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一日の幸せ  作者: RYUNA
18/19

繋ぐ心

ついにリレー開幕!

でたらめリレーの栄光をつかむのは誰!?


体育祭の昼休みに聞いたこと。

それが私の頭の中でヘビロテして離れなかった。



「それって国が族種のことを知ってるって・・・こと・・・?」


「あぁ、それで間違っては無いと思う。」



妙に視線をずらしながら五十嵐君が答えた。

眉間には少ししわが寄っている。


とりあえず話した内容を整理してみると


私の事を監視ストーカーまがいの事をしていたのは国の精鋭部隊。

その精鋭部隊はこの世界で少数しかしらないトップシークレット。

しかも不思議な力が使えるひとばかりが集まっている。


ということは・・・


契約者が集まっている!?



こんな感じにまとまったのだ。

もちろん私だって異界の守護者のれっきとした一員なのだから気になって仕方ないことこの上ないんだけど、ジェイクや五十嵐君から今は体育祭に専念しろと言われてしぶしぶ戻ってきた。

自分の荷物が置いてあるベンチにドサリと座る。


「でも、気になる・・・」


そう呟きながら競技場の方を見ると先生が学年ごとに別れてリレーをしている所だった。

生徒達はそれぞれ自分の学年のチームへ声を張り上げて応援している。

私もその輪の中に加わりたかったけど、今は何となくその気になれなかった。

とりあえず今日は体育祭終わったら異界に行って情報を集めよう。

そう予定の計画を頭の中でしていると隣に誰かが座ってきた。



「口あいてるよ。」


「わっ、優君か。」



座って来たのは優君でした。

ちなみに私は普通に話しかけられたりしてもビックリしてしまう。

まぁ今のはギリギリセーフといったところかな?

よく見ると彼の顔は少し青白くなっている。



「もしかして追っかけられてた?」


「ご名答。もういい加減にしてほしいよ・・・」


「なんか急に目立ったね。」



そういって私はニィと笑った。

私が予想してた通り彼は「うっ・・・」と顔をしかめてみせる。



「俺はこんな中学ライフは予定してなかったんだけどな・・・」


「仕方ないよ。他の学校からもたくさん来てるんだし。」



頭を抱えながら俯く優君に出来るだけもっともな理由を言う。

そしたら「小学校に戻りたい」なんて言い出してしまった。




「そういや次はリレーだな。」


「はっ!!・・・すっかり忘れてた・・・」



この後は各学年の対抗リレー。

丁度先生のリレーも終わったみたい。

1年生がいそいそと準備を始めてる時に放送が入った。



「これから各学年でリレーを始めるのですが、その前にくじを引きたいと思います。」



テノールボイスで話しながら競技場の真ん中に立っているのは教頭先生だった。

この学校で一番イケメンと評判で、女子生徒からの人気が熱いらしい。

ただ礼儀は正しいが少し無愛想なんだとか。



「くじにはそれぞれ1から3までの番号が振られていて、出た番号の分アンカーにはトラックを走ってもらいます。」


「えぇっ!?」



私は思わず大きな声を上げてしまった。

ひたすら困惑する私なんかそっちのけで教頭先生は「じゃあくじ引きます。」と進めてしまっている。



「・・・・・・2ですね。それでは1年のアンカーの皆さん頑張ってください。」



あっさりと挨拶をしてスタスタと去っていく教頭先生。

続いて放送委員会のアナウンスが入り着々と準備が進められていく。

え?え?という感じで固まってる1年生。

とりあえず先生に誘導してもらいリレーが始まった。



うおあああああああああああああああああああああああ



という感じで盛り上がってる競技場。

1年生のリレーもいよいよ大詰めとなっていた。



「はぁ、はぁ、山崎頼む!」


「よしっ!任せろ!」



クラスの男子から貴ちゃんにバトンが回される。

するとすごい勢いで貴ちゃんは1人1人と追い越していく。

その度に観戦している上級生からは歓声が上げられている。



「花さん!いっちょやってくれ!」


「その、呼び方止めない!?」



そう言ってバトンは花音ちゃんにパスされる。

現時点でC組は6クラス中3番目まで上がってきて他のクラスにも同様が見られた。

今、私の隣にはアンカーがずらりと並んでいてその男子達も少し冷や汗をかいていた。



「はぁ、お願いね!」


「言われなくとも!」



続いて優君にバトンがパスされる。

すると後ろから「うおおお」という声が聞こえた。

振り返ってみると他のクラスの男子がこちらに駆け寄ってくる。赤のハチマキだからA組だ。その後ろはピンクだからF組かな。

よく見ると1番2番はまだしも2番から3番の間には大きな差が開いていた。

これはまずいかもと思い、隣のA組のアンカーを見ると目が合った。



「ふっ・・・」


「なっ・・・!」



こ、この人、いま私のこと見て鼻で笑った!絶対笑った!!

ようはバカにされた。

その人はバトンを貰ってすごい速さで駆けていった。

なんだかちょっぴり苛ついた。しかも笑い方がお兄ちゃんそっくりだから尚のこと苛ついた。絶対に抜くと心に決めて後ろを振り向く。

さすが優君はF組との距離をかなり縮めて来ていた。



「頼むよアンカー!」


「うん!頑張るよ!」



少し会話を交わし、ほぼF組と同時にバトンパスをして私は走り出した。

しかしすぐにF組の男子は追い抜いて私はひたすらにA組の子においつこうとした。

今まで全力で走ったことってあまりなかったからすごく気持ちいい。

走るときに吹き抜ける風がとても心地よかった。

あと、もう少し!抜ける!



「げっ!?」


「あっ・・・!」



A組の子は頭だけで振り向いて私を確認した途端、更にスピードを上げて逃げるように走り出した。


負けるもんか!!


すでにリレーはラスト1周に入り、私とA組の子との勝負となっていた。

とうとう私達は横に並んだが少しだけ私の方が追い抜く。

すると今度はA組の子が私を少しだけ追い抜く。

そんなくり返しの中、ゴールが目前に迫っていく。



パーーン!!



ゴールラインに立っていた先生のピストルが鳴り響く。

これほどまでにないほど全力で走ったからか汗が止まらないし、苦しい。

とりあえず前を見ると誰もいなかった。

ハッとなって後ろを振り向くとA組の子が苦しそうに呼吸を繰り返している。


で、結局どっちが勝ったんだろう・・・と思っていると



うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!



とたくさんの歓声が上がった。

え?と呆然とする私。ていうか何か意識が朦朧としてきた・・・


あー眠いなぁ・・・ちょっと寝てもいいかなー・・・


そこで意識はとぎれた。























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