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美しい人達

翌朝、目が覚めるとディオが顔を覗き込んでいてクラウスは少し驚いた

「ど、どうしたの?」

「ご、ごめんなさい…クラウスさんが隣にいる幸せを噛み締めていました…」

起こすつもりはなかったんですと

困ったような顔でいうディオにクラウスはふはっ!と笑い声をあげる

「君ってば可愛いこと言ってくれるよね」

頬を赤く染め、離れていこうとする彼を捕まえ

クラウスは優しく口付けをした

今日はスケイルメイトの建国祭である

昨日は上空から見ただけの街は

お祭りの為に飾り付けられていて出店も沢山あった

「ディアナ様のおかげで同胞の人間へ対する感情はかなり良いものになりました

中にはまだ怖がる者も居ますが

襲われたりはしませんから安心して楽しんでいってください」

そう言いながらノーブルはメンイストリートまで連れて来てくれた

当然ここはリグマンの国なので、周りにはリグマンしか居らず

彼らは物珍しい人間であるクラウスやエドアルドを遠巻きにジロジロと見ている

「わぁ…すごい視線、穴空きそう」

沢山の爬虫類の目に晒されて、クラウスはうなじから背中にかけてがゾワゾワしていた

「俺がネフロイトに住み始めたばかりの頃みたいです」

「ははは、まるでスーパースターだ」

そんな3人を見ながら、ノーブルはニコニコと微笑む

「正午には街の中央の広場でメインイベントが開催される

良かったら参加していって下さい」

建国祭のメインイベントは“鱗合わせ”というイベントで

広場に撒かれた数万枚の鱗の中から、パートナーと同じものを探したり

独り身の者は同じ鱗を持っている人と仲良くなるイベントなのだという

「へえ、鱗を探すって面白いね」

「これが案外難しい、形と色がピッタリと合う物をパートナー同士で見つけられれば

2人の関係は一生安泰だと言われるくらいには」

「なるほど、だからピッタリの鱗を持っている相手がいれば運命の人ですか」

エドアルドが言うと、そうだとノーブルは頷きちらりとクラウスを見た

「ん?どうしました?」

「いや、何でもない

さて、私は少し仕事があるのでここで一度失礼する」

ノーブルは深く頭を下げ離れて行った

3人はどうしようかと思っていた居たところに

プルーデンとディアナ、そしてシェイドとリグマンの子供がやって来た

「おはようございます

領主様、ディオ、エドアルドさん

昨日は顔を出さなくて申し訳ありません」

「やあプルーデン、おはよう

元気そうで何よりだ」

プルーデンに続いて、ディアナ達とも挨拶を交わしその時に彼女が手を繋いでいる

リグマンの子供を見てクラウスは眉を顰めた

「その子は…?」

当然質問しないわけにもいかず、クラウスが問うとディアナは悪戯っぽく笑い

私と夫の子供よ?などと言ってのけた

「!?」

クラウスが目を白黒させるのを見て

シェイドの方が慌てて訳を説明した

「この子は先のニゲラで生みの親を失った孤児でして…!

決して私がディアナに産ませた訳ではありません!

そもそも、リグマンと人では子は成せません!」

「だ、だよね!?」

あははとディアナは笑いクラウスはムッと顔を顰めた

「クスクス、お父様のその顔懐かしい

血の繋がりは無くてもこの子、エメは私達夫婦の子供ですよ」

ディアナは養子として迎えたのだといい

お爺ちゃんですよ、と子供にクラウスを紹介した

「おじいちゃん…ぼくのおじいちゃん」

「えぇ…」

子供には罪はない

困惑しながら、クラウスは引き攣った笑顔で子供によろしくと声を掛けた


「ああ、そうだ、領主様少し宜しいですか?」

プルーデンはクラウスだけ連れてその場から離れる

「どうしたの?」

「すみません、ノーブルの事なのですが

彼にはちょっとした悪癖がありまして…」

ノーブルは番を持たない独身のリグマンなのだが

その理由が“番いのいる相手にしか興味を示さない”からなのだという

「ディオとは番になりましたよね?」

「あ…うん…まあ」

何だか少し恥ずかしくて言い淀む

プルーデンはクラウスの首元を見て、ああと察したような声を出した

「ち…まって!まだしてない!

あ、いや彼の首を噛んだけど!」

「?」

プルーデンが目を丸くして首を傾げるので

自分がした言い訳が無性に恥ずかしくなり

クラウスはそのままの勢いで要らないことまで話してしまう

「リグマンって2つあるんだよね!?

