんだよね。今のその舞奈ちゃんの思いをお友達に話したことはあるの?」

 マイさんの言葉にズキッときた。私、そんなこと話したこと無い。一緒に出よう、ということしか言っていなかった。

 そのことを話したら、カウンターからマスターがこんなことを話してくれた。

「その思いにどれだけ共感できるか。さらにその思いにどれだけ感動できるか。そこがないと人って動いてくれないんだよ。ただの損得だけでは、打算的な付き合いで終わってしまうからね」

 なんだか難しく聞こえたけど、ニュアンスは伝わってきた。でも、私の思いにどれだけ共感してくれるかな? ちょっと不安はある。

 そのことを話してみたら、ふみえさんからこんな提案が。

「このマカロン、友達に食べさせてみるといいよ。でもその前に舞奈ちゃんの思いを伝えてみて。そこで友達の反応を見て、思いが伝わった人と組むといいかもよ」

「なるほど、シェリー・ブレンドの効果で舞奈と同じ意味になった人とだったら、目的を共有できるからいいチームになれそうだな」

 ふみえさんは袋にたくさん入ったマカロンを私にくれた。

「こんなにもらっていいんですか?」

「もちろん。そのために一度家に取りに戻ったんだから」

 あ、なるほど。ここでわかった。マイさんにコーヒーが飲めないっていう話をしたあとに、マスターはどこかに電話をかけていたけど。これってふみえさんにこのマカロンを持ってくるようにお願いしてたんだ。

 私のために、こんなにもたくさんの人が協力してくれただなんて。それを思ったら、なんだか心がじわっときた。

「ありがとうございます。まずは仲間づくり、頑張ります」

 みんな笑顔で私を見てくれている。よぉし、かんばるぞ!

 このあとはふみえさんのパティシエ時代の話や、世界大会で優勝した知り合いの話とかを聞かせてもらった。ふみえさん曰く。

「パティシエって体育会系の世界だからね。まずは体力勝負よ」

だって。

 あこがれと現実の差はあるけれど、だからといってそこに怯んだりしない。むしろそこにどう立ち向かっていくのか。その闘志の方が燃えてきた。それに立ち向かうための第一弾が、今回のスイーツ甲子園だ。私のお菓子で笑顔になれる人を増やす。その日を夢見ていこう。

 翌日、私は友達にもう一度スイーツ甲子園への思いを語ることにした。もちろん、秘密兵器のシェリー・ブレンド味のマカロンを持って。

「…っていう理由があって、スイーツ甲子園に出場したいんだよね」

 昼休み、私は一番仲の良い友達二人にもう一度スイーツ甲子園の話を持ちかけてみた。この二人は最初に声をかけたけれど、そこまで乗り気ではなかったのでがっかりした。今回はなぜ出場したいのか、それを真面目に話してみた。それでもすぐには返事は帰ってこない。

 ここで秘密兵器登場。

「プロのパティシエだった人からこんなのもらったの。食べてみる?」

 プロからもらった、と聞けばすぐに反応する二人。単なる食いしん坊でもあるけれど。早速シェリー・ブレンド味のマカロンを口にする。すると…

「なんか変わった味ね。なんで…なんでこんなに…えっ、どうして?」

 真紀ちゃんは急に涙を流し始めた。

「どれどれ…うん、おいしい。すっごいウキウキする感じがする。へぇ、これってなんかすごいね」

 ゆうなは妙にはずんでいる。

 ここで種明かし。シェリー・ブレンドは今その人が望んでいる味がするということ。そして、今感じていることがその人が望んでいるものだってこと。

「そっか、私って自分のお菓子で人を感動させたいって思っているんだよね」

「私は自分のお菓子で心をウキウキさせたいって思っているの」

「だったら、それをこのスイーツ甲子園で実現してみない? 私の思いはさっき伝えた通り。お菓子で人を楽しませて笑顔にさせたいの。そういう意味では真紀とゆうなと同じじゃないかって思うの」

 言葉の表現は違うけれど、思いは同じ。なんだか本当の仲間って感じがしてきた。

「うん、やろう、やってみよう」

「私も、なんだかやる気が出てきた。舞奈、私もやってみる」

 真紀もゆうなも気持が高まってきたみたい。

 そうか、自分の思いを実現させたいって思えば、人ってこうやって動いてくれるものなんだな。ただ単に自分の思いだけを押し付けてもダメなんだ。今回はそんなことがわかった。

