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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

儀式

 とても怖いお話のつもりで書いています。

拷問シーンの描写があるので、

苦手な方は読まないでください。

グロテスクさは狙っていませんが、地味に痛そうな描写があります。

 箪笥の角に小指一万回ぶつけたくらいです。

 人々はどこかからやって来た。

数えきれない人数だ。皆心の底からの笑顔で

信じられないようにシンクロした動きで、

妖精のように踊り続ける。

 ここには他に、私しかいないから。

私の為だけのダンスだ。永い時間私はそれを本当に

楽しい気持ちで見ていた。

 永い時間が終わったとき、唐突にそれは始まった。



 


 拷問だ。

 今まで笑顔で踊り続けていた彼らが、

楽しそうに私の体で遊び出す。

 私の体には無数の釣り針が刺され

その釣り針の付いた糸を握って

彼らは動き続ける。

 私の全身の皮膚は釣り針で切り裂かれ

血だらけになる。

 それから、私の体は空中に釣り上げられ、

全身を無数の針で刺される。

痛みは消えることがなかった。命が終わるまで。

 

 私の血は流れ続けた。

 

 本当にゆっくりと痛みしかない時間が

永く続いた。続くだけ続いて

あっけなく死はおとずれた。

 本当になんの救いもなかった。


 そしてまた、新たに生を与えられるときがきた。

私を生む女の顔が見えた。嬉しそうに笑っている。

幽かな視界に少なくなっていく時の数字が見えた。

この時の間に決断しなければ、また同じ苦しみが始まるのだ。

 笑顔で私を見ている女に今ならまだ、

私の意志で死を与えられる。そうすれば、

私は、生まれなくて済むのだ。

 

 時の数字はどんどん少なくなっている。

早く女の死を決めなければと思っても、

彼女を殺すことを私は最後まで決められなかった。

 そして結局決断できないまま、

また生まれてきてしまった。


 泣くしかなかった。いつもそうだ。

生まれることを望んでいないのに、

 自分を生むものを殺せない。


 だからいつも

泣きながら生まれてくる

私は。

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