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一日の幸せ  作者: RYUNA
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町の探索

第9話「町の探索」


2匹の竜と契約を交わした竜華。

それでも日常は変わらずに過ぎていく。

ちから


自分の非力さに泣いたことのある人は必ず欲するものだと聞いたことがあった。

現にお父さんが目の前で息を引き取ったときに何もできない自分を悔やんだことは確かに覚えている。

だけど力、力と言ってもそんなに良い物ではないと私は思うんだ・・・だって


力に執着すればいつしか自分自身が弱くなるから・・・


そう教えてくれたのは・・・あれ?誰だっけ・・・












ピピピピピピ・・・


「う~~ん・・・」


ベッドから近くの棚に一本の手が伸びてくる。

その手はしばらくその辺をさまよった後に時計の頭を強く叩いた。

音が鳴りやみ手もベッドの所に戻っていく。

ベッドでは竜華が布団も羽織らずに丸まって寝ていた。


「お~い、もう9時だぞ!起きろ竜華!」


「う~~ん・・・」


もう~~誰だよ・・・せっかくの休日なのに・・・

今日はお母さんもお兄ちゃんも朝早くから出かけて・・・って・・・あれ?


「竜華、起きてください。さすがに寝過ぎですよ。」


「うわっ!!」


もう一つ明らかに違う声がしたのであわてて飛び起きる。

部屋を見回してみると人影は誰一つ見あたらなかった。

あれ?確かに誰かの声が聞こえた気がしたんだけど・・・


「・・・空耳かな・・・」


そう思ってもう一度寝転がろうとすると「いい加減にしろ!!」という声と同時に頭に何かがぶつかってきた。

パチンと軽い音がして目の焦点が戻ってくる。

自分の膝のあたりを見ると黒くて小さな細長いトカゲのような物がジッと私を見ていた。


「・・・・・・・・・・・・ひゃあぁっ!!!」


とりあえずトカゲなどが苦手な私は思いっきりその物体を弾いてしまった。

その黒いトカゲの様な物はそのまま床に転がってうなり声を上げて起きあがろうとしている。


「・・・いってぇ・・・いきなり何するんだよ!!」


「あぇ・・・・・あっ!!クロエ!!」


黒い物体がクロエだと分かると私はベッドを降りて駆け寄る。

クロエは私が契約した2匹の竜の黒い方で、少し短気でぶっきらぼうだ。

もう1匹の白い方は部屋の中央にある小さなテーブルの上でクスクスと笑っている。

こっちの名前はハク。穏やかでとても優しい雰囲気の竜だ。

色々あって2匹と契約を交わし、私は2匹に名前を付けたのです。

とっさに思いついた名前だからセンスがないのは当たり前。


「それにしてもこんなに小さくなるんだね。」


そう言いながらクロエをハクと同じ所に連れて行きテーブルの前に座る。

今の彼らは祠で会った時よりずいぶんとサイズダウンしている。

ちょうど15㎝の物差しぐらいの長さで横幅が4㎝くらい。

パッと見はトカゲみたいだけど立派なタテガミは健在なのでそこは竜らしい。


「これでも一応飛べるんですよ。」


「まぁこの姿のままじゃあ体力使うけどな。」


そう言いながらクロエは1つ大きな欠伸をする。

とりあえず今家には私たちしか居ないのでリビングに移動することにした。




「で、このあたりに族種の気配がないか調べようと思うんだ。」


開口一番にクロエがそう告げた。

まずはこの町の一帯に族種の気配がないか調べたいのだそうだ。

もちろん彼らがそのまま行くと大騒ぎになるので実際に町を回るのは私。

正直めんどくさいから行きたくないんだけど自分から引き受けた事だから言い返すことができない。

とりあえず朝食を食べた後に支度をして私たちは家を出た。




「竜華は自分が知っている場所で良いので色々な所に行ってください。」


「適当に回っていいんだね。」


そう確認を取りながら自転車をこいでゆく。

まだ時刻は9時30分過ぎ。そして今日は土曜日なので車道の通りが少ない。

私の住んでる所は過疎化が進む田舎なので朝早くと夜遅くの外の風景はすごく寂しいのだ。

お昼時でも都会に住む人にとっては呆れるような光景だろう。

それでも私はそんなところが好きなんだけどね・・・


私は色々な所に行ってみる。

学校の近くや大きな建物の近くにある公園。

そして昼前には駅前の方にも足を運んだ。

駅前はさすがと言うか人通りがかなり多い。タクシーの出入りも頻繁に行われている。


「う~ん。まったく気配を感じない・・・」


お店の裏側の人通りが滅多にない所に出るとクロエが呟いた。

ここまで来て2匹の反応は全くなし。気配が感じられなかったらしい。

これ以上遠出をするのも疲れると言うことで今日の探索はひとまず終わった。



「はぁ~~結局、収穫なしだったね~」


ソファーにドサリと座りながら呟く。

2匹は私の膝の上でリュックの中が苦しかったのか伸びている。チャックは開けといたのになぁ・・・


「まぁ、今見つけられなくてもしばらくすれば向こうからやってくるだろうよ。」


「その時は戦わなくてはいけませんがね・・・」


助けると言っても戦わずに助けられるのがベスト。

向こうからと言うことは契約者と戦わなくてはいけないと言うこと。

その結論にたどり着くと私は1つため息を吐いた。


「そういえば、族種を助けた後は私が契約をするの?」


昨日からずっと気になっていたことを訪ねてみた。

助けた後に契約をするとなれば問題が山ほどある。

まず2匹から聞いたことは契約の後の人体の影響。

契約をすると異種族の力を手に入れるため身体能力が高くなる。

そして1人につき契約可能な数は制限がないが、契約数が多すぎると寿命が縮むということ。

身体能力が上がるのはまぁ良いとして寿命が縮むのはかなりの問題である。


「それなら心配は無用です。竜華が契約を望み、向こうも契約を望めば契約は可能です。それが無理な場合は異界に族種を送り込めば良いのです。」


「ちなみにこの家の地下室は異界に繋がってるんだぜ。」


へぇ~あそこって異界に繋がってるんだ・・・だから呪われてるのかな・・・?

つまり契約をしたくないときは異界に送り込めば良いって事だね。それなら安心だよ・・・。


う~ん学校生活とか普通に送ることができるのかなぁ~




第9話「町の探索」でした


竜の名前がすごく安っぽい名前に・・・

そして部活が忙しくてかなりの間が空いてしまいました。すみません(・ω・;)

今月中にあともう1話更新予定です。

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