 早速三人で調理担当の先生にスイーツ甲子園出場の相談に行った。

「おぉ、やっとメンバーが決まったか。よし、早速何をつくるのか、その相談から始めるか。そして試作を繰り返していこう。うん、これから忙しくなるぞ」

 なんだか先生が楽しそう。試作は土曜日の放課後にやることになった。材料は自由に使っていいとのこと。その前に、今回のテーマ「高校生活」。これに沿ったスイーツを考えなければいけない。高校生活を表現するって、何をどうすればいいんだろう? うぅん、さっぱりわからない。

「どんなの作ればいいと思う?」

 その日の夜、私はおかあさんにスイーツ甲子園の経過を報告。その上でテーマの「高校生活」に見合ったお菓子がどんなものなのかを相談してみた。

「うぅん、あなた達がどんなことを経験したかってことになるのかな。それをお菓子で表現する、とか」

「それがどうすればいいかわからないから困ってるんだよ」

 うぅん、あまり参考意見は出て来なかったな。そんなときお父さんが帰宅。この前お世話になったから、メンバーが揃ったことをお父さんにも報告した。そしてテーマに沿ったお菓子で悩んでいることも。するとお父さん、こんな意見を言ってくれた。

「だったらこうするのはどうだい。まずメンバーで高校生活で思いつく単語をたくさん出すんだ。それをジャンル別に分類して、その項目のタイトルを付ける。そこから一つ、さらに舞奈たちの高校生活を象徴するテーマを見つける。今度はそのテーマに見合ったものやことを象徴するものを同じように出しあう。その中からお菓子作りに役立ちそうなものを選び出す。こういう会議のやり方があるんだよ」

 さらにお父さんに、付箋を使うといいということも聞いた。よし、早速明日やってみよう。

 翌日、早速真紀とゆうなと三人で昼休みにお父さんから聞いた方法で会議を開いた。

「とにかくどんどん思いついた単語をこの付箋に書き出していけばいいんだって。じゃぁ高校生活でイメージできるもの。これを出すよ」

 そう言いつつも、いざ出そうと思うとうまく思いつかない。最初は三人とも顔を見合わせて、うーんとうなっている。

「舞奈たち、なにやってんの?」

 そんなとき、同級生のさとるが割り込んできた。

「スイーツ甲子園の話し合いだから。じゃましないで」

「おいおい、じゃまって言い方はねぇだろう。なになに、オレも手伝ってやるからさ」

 ったく、さとるはいつも調子いいんだから。

「さとる、高校生活と聞いて何を連想する?」

 ゆうながさとるにその質問をした。するとさとるは間髪入れずにこう答えた。

「そりゃ、バイトだな。オレの生活はどっちかといえばバイト中心に動いてるからな」

「おいおい、それじゃ学校と関係無いじゃん」

 ゆうながそう言ったところでお父さんの言葉を思い出した。

「このやり方は人がいった意見を否定してはいけないんだよ」

 そうだった、そのことを伝えるのを忘れていた。あらためて二人に、いやさとるも含めて三人に伝えてみた。

「だったらさ、こんなのもありじゃね?」

 さとるは付箋紙に一気に三つも書きだした。それは「青春」「恋愛」「遊び」。

「さとる、勉強ってのが入ってないじゃん」

「おれの頭にそんなのあるわけねーじゃん。真紀が書けば」

「わかったわよ」

 真紀が「勉強」って書いてくれた。その文字を眺めたら、私がこんなのを思いついた。

「友情ってのもあるね」

「遊びだったら、カラオケとかボーリングとか」

「やっぱ調理科なんだから、料理もあるでしょ」

 こうやって次々と意見が出始めた。気がついたら机の上は付箋だらけ。お父さんは、そのあと同じジャンルでまとめてタイトルをつけろって言ってたな。それも早速実施。すると大きく「ライフスタイル」「学校生活」「調理」という分野に別れた。この時点で私の思いは固まった。

