全力で唱え続けます。
全身に衝撃が走る。
視界が悪いこの場所では、何が起こったのか確認することができないが・・・
体が温かい液体につつまれ、なのに寒さが増していく。
おそらく死ぬのだろう。
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気づくとどこか分からない場所にいた、
現実味を帯びないが、意識がはっきりしている。
そして、ここには十数人程度の人がいた。
あたりを確認するために動き回っている人や、一歩も動かずただじっとしている人、近くにいた人と身を寄せ合っている人など、様々だ。
僕はというと、何もせず、ただ元いた場所でじっとしている。
情けない話だが、足が竦んで立ち上がることができないのだ。
未だ立ち上がることが出来ていない僕が辺りをぐるぐる見回していると、突然、1人のある男がこう言った。
「これはもしや、夢にまで見た異世界転生じゃないか?まだ、死なないんだ!だったら、俺はチートな能力を持って、ご都合主義な展開に物事を進めて、自由に生きてやるんだ!それでそれで・・・」
異世界転生。
確かに死んだはずの僕が、今こうしてここにいること自体が普通のことではないので、普通では絶対にありえないようなことが起こってもおかしくはない。
考え事をしていると、これまた突然に変化が起こった。
学校の教室にありそうな椅子と机が目の前に現れ、気がつくとそこに座っていた。
何を言ってるか分からないと思うけど、僕も何をされたのか分からなかったのでそこは妥協します。
「不運にも地球での生命が終わってしまいました皆様、誠に勝手ながら、別世界にて生まれ変わってもらいます」
続けてその者は言う。
「というのは、特に深い意味はないですが・・・、なんと言いますか。ちょっと可哀想だなと思ってしまったからでしてね。まぁ、それだけです。」
それはともかく、お待ちかねのキャラ設定のお時間です、と言われた。
キャラ設定って、チート能力とかが使えるようになったりすることができるやつかな。
「では、ざっくり簡単に手間をかけないようにが私流ですので、早速やっていきましょう。注意点としてはキャラメイクとは少し違い、見た目や名前は設定できません。やってもらうのは欲しい能力の数を言ってもらうことです」
それだけで、適切な能力を授けて差し上げましょうと、そういうことらしい。
それなら、安心できる。
それから、続々と数を言って行って順調に進んでいった。
そして、先ほどの異世界転生を夢に見ていたという青少年が
「俺は、無量大数の能力が欲しい」
と言い、周りが少しざわざわしたが、どうやらそれでもいいらしい。
そして、その次の人も無量大数といったが、残るは僕のみなので、無量大数は2人だけだ。
だが、僕は無量大数なんてそんな数は言わない。
僕が言うのは、言えば言うほど数値が増えていく数だ。
後のことを考えてニヤニヤしてしまうのを抑え、僕は
「googolplex plex plex plex plex plex・・・」
息が切れてもいい続けた。
グラハム数を超え、ふぃっしゅ数最高バージョンを超えるように、貪欲に満足するまで言い続けた。
気がつくと周りには誰もいなかった。
僕らの召喚主だけはとても面白い者を見るような、子どもが、新しいおもちゃを見つけたかのような顔をして
「君はとても良いね。最高だよっ!超絶楽しい気分だよっ!!」
なお、他の人は、もうすでに異世界に行ったらしい。