夏の怨霊祭 後編
リアルではもう秋だけど気にするな!
「まぁしゃあないな! お前だけじゃないもんな!」
「そ、そうだよ!! 俺だけじゃないし!!」
他に怖がりがいると見た。
「なー河勝と伊予もなかなかのビビりだよなー」
「鶏肉だねぇ」
なんだと…
他にもいた…だと…
「次行こうか。某だな…」
十字架の人は見た目じゃ分からないけど意外と楽しんでいるようだ。
「えーと…もう嘘だと公表されているから怖くも何ともないけど…」
─
「あぶぶぶぶぶぶ…」
3人目で幼児が泡を吹いて倒れた。
白目を剥いていて、最初の方はビクンビクンという効果音付きで痙攣していたのだが、
5分も経たないうちにピクリとも動かなくなった。
実を言うと、俺からしてみればこっちの方が軽くホラーだったりする。
「私はこちらの方が怖いのですが…」
俺もです。
─
そんなこんなで暫くして100本目の蝋燭を消した。
「…これで霊が出てくるんだっけ?」
「どんな奴が来るのだろうか…」
「…なぁ、雰囲気ぶち壊すようなこと言うけど…
これ怨霊増加フラグ立ってるんじゃ…」
まさかのそのパターン!?
『…ぁ゛…うぁ…』
「!?」
出てきますかね。
幼児は相変わらず白目を剥いている。
言い忘れてたけどずっとこっち向いてるから怖い。
俺らは今ホラーに囲まれている状態である。
『…きっひひひひ…』
高笑い(?)が聞こえてくる。雰囲気を出してくれてるんだろう。感謝。
でもそっちで倒れてる人のほうが怖かったりする。
『…あ、あれ、引っかかって出て来れないんだけど』
「…はい?」
『ちょっ、助けて誰か!! つーかケツ押してくれよ伊予!!
…え? 嫌? そんなこと言わないで!! 井上さーん!!』
「…あー、やっぱり…」
「ちょっ、早良お前っ!!」
『ひ、広嗣ー! 真備ー!! 聞こえるー!?』
「聞こえる聞こえるモロに聞こえるよ早良!!」
「手出せ!! 引っ張ってやるから!!」
何も無い空間から行き成りでろん、と手が出てきた。
『いいか? いいな? ちゃんと引っ張ってくれよ!?』
「よし皆引っ張るぞ!! おい少年と小娘!! 見てないで手伝え!!」
「あ、待った、引っ張る前に将門起こしてくれない?
そいついるだけでも力の量的に大分違うんだけど」
「お、おう…」
ついに役立つ時が来たようだ。
さて…
「どうやって起こす?」
「殴る」
「よしそれでいこう」
思いっきりグーで殴る。
…反応なし。
「…い、いや、守屋と広嗣がいるだけで充分だろう…」
「よしいくぞ、せーのっ…」
ビリビリビリビリッ!!
なんかヤバめの音がしたような気が…
紙とか、もうそんなんじゃない感じで。
「出てきた!!」
「うぎゃっ!!」
べしんっ、と床に叩きつけられる変な人。
この人が先ほどの早良さんで御座いますか。
「あーやっと出てこれた…ってあああああああぁぁぁぁあああああっ!?」
あー。やっぱりですか。
先ほどの破れたような音は、早良さんの服が破けた音だったらしい。
成程、服が引っかかってたわけだな。
「服が!! 俺の服が!! これやばい俺超セクスィじゃん!!」
「変な言い方はよせ!!」
「あ痛っ!?」
大連さんが早良さんの頭をグーで殴る。痛そう。
「…まぁ、脱げるよりはマシだろ」
「それはそうだけどさぁ…」
「おい何時まで寝てるんだ将門、起きろ」
「いっ!?」
またもや大連さんがグーで殴る。やっぱり痛そう。
「うー…あれ、怪談は? 怖い話終わったの? 蝋燭は?」
「全部終わって今怪奇現象という名の再開が済んだとこ」
「再開?」
「よっす」
「…お? …おおぉぉぉぉっ!? あぶぶぶぶぶぶ…」
「失礼な奴だなー、せっかくこんなセクスィな状態でこの早良様が来てやったってのによー」
「引っかかってたけどな」
「うるせぇよクリムゾン」
また白目剥いて泡を吹いて倒れてしまった。
「これでまた食費が大変になるなお前らも…」
「は?」
「早良もなかなかの大食いだからなんつーか…下手したら破産するぞ」
最悪だ。
出来ればもう皆まとめて帰って欲しい。
早良君出ました。森田家の食費がえらいことになりそうです。頑張れ雄也君。