「やっぱり私達ならではのものってこれじゃない?」

 そう言って私が手にした付箋は「調理」である。もともとその勉強をしに学校に来ているんだから。真紀もゆうなも納得。

「じゃぁ今度は調理に関して象徴するものを考えよう」

 これはすぐに意見が出た。

「はい、鍋!」

「包丁でしょ」

「コック帽もあるよ」

 私達が普段つかっているものを書きだしたことになる。そして最終的に決めたのはこれ。

「包丁でいこう。これを形作ったオブジェをお菓子にするの。私達が一番最初に習ったのは包丁研ぎだったからね」

 そうなんだ。私達の原点はこの包丁とぎにある。高校の調理科に入って初めて習うこと。それは包丁研ぎだった。

 最初にもらった包丁セット。まずはその一本一本を自分の手で丁寧に磨く。先生の合格が出ないと次の包丁へは進めない。包丁とぎはその一回ではない。実習をやっていくたびに、必ず磨いていく。まさに私たちの高校生活には欠かせないものである。

 そこからイメージが膨らませて、どんなものを作るかを考えていく。そうしてできたアイデアがこれ。

 ムースをベースとしたケーキ。ただ甘いだけではなく、合間に塩キャラメルのムースを挟んですこししょっぱみを入れてみる。これは高校生活が甘いだけではなく、ちょっとつらいことや苦しいこともあるということを表現してみた。あとは彩りよく上にフルーツを並べる。そしてトップに包丁のオブジェ。これはクッキーを焼いてその周りのチョコレートコーティングをすることでそれらしく見せることにした。

「う〜ん、あと何かちょっと足りないなー」

 あと一工夫、何かが欲しい。

「周りになんか飾ってみようよ」

「何飾る?」

「うぅん」

 三人ともここでアイデアがストップ。何か飾りたい、でも何を飾ろうか?

「三人をうまく象徴するようなものがいいな」

 真紀がそう言う。

「三人の個性みたいなの…ってことは三色かなぁ」

 ゆうなのその言葉で何かが頭の中にひらめきそう。

「三色の…アイスじゃだめだし、クッキー…はちょっと合わないし」

 口にしながら頭の中ではいろいろなお菓子がひらめいては消えていく。

「あ、あれは。ほら、昨日食べたあれ」

「あぁ、あれね」

 真紀もゆうなもある食べ物を閃いたみたい。あれって…あぁ、あれか。

「マカロン!」

 三人が同時にタイミングよくこの言葉を口にした。うん、マカロンならこのケーキに合いそう。三色のマカロンを上手く配置することで彩りもよさそうだし。三食はプレーンの白、ピンク、そして…

「昨日食べたコーヒーのマカロン、あれでいこうよ」

「異議なし!」

 よし、決定。私はラフ図を書いておおよそのイメージをつかんでみた。

「こんな感じでいこう。早速先生に相談しよう」

 私たちの高校生活をテーマにしたお菓子が決定した。これを今から実際に形にしてみる。本当にできるかな? ちょっと不安ではある。

「なるほど、これがお前たちの考えたスイーツなんだな。よし、早速今週末から試作にとりかかるぞ」

 先生はがぜんやる気。私たちもがんばろうって気持ちになってきた。

 そして土曜日の放課後、私たちは早速学校の調理室で考えた作品の試作に取り掛かった。といっても、それぞれのパーツのお菓子を作るだけでもかなり時間がかかる。味なんて正直二の次で、それそのものを作るのに精いっぱい。マカロンなんてレシピを見ながら初めて作る。おかげで形は不ぞろいだし、味も甘すぎたし。もうガタガタ。とりあえず形にはしてみたものの、とても人様に出せるような代物ではない。私たちのあまりの技術力のなさにがっかりしてしまった。

 さらにはチームワークもボロボロ。それぞれに担当して制作物を作ってもらったんだけど、次はどうするの、これはどんな形にするのってすべて私に頼ってくるんだから。私だって初めてなんだからわからないっていうの。途中で私もイライラしちゃって、「そんなの自分で考えてっ!」なんて言葉を言っちゃったし。なんだかちょっと険悪なムードで練習初日を終えてしまった。家に帰って反省しっぱなしだわ。おかあさんに話したら笑っていたけれど。

