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一日の幸せ  作者: RYUNA
16/19

体育祭に向けて!

今回は族種関連無し。


竜華の学校の様子をお送りするよ。

ただいま聖籠中学校では2週間後の聖籠祭「体育の部」に向けて放課後や体育の時間に生徒達は熱心に練習を続けていた。

体育祭は近所にある陸上競技場を借りて毎年5月の末か6月の始めに行われており、他の学校とは一味も二味も違う聖籠中ならではのプログラム構成が売りである。

たとえば、各学年ごとの競技が毎年「玉入れ」や「長縄跳び」や「ダンス」「大玉ころがし」だったりと小学校低学年並みの内容だったり、お昼の休憩時間には各学年の教師達が校長のきまぐれで強制的にリレーをさせられるなど。

またある年にはお昼過ぎに天候が悪くなって雨が少し降ってきたのでリレーをするときにバトンではなく傘を使って行ったという事もあったという。

正直危ないとも思うが、その時はパラパラ程度だったので校長が提案し、わざわざ教頭に傘を取りに行かせたそうな。

そんなドタバタな体育祭を今年も盛り上げるべく、教師、生徒、一丸となって練習、準備に取りかかっていた。



「よーし、今日は五時間目のリレーの順番を決めるために50メートル走の時間タイムを測るからな」


今はそろそろお腹も空いて来るであろう4時間目。

1年C組の体育の授業が始まっていた。今日は50メートル走の時間を測る日だ。

実際言うと1ヶ月ほど前の体力テストで50メートル走の時間は測っているのだが先生曰く

「もしかすると記録が上がってるかもしれないだろ?一番最近の記録を元に順番を決める方がきっとうまくいく」

ということだそうで。

ムダに広い運動場の鉄棒がある隅っこで測定が行われようとしていた。

ちなみに1年C組以外のクラスや学年はいない。ちょっともったいない気もする。


「はぁ~私・・・走るのヤだなぁ~」


「まぁまぁ・・・そんなに緊張しなくてもいいと思うよ。」


そう呟いたのは桃色の髪で金の瞳を持つ竜華。

隣には一緒に測定をする1つ前の席の天川花音あまがわかのんが彼女の肩をポンポンと叩く。

前を見るとすでにクラスの男子が先に測定をしており、出席番号順に4人ずつ先生の合図と同時に駆けだしていた。

たまにフライングして先生に止められる光景もしばしば。


「それに前の測定だって竜華ちゃんそんなに悪くなかったじゃん。」


「うーん・・・ホントに?」


「うんうん。」


「でも・・・記録落ちてたらイヤだな・・・」


「一生懸命走れば記録落ちてても先生怒らないよきっと。」


そう言ってニッコリ笑う花音を見て竜華も気持ちが軽くなった。

そうだ、一生懸命走ればいいんだ。

測定を続けている男子を見て、精一杯走るぞと胸に気合を入れた。


だがそれが逆に竜華を困らせる事になるとは・・・


巡り巡って女子の番。

花音と共に並びながら目線だけで頑張ろうと言葉を交わしてゴールラインを見つめる。


「よーい!!」


先生の声が高らかに響き、パン!というピストルの合図と共に女子4人が駆けだしていく。

1人がゴールラインを超えた。


竜華だった。


そしてもう少ししたところで花音がラインを超え、他の2人もラインを超えた。

ゴールラインでストップウォッチを片手に測定していた女子担当の先生は目を丸くして竜華に言った。


「速いわねぇ大浦さん!8秒切ってるわよ。」


「え・・?」


息を荒くしながら訝しげに返事をすると先生が測定したばかりの表を見せてきた。

前の記録は9秒42。今回の記録は7秒65。約2秒の差である。

これには竜華本人もビックリし、駆け寄ってきた花音も「すっごーい」と手を叩く。

鉄棒の方で見ていた他の生徒達も「うおぉぉ~~!」と盛り上がっていた。

「えっ・・・え?」と竜華は慌てる。


「こりゃ、C組には期待大だな。」


スタートラインで合図をしていた先生がおもしろそうに呟いた。



時は流れて5時間目。

黒板にはリレーの順番が書かれており、後は最初と最後を残すのみとなった。

C組は速い人を最初と最後に置く作戦で行くことになり、とりあえず真ん中の部分を先に埋めることにした。

開始から20分。真ん中もいい感じに埋まってきたので最初の方をまず決めることになった。

そしてものの5分も経たないうちにあっさりとメンバーはきまった。

残すは最後の方の順番。

残っているのは優輝と貴之、花音そして竜華。

このクラスで足の速い人BEST4の人物で皆からの期待も大きい。

4人は教卓の側に呼ばれた。


「じゃあ最後の順番を決めたいと思います。4人とも意見はある?」


担任の三神先生が4人に訪ねる。

すると優輝が口を開いた。


「やっぱアンカーって大事だと俺は思います。」


「確かに、アンカーは責任重いよね。」


