旅の始まり
やっと宝箱から出てきてくれた彼女は噂に違わず、気品と美しさを兼ね備える女剣士だった、金属の類はあまり付けず、群青のロングコートに白のブーツ。
見るからに高価そうな装備をしている彼女と俺は正反対だ。
そんな事を思っていると、
「よく、そんな装備であの中ボスに勝てたなぁ、」
なんていわれたので、仕方なく事情を説明する。
実際、駆け出しで、装備買うお金すらないんです、というのはすごく恥ずかしい。
「そ、そうか、なら一つ提案なんだが、その…なんというか、命の恩人であるお前に、なんていうか…そう!恩返しがしたいんだ、だから…私とバディを組まないか? 次の街まででいい、だから… その…嫌なら断ってくれ…」
と言っている彼女は淡々とこなしているような雰囲気を醸し出しているが緊張しているようで顔が赤く染まっている。
実際、次の街までこの装備ではたどり着けないだろう、テレポートできる手段は無いし、死んで近くの街で蘇生されるのももっと嫌だ、だからこの提案はとても魅力的だ、しかも相手が最強なら安心感がある。
そんなことを考えつつ、私はパーソナルカードを差し出していた
この世界でパーソナルカードとは生まれた時から持つ身分証のようなもので、そこにその人の歳から職業、ランクまで乗っている、
バディを組む時や、ギルドに入るときはこれを互いに重ね合せる事で成立となる。
「では、恩返しも込めてこれからよろしく頼む、その…楽しくいこう」
彼女は気品とは裏腹に凄く楽しそうだった
「当然、前衛も私がやろう、なんでもこき使ってくれ!」
やっぱり凄く楽しそうだ。
まだまだ続きます。