「こんなんで本当に大丈夫かなぁ」

「舞奈、あなたがやりたいって言い出したんでしょ。最後までそれを貫かなきゃ」

「それはわかっているんだけど…」

 今は不安でいっぱい。悶々としたまま、次の練習日の土曜を迎えた。

「とにかくまずはきちんとした形をつくることだな。時間はかかってもいい。舞奈、役割分担をもう少し明確にしておけ」

 先生からはそんな指示が。役割分担については事前に決めておいたからなんとかなるけれど。問題は私たちの手際の悪さにある。ここをどうすればいいのか…。

 とりあえず作業に取り掛かろうとした時に、調理室に一人の訪問客が。

「あれっ、ふみえさん!」

「こんにちは」

「舞奈、知り合い?」

 真紀が私にそう尋ねる。

「うん、お父さんの知り合いで元パティシエだった人。この前食べさせたコーヒー味のマカロンを作った人だよ」

 どうしてふみえさんがここに? するとふみえさん、先生と何やら話し始めた。

「それは助かります。私は実は洋食専門だったもので。専門家の目でアドバイスをいただければこいつらも勇気が出るでしょう。おい、舞奈!」

「はい」

「こちらのふみえさんがお前たちにアドバイスしてくれるそうだ。いろいろと聞いてみるといい」

 やった、なんだかすごい味方をつけた気持になれたぞ。

「じゃぁ、早速始めましょうか。まずは自分たちで動いてみてごらん。私がそこで少しずつアドバイスしてあげるから」

 ありがたい。早速私たちは行動を開始した。

「テンパリングの温度はきちんと計ってね」

「大きさを揃えるコツはね…」

「かき混ぜるときはもうちょっとさっくりと」

 などなど、今まで知っていたようでできていなかったところを一つ一つ細かにアドバイスしてくれるふみえさん。さらにはこんなことも。

「一人ひとりがバラバラに行動しているって感じがするな。これだと時間がかかると思うのよ。三人の中のリーダーって誰かな?」

 そう言われて真紀とゆうなは私の方を見る。まぁ確かに、私が言い出しっぺだし今までも二人を引っ張ってきてはいたが。

「じゃぁ舞奈ちゃんがリーダーね。リーダーは基本的に作業よりも指示を重視してみて。そして自分がやる作業以外は手を出さないこと。あとはメンバーに任せて」

 そう言われて気づいた。私はついあれもこれもやりすぎてしまう。仲間を信頼していないわけではないが、今まで一人でお菓子作りをやってきたから、なんでも一人でやってしまおうという癖がついているのかな。

 そうして、プロのアドバイスを受けてできた作品。アドバイスと言うよりは、かなりふみえさんの手が入っているけれど。でもきちんとした形になったのがうれしい。

 できあがったものは早速試食…というわけにはいかない。その出来上がりを見て、もっと美味しそうに、もっとテーマにあったように見せるにはという反省会を行う。これもふみえさんからのアドバイスだ。それを書きだしてみてわかった。私達、まだまだ腕が未熟だってこと。だからってあきらめない。

「舞奈、応募まではまだ二ヶ月ある。これから毎週特訓だからな」

 先生はがぜん張り切っている。私ももちろんそのつもり。最後にふみえさんからこのアドバイスが。

「パティシエって憧れだけじゃできないの。まずは体力。そして繰り返しの鍛錬。最後はチーム力。一流のパティシエだって、一人で全部やっているわけじゃないからね。舞奈ちゃんたちだったら大丈夫。そのチーム力で上位を目指してね」

「はい、わかりました!」

 さらに闘士が湧いてくる。そのあとは試作したケーキをみんなで食べて、味の感想を言い合う。これで見た目、そして味のイメージが固まってきた。あとはとことん練習するのみ。よぉし、やるぞ!