優輝の意見に花音が賛同する。

ましてや聖籠中の体育祭だ。アンカーに何かペナルティが与えられるかもしれない。


「俺、廊下で聞いたんだけど・・・」


貴之が口を開く。


「他のクラスはどこも陸上部をアンカーにしてるらしい。まだ分かんないけど。」


そう言うと三神先生も「うーん」と頭をひねる。

ちなみにC組には陸上部員がいない。運動部ならどこでもトレーニングはしてるだろうがC組は他のクラストは違って運動部が極端に少なく文化系や帰宅部が多い。

きっと他のクラスからは「C組とか文化系ばかりじゃん(笑)」なんてバカにでもされてるだろう。


「じゃあそれを上手く利用しましょう。」


「どうするんですか?」


「相手を油断させるのよ。」


そう言って三神先生はウインクした。

先生の策はこうだ。

アンカーが陸上部員というならばきっと男子ばかり。

ならばこっちは女子にすればいい。とのこと。

なんだか適当にも見える策だがみんな三神先生を信じてこの策に乗った。結果


・貴之

・花音

・優輝

・竜華


という順番になった。

その日彼女は半泣きになりながら家に帰ったという。



「あ~あ、そりゃ契約の効果が仇になったな。」


「まぁ、仕方がないですね。」


竜華は家に帰って双竜に今日のことを話した。

彼女がいきなり足が速くなった原因はズバリ契約の効果。身体能力の上昇である。


「でも前に測定したときも契約の後だったけど今までと普通だったよ?」


「お前が本気じゃ無かったからだろ?」


「・・・」


「それにあの時はまだ契約しただけ、でしたからね。」


クロエの言葉に傷ついたのか竜華が黙るとハクが優しくフォローしてくれた。

竜華が契約後頻繁に力を使い始めたのは2~3週間ほど前。

確かに体力テストも終わっている時期だ。


「う~大丈夫かな~」


「何いってんだ!お前なら絶対1位取れるぜ。頑張れよ。」


「我々も応援していますよ。竜華殿。」


2匹が膝の上に飛び乗りながら笑顔で言ってくれた。

そんな2匹を抱きしめながら竜華も呟く。「ありがとう」と。



次の日・・・

今日は2時間使って学年競技の練習をすることになった。

まず最初に「玉入れ」。

恐らくほとんどの人が小学校1年生以来やってないであろう競技。

みんな実に楽しそうに玉を放り投げていた。

次は「学年リレー」

休憩の間に教師達がせっせと石灰でラインを引く。

休憩が終わる頃には運動場が競技場のようになっていた。

ちなみに競技場の方がもっと大きい。


「はーい、リレーの順番に並んでー!それからクラスの委員長はくじをひきに来てねー!」


先生の指示に従ってサッと各クラス4つのポイントに並び、クラス委員長がくじをひく。

ちなみに決めるのは6列ある内のどこから走るかを決める。

結果C組は6列目。ちょっと運が悪かったようだ。

竜華もアンカーの目印として長いハチマキを付ける。


【うぅ・・・他のクラスのアンカーの人達、みんな男子だ・・・。しかも怖そう・・・。】


横目でチラッと見てみるといかにも体育系な男子が気合十分といった感じで並んでいる。

一番端の竜華は少しだけ彼らとは反対方向に寄る。

そしてリレーの練習が始まった。




それから20分ほど。

最後に竜華がゴールラインを超えて練習は終了した。

他のクラスよりもかなり遅めのゴールだった。


「みんな、よくやったわね。どうやら他のクラスはウチのクラスに警戒を無くしたようだわ。」


最後に各クラスで集まった際に三神は上出来とも言える顔でみんなを褒めた。

他のクラスは練習にも手は抜けないのかどこも本気を出していたが、C組だけは本気を出していなかった。

だがそれは三神先生とみんなで決めた作戦の内の1つ。

本気の本気は体育祭本番でしか出さないということだ。

なのでC組は全員本気を出していない。あからさまにするとバレるかもしれないので少々手を抜く程度に走っていた。


「最後にゴールするの恥ずかしかった・・・」


ハチマキを取りながら竜華は少し顔を赤くして呟いた。

そんな竜華を見て優輝と貴之、花音が苦笑いをしていた。



さぁ、体育祭まであともう少し!















第16話「体育祭に向けて!」


竜華ちゃんマジどんまいですね(笑)せっかく頑張ったのにね。

それと三神先生が超やる気満々だなぁと書いていて思いました。

次は体育祭当日のお話をお送りする予定です。

最初にあった「傘を使ってのリレー」ですが実際にそんなことする体育祭なんてありませんよね(・ω・;)

書いていて自分の発想終わってると思いました。

あったら逆に怖いわwww


ちなみに聖籠中の校長は教頭をパシってます。


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