蝶と人間3
白蛇は驚いた。
弁才天様の使いでやってきた道中で、こんな奇跡を目にできるなど思ってもみなかった。
蝶と人間が本気で恋に落ちるなど、1000年と210年生きた私でさえ初めての光景だった。
旅の道中腹を空かせていたので、鱗粉をみて蝶を腹の足しにでもしようと寄ったが、今回ばかりは願いを聞き入れようではないか。
そして白蛇は蝶に話しかけた
「お前の願いを聞き入れた。しかし、これは試練になるだろう。」
蝶は期待で膨らんだ胸を押さえながら、その顔を上げた。
「もう私には時間が残されていません。
是非その試練を受けさせて頂けますでしょうか。力の限りを尽くすことを誓いましょう。」
少年には白蛇と蝶の言葉は聞こえなかったが、二人が話していることは不思議と分かった。
少年はどうすることもできなかったが、蝶の普段とは違うただならない雰囲気に息を呑んだ。
白蛇は言葉を続けた。
「私たち蛇は脱皮を行う。蝶は、14の歳になると寿命を終える。
しかし、脱皮を行えば、神への道へが開かれる。蝶にとって脱皮は命がけだ。
だからこそ価値がある。お前が脱皮をすると言うのなら、神ではなく人間にしてやろうではないか。
今ここで命を懸けて脱皮をするのか、残された時間をその人間と過ごすか。
さあ、選べ。」
蝶はその選択に迷うことなどなかった。
命を懸けてでも、彼と言葉を交わしたかった。
少女は、白蛇を真っ直ぐに見つめ心を決めた。
「脱皮を選びましょう。」
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