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一日の幸せ  作者: RYUNA
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白と黒の竜

第7話「白と黒の竜」


牙に導かれ竜華がたどり着いたのは呪われた地下室。

そしてよみがえる記憶…恐怖が体を覆い尽くす。

「いい?竜華ちゃんにお兄ちゃん。あの地下室にはゼーーーッタイに入っちゃダメよ!呪われちゃうからね!!」


まだ幼稚園のころだった気がする。3才くらいの頃だろうか…

お父さんの看病のためにお母さんが病院に泊まり込みで付き添うことになった。

その時出かける前に私とお兄ちゃんに強く念を押したのだ。

「あの部屋には入ってはいけないよ」と…

入ってはいけないと言われて入らない人なんてたぶん居ないと思う。

当然のごとく私はお兄ちゃんに止められながらも何度も地下室に入ろうとした。

そしてとうとうドアノブに手を掛け開け放った後の記憶が曖昧で…

覚えているのはその後日に兄と高熱で1週間ほど寝込んだことである。

それ以来私は地下室が怖くなり目に入れることは無かった。だけど…


「なんで…地下室なの…?」


今私の目の前の扉は地下室に繋がっている。そうあの呪われた部屋へと…

もう一度手のひらの牙の光を確認してみる…が、間違いなく地下室へと光は伸びている。

靄がかかったように思い出せない記憶…

突如頭の中にあの声が響いてくる。その途端、急に頭が痛くなった。

そして頭の中に何かが流れ込んでくるような感覚になった…思い出す…あの記憶が…


「そうだ…扉を開け放った後私が見たのは…」


鮮明に鮮やかによみがえってくる映像…

あの時私が見たのは闇の中から聞こえる悲痛な嘆きや叫び…そして…


じっとこちらを見つめてくる大きな1つの目玉


次の瞬間私の体中に例えようのない寒気が襲ってきた。

ガクガクと震える足が体重を支えきれずに私は床に座り込んでしまった。

そして地下室の扉を見上げる…気のせいか扉はすごく暗く見えた。

入れない…そう思った。入ればまた呪われるかもしれない。殺されるかもしれない…

あまりの怖さに涙が溢れてくる。するとまた頭の中に声が響いてきた。

必死に腕で体を抱きしめ縮こまる私に声が響いてくる。


「怖ガラナイデ…大丈夫…コレヲシッカリ握リシメテイレバ…大丈夫…」


その途端、体中が温かい何かに包まれた。

牙から発せられている光が強くなる。まるで私を守ろうとするかのように光は大きくなっていく。

そして声は私を安心させようとするかのようにくり返し響いてくる。

張りつめていた緊張が解けた。

確かめたいと思った。この地下室の真実を…牙の正体を…温もりの存在を…


服で涙をぬぐって地下室の前に立ち直す。

牙をしっかりと握りしめ私は扉のドアノブに手を掛けた…


ガチャリ…


とうとう扉を開けてしまった。だけど恐怖感はない。私の心は至って落ち着いていた。

光のおかげで昔と違い中の様子が見える。

あの時聞いた嘆きや叫びは全く聞こえなかった。あの目玉もいない。

そしてさらに牙から強い1本の光がまっすぐ伸びる。

呼ばれている…そう感じた。

私は1段ずつ階段を下りていった。少しして階段を下りきった。

後ろを見上げてみると入り口からの明かりが確認できる。そんなに遠くはないようだ。

もう一度前に向き直り私はまっすぐ光の差す方へ歩き出す。

そして1つの巨大な祠の前にたどり着いた。光を当てて調べてみる。


「…竜の絵が描かれてる…」


竜の絵…ということは先祖の物だろうか…

もう地下室は行き止まりのようだし、この祠に何があるのかな…

そのままいろいろなところに光を当てて調べていると気になる絵を見つけた。

人間のような物の両横に黒と白の竜が存在している絵だった。


「この竜って…もしかして夢に出てきたヤツかも…」


夢の中で空を駆け回っていた白と黒の細長い物体。

もしかすると…

私は思いきって実行することにした。口から静かに言葉を紡ぎ出す。


「目覚めよ我が力継ぎし者よ。汝、竜の主となりて此処に現る…」


声が私に言っていた言葉を詠唱してみた。

すると目の前の祠が突然光り出した。

あまりの眩しさに私は腕で顔を覆い隠して目を瞑った。


どれだけたっただろう…まだ光は収まってないが私は目を開いた。

いきなり大量の光を見たせいか初めはあまり見えなかった…


「お目覚めでございますか?竜華殿りゅうかどの…」


上から掛けられた声に見上げてみるとそこに居たのは


「あなたたち…」


綺麗な白と黒の大きな竜だった…






第7話「白と黒の竜」でした。


なんかもうグダグダだ…

とりあえずメインとなる2匹の竜が登場しました。

しばらくはこの1人と2匹が物語の柱となります。


優くんと貴ちゃんはどうしようか…


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