 そんな感じで応募までの約二ヶ月間、ほぼ毎週繰り返しの練習。ようやく私達だけで、規定時間内で制作できるくらいまでになった。見た目も整ってきたし。そろそろ応募用の作品を作らないと。

 一次審査は作品の写真と、そこに込められた意味や私達のプロフィールなどを書いた書類を出す。そして一次審査を通過したチームが、地区大会へと進むことができる。その地区大会で優勝すると、今度は全国大会。これはテレビ中継もある。もちろん目指すのは全国大会、そして優勝。私達の腕がどこまで通用するのか、その腕試しだから。

「よし、今週いよいよ応募作品をつくるぞ」

 先生の言葉に気合が入る。本番さながらの準備で作業にとりかかる。このスイーツ甲子園、学校も応援してくれている。特に教頭先生はすごく気にしてくれている。どんな作品になるのか、首を長くして待っているらしい。

 今までの練習のように私たちは役割分担した作業にとりかかる。私が全体を見て作業を指示する。そうしながらも、自分の役割の作業をこなす。今回は本番を想定した作業。なので、コーヒーマカロンもシェリー・ブレンドを使わせてもらった。

 作業の途中で、できあがったマカロンをちょっと味見。うん、この味ならいける。

 ふと周りを見回す。そこは私のお店。こうやってスタッフを使って、新しいお菓子をつくってたくさんの人によろこんでもらう。私なりの、素朴だけれど新しいお菓子を開発して、小さい子どもからお年寄りまでが美味しいと言って買ってくれる。そこには笑顔があふれている。

 うん、これだ。これが私のやりたいことなんだ。それを今まさに実践している。

「舞奈、次はこれでいいの?」

「あ、はい!」

 ゆうなの言葉で現実に戻った。あ、今シェリー・ブレンドの魔法にかかってたんだ。

 私のやりたいこと。これをほんのわずかな時間だけれど体感することができた。このスイーツ甲子園、私はただ単に自分の腕試しをしたいだけじゃない。これを通して私が思い描いている未来の姿を明確にして、そこに向かうための思いを多くの人に知ってもらう。そう、そのためにやっているんだから。

「ゆうな、次はこれお願い!」

 私はめいっぱいの笑顔で指示をした。そうしてできあがった、一次審査用の作品。まだまだプロから見れば荒いところもあるだろう。けれど、現時点での出来は満足。

 先生が早速写真を撮影してくれる。これがどのような評価を受けるのか。ドキドキだなぁ。

 そうして作品提出も終わって、ちょっとだけ一安心。あとは結果を待つのみ。けれど、一度燃えた心はおさまらない。

「ねぇおかあさん、ココアパウダーとアーモンドスライス買ってきて」

「舞奈、今度は何をつくるの?」

「うん、今度はね…」

 前からお菓子作りは家でもやっていたが、そこにまた拍車がかかった。バイトのない日の夜は、必ずといっていいほど何かのお菓子をつくる。そしてそれを学校に持って行って友達に食べてもらう。友達も私が作ってくるお菓子がとても楽しみになったみたい。

 どうしてそんなことをやっているのか。それは、私の作ったお菓子でみんなが喜ぶ顔が見たいから。私は凝ったお菓子はまだまだ作れない。素朴な焼き菓子が中心。でもそれでいい。

 聞けばふみえさんのお店もそうだったみたい。ケーキなんかももちろん作るけれど、一番評判が高かったのはクッキーだとか。それも何種類もあって、選ぶだけでも楽しみだったみたい。残念ながらふみえさんのお店はもう無いけれど、私もいつかそんなお店を開いてみたい。そこに集まる人が、私のお菓子で笑顔になって欲しい。そんな笑顔が集うお店。それが私の夢。そのためには今はひたすら修行しなきゃ。

 そんな感じで一ヶ月ほどが過ぎた。そろそろスイーツ甲子園の書類審査の発表があってもいい頃だと思うんだけど。このところ、ちょっとドキドキした日々を送っている。どんな形で発表が行われるのかがわからない。学校に連絡が来るのか、それとも代表となっている私のところに来るのか。あー、なんかモヤモヤするなぁ。

 そんなとき、ふみえさんからメールが届いた。

「舞奈ちゃん、今度新作を作ったから食べてみない? 日曜日にカフェ・シェリーに持っていきます。仲間の二人もぜひ誘ってね」

 新作ってどんなのだろう? ちょっと期待を持って真紀とゆうなを誘ってみた。

「行く行く、ふみえさんの新作ってどんなのだろう?」

 二人とも乗り気。そして日曜日、駅前で待ち合わせてカフェ・シェリーへと向かうことに。

「確かこの辺だったよなぁ…」

 私は極度の方向音痴。この前はおとうさんに連れられてきたから、記憶だけを頼りにやってきた。

「あ、ここじゃない?」

 真紀が指さしたところには、カフェ・シェリーの看板があった。そこにはこんな言葉が書かれてあった。

「新しい発見、それって実はもうあなたの中にあったんですよ」

 多分マイさんが書いたのだと思うけど。どういう意味だろう?

