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一日の幸せ  作者: RYUNA
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切れぬ絆

ぶっ倒れた竜華ちゃんを赤亜君が待っているお話。

----------夢を見た---------


私がいたのはとても幻想的な世界だった。



空には数え切れない程のお星様が瞬いて



真正面には口が開いてしまうほどの大きなお月様。



足元に目を移すとそこには私の顔が映っていた。



そこでいま自分は大きな泉の上に立っているのだと気づいた。



胸が詰まるような綺麗な世界に正直私は酔っていた。



目を閉じて、周りに漂う冷たい空気を感じて。



ふと誰かの気配を感じた。日々の行いからか、こういう事に敏感になってしまっているみたい。



目を開けると前からゆっくりと深くフードを被った男の人が近づいてきていた。



そして私の前に立ち止まった。



「あなた・・・だれ?」



その人は何も答えなかった。









「んーーー・・・ぇ?」


目を開けると白い天井が映った。

さっきまであんな幻想的な世界にいたというのに。


「あ・・・あれ夢かぁ・・・」


ぼんやりとした頭の中で記憶を掘り起こす。

まぁ普通に考えればあれはどうみても夢だよね。

でもあまりにも異界に雰囲気が似ていたからつい勘違いをしてしまったみたいだ。

でも、もしかしたら異界にも似たような場所があったりするのかな。

今度また族種のみんなに聞いてまわるのもいいだろう。


・・・あ、そういえばここ何処だろう・・・


ぐるりと辺りを見回してみるといくつかの観葉植物にたくさん並べてある医学の本。

ここは保健室かなにかだろう。

でもなんで私がこんなとこにいるのかな・・・



「おぉ!竜華!目が覚めたか。」


「わっ!あ、クロエ。」


声がした方に振り向くとちっちゃいクロエが私に飛びついてきた。

ビックリしながらも受け止めるとゴロゴロいいながら尻尾を振っている。

心配してくれてありがとうと言いながら撫でてやると肩まで登ってきて頬をすりつけてきた。

ちょっとくすぐったいのでクロエを手で止めながら尋ねた。


「ねぇ、なんで私ここにいるの?ここ保健室だよね?」


「覚えてないのか?お前最後のリレーでゴールした途端に倒れたんだよ。」


「・・・・・・・・・・あー、そうだった。」


だから私、保健室で寝てたのか・・・

窓の外を見てみるともう夕陽が沈みかけようとしている。

プログラムでは体育祭終了は15:00だったからもう既に終わっているだろう。

案の定、壁に掛けてある時計の針はもうすぐ17:00をさそうとしていた。


「そういえばハクは?一緒じゃないの?」


「ハクなら外で赤亜と一緒だぜ。」


「ええ!!五十嵐君と?」


急いでベッドから飛び起きた。

その拍子に肩に乗っていたクロエがポスンと音を立ててベッドに落ちた。

運良くベッドのすぐ横に私の鞄があったので中から制服を取り出して着替える。

ベッドでクロエが「あんなヤツ待たしときゃいいのによー。」とぼやいていた。

待たすも何も既に体育祭が終わって1時間以上経ってるから既に1時間も待たせていることになる。

とりあえず着替えが終わったので鞄を肩にかけてクロエを抱えて保健室を後にした。

保健室の先生には後日ちゃんとお礼を言うことにしよう。







体育祭が終わってもうすぐ2時間が経とうとしていた。

別に特別な用はないが俺は倒れて保健室に連れて行かれた大浦を外の公園で待っていた。

他の学校の体育祭なんて初めて見たが、アンカーの走る距離をくじびきで決めるとは思わなかった。

結果、アンカーの2人がゴールを越えた途端に倒れるということに。

大浦ともう1人は確か赤いハチマキを巻いていた男子だったような気がする。

男の方は30分くらい前に保健室から出てくるのを見たが、大浦の方は一向に出てくる気配がない。

俺の肩に乗っている白い小さい龍もずっと保健室を凝視していた。


「そんなにアイツが心配か?」


「私の主人マスターですからね。でも心配なのはあなたも同じでしょう。」


「・・・まぁな。」


そう言って俺も保健室の方を見る。

一向に出てくる気配はない。

まぁこんな炎天下の中トラック2周を全速力で走れば倒れたりもするだろう。

ましてや大浦は女の子なのだ。

見た感じアイツは細っこいから体力も少なそうだし運動は苦手と以前本人も言っていたような気がする。

肩の上にいる龍、ハクをチラリと見た。

すると俺の視線に気づいたのか顔をこちらに向けて瞳をふと細めた。


ドタン!ガチャ!


いきなりドアの開く音がして前を見ると保健室の前に桃色の髪を揺らして呼吸を整えている大浦の姿があった。

周りを見渡して俺に気づくと小走りで駆け寄ってくる。


「五十嵐君・・・別に私のこと待たなくてもよかったのに・・・」


俺の目の前で止まってゼェゼェ言いながら大浦が口を開いた。

まだ完全に体調が回復していないようだ。

彼女の制服を見ると急いで着替えたのかカッターシャツだけだった。

髪の毛も寝ぐせが目立つ。


「お前いま狙われてるかもしれないから1人にするわけにもいかないだろ。」


「でも、五十嵐君に迷惑なんじゃ・・・」


「俺はそうは思わない。ほら、髪の毛はねてるぞ。」


そう言って彼女の髪の毛を両手で整えてやる。

以前にも1回触ったことがあるが、この手触り・・・クセになりそうだ。

ほのかにシャンプーのような良い香りもする。

ふと彼女の手元に視線をやるとクロエが俺をにらんでいた。

どうも俺はクロエから嫌われているようで、大浦というときは大体にらんでくる。

よほど彼女のことが好きなんだろう。


「終わったぞ・・・」


「あ、ありがとう。」


特に目立つ跳ねだけを整えて髪の毛から手を離す。

フワリと微笑みながら彼女はお礼を言った。


なぜだか儚く見えた。


「近くまで送っていく。」


「なんかごめんね。待たせたうえに送ってもらっちゃって・・・」


「気にするな。」


彼女の頭をポンポンと撫でてやると少し嬉しそうに笑った。

こういうところは本当に子供っぽいヤツだ。

そして2人で並んで公園を後にした。





「へぇーーあの2人ほんと仲良いんだなー」


「ホントホント、端から見たら完全に双子に見えちゃうわね。」


「え?アイツらって双子じゃないのか?俺ぁてっきり双子かと・・・」


「何言ってんのよアクセル。あの子たち血なんか繋がってないわよ?」


「髪の色に瞳の色、さらには年まで同じときたら誰だって勘違いしちまうよ・・・」


「まぁ・・・私もついこの間まで勘違いしてたんだけどね・・・」


「なんだよレイア。お前も俺と同じクチかよ。」


「あ、完全にみえなくなっちゃった。」


「ま、今日は女帝もつらそうだし今日はゆっくり休んで貰うか。」


「そうね。さぁ、私たちも帰りましょ。」








部活がしんどいっ!!


定期演奏会までもう時間がない・・・!


どうする私・・・(´;ω;`)


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