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寺と門の放火犯

『えー、○○市の民家で放火がー…』

「うぇっ、結構近いな…怖っ」


放火のニュースが流れていたのでついつい見てしまった。

いやニュースは見るけど。


「…そういやあの放火犯組元気かな」

「放火犯組?」

「2人合わせて放火し隊」

「ぶっ」


放火したいから放火し隊?


「つーか誰と誰だよ」

「守屋と善男」

「え?」

「物部守屋と伴善男」

「…え?」


前者が寺で後者が門。確かに放火はしてる。

そうか…だから放火し隊…じゃねーよアホか。


「くっだらねー…」

「くだらないとは何ですか人間の分際で」

「…え?」


知らない声が聞こえてきた。わぁい幻聴。

そろそろ病院に行かなきゃいけないレベルになってきたかな!!


「幼児テレパシーでも使ったのか」

「は?」


あぁ、これは事情を知らない人の顔だ。


「誰も声真似とかしてませんよね? ね?」

「誰の声を真似るのさ」


「ちょっとさっきから失礼じゃないですか!? 此処ですよ!!

 先ほどから貴方の後ろにいますよ!! さっきから黙ってりゃ…

 全く…最近の人間共は…私の存在にも気づかないなんて…」


!?


…!?


「…どちら様ですか」

「もうこの展開からして分かるでしょうが!! 怨霊です!!

 放火犯ですよ!! 門の方の!!」

「門の方の放火犯…大納言の方!?」

「そうですよ!! 大納言の伴善男ですよ!!」

「大連じゃなかった!!」

「大連もいますよ!!」

「いんの!?」

「このクズ人間が…俺の存在に気づかぬなど…」

「いたーっ!!」


あぁなんか多すぎて名前がごちゃごちゃになってきた…

えぇと…あの梅色の人が道真公で…やたらチビなのが将門公で…

めっちゃ巻いてる片目の赤い人が崇徳上皇で…やたら赤い人が広嗣殿で…

特に十字架以外特徴が無い人が真備殿で…このオッドアイが守屋殿で…

この顔の左半分がケロイドなのが善男殿…?


「そうですよ!! 合ってますよ!! 私が頬に印でも押してあげますからいらっしゃい!!」

「嫌だ!!」

「ただ私から見ればケロイドなのは右半分…」

「どうでもいいわ!!」


頭が破裂しそうなんですけど!!


「まだ7人だぞ7人!! 怨霊なめんな!!」

「俺ら抜いてもまだ13人はいるな」

「20人!? 無理無理無理無理そんなんこの家に入らない!!」

「まだ来てないのは皇子と河勝と蝦夷入鹿…」

「夏井と豊城も来ませんね」

「長屋と早良も遅いなー」

「井上様と他戸、伊予もそろそろ来てもいい頃だとは思うな」

「逸勢来ないなー」

「頼長もねー」

「分かんない!!」


一人ずつ頼む、いっぺんに言うな、分かんない。

つーか遅いとか来ないとか皆来る予定になっちゃってるの!?


「我らが帰ってこないからといって人間界ツアーとか組んでるらしくて」

「もう帰れよ!!」

やっと大連出ました。大納言も出ました。満足です。早いですね。

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