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プレゼントは『詠唱の長いコーヒー店のギフトカード』

作者: 黒銘菓
掲載日:2026/05/05

 実は私にも友人がいる。

 奇人変人小説書きで、『友達はいないだろう。』と他ならぬ友人から言われることもあるが(君は一体何なのだ?)、私に祝い事があった時に祝ってくれる物好きな友人が、一人や二人ではなく、いる。


 話は飛ぶが、こんな私にも誕生日の一日や二日はある。嘘である、流石に年に一日しかない。

 ただ、祝われる機会は少ない。

 大概忘れられる。

 忘れられる悲しみは知っているので、こちらは忘れないように心掛ける。

 すると一方的に祝う形になる。

 律儀に祝うので半ば呆れつつも称賛される。

 気持ち程度だが贈り物をすることもある。

 贈り物をすることがそれなりに好きなので返礼は無くて構わない。

 人を祝うのが一種のセーフティー……『他を祝えるだけの人間性と余裕がまだ自分にはある』という境界線にもなっている(これが出来なくなればブレーキを踏むことにしている)。


 私の誕生日を忘れて贈り物もしないくせに『誕生日だ、祝え!』という横暴な輩が湧くこともある。

 そういう輩に贈り物は決してしない。

 贈り物はあくまでこちらの興が乗るからやるので、やらされるものではないのだ。

 ちなみに、その横暴な輩は結局私から何も貰えず、それを周囲にわざわざ吹聴し、同情を買おうとして『ねだるだけのお前が悪い。』と叩かれていた。

 自業自得(ざまぁみろ)である。


 たが、誕生日を忘れずに、祝ってくれる物好きな友人も、中にはいる。

 そんな友人が先日、腹の立つ素敵な贈り物をしてくれた。


 贈り物は、詠唱の長いコーヒー店のギフトカードだった。

 店名は言わない。

 無意味な配慮だと、我ながら思う。

 贈り物のコンセプトは『黒銘菓に果たして商品が買えるかチャレンジ』だそうだ。

 実に業腹である。

 『店に行かなそう』だの、『だから敢えて選んだ』だのと、好き勝手言いおって。

 文句を言いたい。


 図星である(行った事がない)

 大当たりである(なぜ知っている?)

 何も言い返せない(ぐぬぬぬぬぬ)

 実に業腹である。


 何より腹立たしいのは、誕生日を忘れずに祝い、贈り物まで用意し、しかも選んでいるのは好物のコーヒー。その上でこちらの性格を見透かした様に『未知の刺激』というトッピングをして寄越した。

 解像度の高い、的確なプレゼントを、腹の立つ理由で寄越しおって……。

 業腹である。


 そんなことを思い、指先をひょこひょこと動かしてこの文を書きながら『これは中々美味しいなぁ。』と珈琲で喉を潤している。


 ところで私は根に持つ性格である。

 10年経とうが100年経とうが、怨み骨髄、坊主を憎めば袈裟まで憎むし、なんなら寺まで焼き討ちする勢いだ。

 この怨み晴らさでおくべきか!

 魔太郎である。






 さて、これを読んでいる友人に告ぐ。

 腹の立つ、しかし思わず笑ってしまう素敵な贈り物をする友人に告げる。

 上限はない、加減もしない。

 次の誕生日、楽しみに待つといい。

 嬉々として贈り物をしよう。


 とまあ、結局言いたいことは『誕生日を祝ってくれてありがとう。』の一言だけなのだ。

 それを、手間を掛けて質面倒な文章にして、わざわざこんなネットの海に流す。

 『黒銘菓はやっぱり面倒くさい。』と言われそうである。


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― 新着の感想 ―
ルビが秀逸! これほど的確な、本文と=なルビ、読んで楽しいルビはそうそう見かけません。 この仕打ち忘れてなるものか、次はお前の番だ覚えていろ、の意気込みも天晴でした。ひっそりと仕返し(笑)を応援します…
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