カラン・コロン・カラン

 お店の扉を開けると、心地良いカウベルの音。

「いらっしゃいませ。あ、舞奈ちゃんたち、待ってたよ」

 マイさんが私の顔を見るなり、にこりとした笑顔で出迎えてくれた。中に入ると、すでにふみえさんが窓際の席で待っていた。

「おっ、きたきた。まずは何を飲むかな? そちらの二人はコーヒーは飲める?」

 真紀とゆうなは首を縦に振る。

「それじゃシェリー・ブレンド二つお願い。舞奈ちゃんはどうする?」

「うぅん、やっぱりコーヒーは苦手ですから。またジュースでお願いします」

「舞奈ってしっかりしてそうだけど、そういうところはお子様なんだよね」

 ゆうなが私をからかう。私だってそういう面があるんだから。そう思いつつも、気になるのはふみえさんの新作。一体何なんだろう?

「じゃぁ早速…」

 ふみえさんはバッグから紙包みを取り出す。どんなものだろう、ワクワクするな。

「これなんだよね」

 取り出したものは、一見すると何の変哲もないスティック型のクラッカー。ちょっと拍子抜けしてしまった。もっと派手で鮮やかなお菓子を期待していたのだが。

「まずは食べてみて」

 そのお菓子を手に取り、口に運ぶ。

「えっ、えっ?」

 食べてみてびっくりした。味が…ない。

 だがここからが不思議。それを飲み込むために何度か噛んでいると…だんだん甘くなってくる。飲み込む寸前になると、口の中は砂糖とは違う甘さでいっぱいになっている。素朴な味。一言で言うとそれだ。

「なんだか不思議な味ですね。最初は全然甘くないので変だなって思っていたけれど。噛めば噛むほど甘さが出てくるって感じです」

「よかった、狙い通りだ。実はこれ、砂糖を一切使っていない自然食品なの。赤ちゃんから食べられるものをって思って作ったのよ」

 なるほど、そういう狙いなんだ。

「私ね、前はお菓子屋さんやっていたでしょ。そのときはお菓子=甘いっていうものだって思い込んでいたの。でも最近、いろいろな人にあってわかったの。甘いだけがお菓子じゃないって」

 ふみえさんのその言葉、私の心にズシッときた。甘いだけがお菓子じゃない。そうか、食べる人の身になって考えなきゃ。どんなお菓子を望んでいるのか。アレルギーで卵がダメな子もいる。小麦粉がダメっていう子もいる。そういう人でも笑顔になれるお菓子をつくってみたい。もちろん、見た目でも楽しめるものを。ふとそういうことを思った。

「よし、決めたっ!」

「えっ、舞奈、何を?」

「私、どんな人でもおいしく楽しく食べられる、そんなお菓子が作れるお菓子屋さんをつくるの。アレルギーを持った人でも食べられるようなものをつくるの。誰もがみんなで楽しめる、そんなお菓子作りをしていく」

 突然私がそんなことを言い出したものだから、真紀とゆうなはびっくり。けれどふみえさん、マイさん、そしてマスターは私の言葉に微笑んでくれている。

「舞奈ちゃん、さらなる目標ができたね」

 マイさんが私にそう言ってくれた。

「はい、ありがとうございます」

 がぜんやる気が出てきた。自分の中で何かが湧き出てきている。そんな感じだ。

「あ、舞奈メールだよ」

 自分の中で盛り上がっているときにメールの着信音が。ゆうなに促されてメールを確認。

「えっ、うそっ、やった!」

 私はそのメールを見るなり、天にも登る喜びを感じた。

「舞奈、どうしたの?」

「選ばれたの、私達のが。ほら、ほらっ!」

 私は届いたメールを二人に見せた。そこに書かれているもの。それはスイーツ甲子園の一次審査通過を知らせるものだった。

「やったぁ!」

 真紀もゆうなも大喜び。

「みんなおめでとう」

 カフェ・シェリーは喜びに溢れかえった。

 よぉし、これからが本番だ。やってやるぞぉ!


<お菓子な毎日 完>

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