子どもゾンビ
21XX年。
突然、小児死亡時遊行症が始まった。
いわゆる、映画やテレビドラマであるゾンビそのものだ!
高熱の後、心臓が止まりその後凶暴になって動き回る。
厄介なのは感染するのだ。
しかも大人は感染しないのだ。
するのは子どもだけだ。
免疫力の違いなのか、子どもだけなのだ。
親は恐れて子どもを学校にも行かせず、家の中で厳重にマスクをかけさせ一室にしまい込んだ。
それでも感染してしまうのだ。
しかも政府の方針が定まらない。
これは死人なのか?生きているのか?
心臓が止まっている。ならば死人であろう。
凶悪なモンスターだ!
直ぐさま焼却処分にするべきだ!
と言う声と
動いているのだから生きている。
ましてや親御さんの気持ちを考えるべきだ!
政府が子どもゾンビを射殺、焼却の方針を固めたが、野党はマスコミを巻き込んで猛反対した。
声高らかに内閣を猛批判だ。
あろうことか、大臣の収賄の問題もあり、それで国会は大混乱となった。
内閣は衆議院解散し、総選挙した。
結果、与党の大勝利だ。
反対派の声は高いが、国民のほとんどはこのゾンビ病が我が子に降り注ぐ前に早く終息して欲しかったのだ。
国民の信は問うた!
すぐさま決議しなくてはならない。
しかし、今度の野党側は先の与党の初動遅れを問題とした。
市民の運動家は国会を包囲し大声で反対のシュプレヒコールをした。
結果、日本の経済はめちゃくちゃになり失業者が溢れた。
それでも野党やマスコミは反対!反対!を叫び続けた。
大学の機関がこの病気の原因をようやく発見した。
それは鳥などの血液にある自然界にはありふれる成分だったのだ。
何とかワクチンを制作した。
それを注入するとゾンビは動きをやめ、ようやく死体となる。
まだ死亡していないものは症状が治まるのだ。
これを量産にこぎつけたがすでに遅かった。
この国の子どもの98%はすでに罹患してしまっていたのだ。
結果、国民の4分の1を失い、国は半身不随になるほどたたきつけられたのであった。