彼のを2つも受け入れたらボク出血で死ぬんじゃないかなぁ!?」


プルーデンは一瞬の間をおいて大爆笑した

「女性の総排泄腔も1つですよ!」

プルーデンは笑いながらも、クラウスにリグマンの事情を話す

「ベースで多少は異なりますが、蛇もトカゲも2つあるからといって

使う時は片方しか使いませんよ

なので、領主様は安心してディオと愛し合ってください」

「んんっ…そうなの?

変なこと聞いてごめん、君くらいにしか聞けなくて…ってあれ?何の話だった?」

顔を赤くして視線を泳がせるクラウスに、こんな顔もするのかとプルーデンはクスクス笑う

「とにかく、ノーブルは貴方に興味がありそうなので彼に優しくしないで下さいね」

その頃、ディアナ達と一緒に居たディオはおずおずと彼女に声をかけた

「あの…ご結婚おめでとうございます」

一度振った相手だが、立場としてはある意味自分の娘にもなる彼女と

何とか仲良く出来ないかと考えたのだ

「ありがとう」

ディアナはニコッと微笑む

その様子を見ていたシェイドが少しディアナに近付いてふーっと長く鼻から息を吐いたので

ディオはビックリして数歩後ろに下がる

「シェイド大丈夫よ

確かに昔、彼に私は求婚しましたけど

ハッキリと振られましたもの

愛してるのは貴方だけよ」

「お、お嬢様…お、怒ってますか…?」

シェイドがギロリと鋭い目でディオを見下ろしたので

エドアルドは仲裁に入ろうかと身構えた

「それで、貴方の恋はどうなの?

私よりも美しい人がいるんでしょう?」

「ディアナ!お前よりも美人がいるわけがない!!」

シェイドの黒い鱗の間が赤く発光する

このやり取りに、ディオのいい人を知っているエドアルドは唇をきゅっと引き結んで耐える

「…ディオの方は上手くいきそう?

私に恥をかかせたのだから、きっと上手くいくのでしょう?」

「あっ…あわっ…あぁっ…」

ディアナは完全に根に持っているし

シェイドには睨まれるしで、ディオはもうパンク寸前である

「お嬢様…そのくらいで…」

見兼ねたエドアルドが間に割り行った時

プルーデンとクラウスが戻ってきてその異様な雰囲気に気がつく

「え?なに?何があったの?」

「旦那様…かくかくしかじかで!!」

状況を簡潔に伝えてられ、涙目のディオを見たクラウスは腕組みをして

うーんと暫く唸った後に何か諦めたように手を上げ高らかに宣言した

「ごめん、ディアナ!

ディオのいい人はボクなの!」

「クラウスさん!?」

「だっ旦那様!?言ちゃうんですか!?」


予期せぬ言葉にディアナはぽかんと惚けた顔をしたが状況が飲み込めると

クラウスにつかつかと近付き、その頬に平手打ちした

「エド!貴方も知ってて私のこと内心笑っていたんでしょう!?」

「そそそんな!違います!

それにお二人の関係は本当にごく最近の事でして…!!」

エドアルドの弁明を聞かされて、少し頭の冷えたディアナは、はーっと深い溜息を吐いてシェイドの隣へ戻った


「…私の父なのですから、美しくはないとはいいません…

ディオ、改めて言わせてもらうけど

私はもうシェイドにしか興味はないから安心して

それに、貴方に結婚を申し込んだのは

他の貴族との結婚を避けるための事だったし…」

「は、はい…」

「お父様、お父様は自分のことを棚に上げてよくも昨日は色々と…」

どうやら怒りの矛先はクラウスへと移ったようだ

「それは、君が大事な娘だからだ!

父親として相手の男性のことは気になるでしょう!?」

「私お父様の所有物じゃない!1人の人間なの!私の事は私が決める!

お父様だって…!待って2人は恋人よね?まさか番なの?」

「あぁっと…ディオはボクの番です

ごめんなさい」


結局、ディアナを怒らせたクラウスは両頬に平手打ちをくらい

彼女はシェイドと子供のエメを連れて帰ってしまった

「ご、ごめんなさい…俺のせいで…」

「いや、大丈夫、痛いけど」

「ディオさん、悪いのは旦那様なので大丈夫ですよ」

人間は大変だなと、プルーデンは手帳にしたためた

「それで、みなさんこれからお祭りを回るのでしょう?

オススメの露店や屋台を紹介しましょうか」

気を取り直してというプルーデンに、スケイルメイトを案内してもらうことになった

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