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共闘

ワピチ領、クオブリカの北に位置する森林の中に魔素の集まる鍾乳洞がある

今日はそんな場所に住み着いた魔女の討伐に

ヴァリーを加えた新パーティーで挑む

「何だここ、魔物が多いな」

ラビッシュは洞窟の中、襲いかかってくる大蝙蝠達を切り伏せながらぼやく

「えーそう?シピは楽しいからいいよ」

襲いかかるそれらを、シャボン玉を叩き割るような感覚で

叩き落とすシピはキャハッと笑い声をあげた

「多いの?」

ボウガンで後方から援護射撃をくらわせていたヴァリーはディオに聞く

「はい、ワピチは周りを険しい山に囲まれてるからか

魔物の数が他の領地に比べて格段に少ないです」

「これが普通ではないのね」

魔女は住処を魔素が多い場所に選ぶ

魔素が多い場所には魔物も多いものだが

魔女が住み着くとその数は減る傾向にある

なので、実質的にディオ達が討伐に訪れる時に魔物が邪魔になるという事は殆どないのが普通なのである

「まるでダンジョンみたいだ…」

それを聞くと、ヴァリーは特殊な矢をボウガンにセットして

洞窟の前方に向けて放った

それは非常に眩い光を発しながら洞窟の奥深くへと飛んでいき辺りの大蝙蝠を誘引して見えなくなった

「ちょっと!急に眩しいじゃん!」

急な明かりに目が眩んだシピが叫ぶ

そもそも夜目の効く者しかいないので、明かり明かりは持たずに進んでいた

ラビッシュも目がっ!と手で目を押さえ

ディオも目の奥がチカチカしていた

「ごめん、ただこれでハッキリした

貴方のいうように、ここはダンジョンだ

この洞窟は事前情報で手付かずの鍾乳洞と聞いていたね?

なのに、この長く続く通路には整合制が無い」

光の矢が奥に進む時に見えた洞窟の壁に煉瓦や苔むした石壁が混ざっていたとヴァリーはいう

「魔女はダンジョンに住むものなの?」

「いえ…今まで何十と狩ってきたけどそういうのは…見た事ないです」

「私達がたまたま、間違ってダンジョンに進んでしまった

或いは、魔女の罠かどっちかな」

ヴァリーがそう呟くと、シピが耳をピンと立て急に元来た道を全速力で戻り始めた

「あっ!おい!待てよ!」

それをラビッシュは追いかけ、2人も後に続く

「…あっ!」

ダンジョンの入り口に人影が見えたと思ったら、その入り口が徐々に小さくなって行くのが遠目に見えた

「クソッ…タレぇえ!!」

シピが恐ろしい速度のまま、ドロップキックで飛び出した

しかし、外に出た瞬間

彼女の体は上に突き上げられ宙を舞った

「シピ!!ーチクショウ!」

ラビッシュも飛び出しその人影に接近しナイフで脇腹を狙ったがナイフは叩き落とされた

が、これは囮であり

もう片方の手で隠し持っていた釘を素早く取り出すと、間髪入れずに相手の喉笛を突こうとした

「ーんなっ!うわっ!」

急に手が重くなり、手から落ちるように地面に伏せたラビッシュは

自分の手が大きな岩に飲み込まれているのを見て驚愕した

「詠唱なしの魔法、魔女だ!」

「分かった、援護する」

ダンジョンから飛びだしたディオは、両手に持った片手斧の一本を魔女に向かって投げた

魔女はシピにしたように、地面から岩を生やしそれを弾く

ディオは姿勢を低くし、その岩に一度身を隠し右から急襲をかけた

魔女の指から棘のように伸びる岩が肩に突き刺さり

痛みに顔を歪めるが彼は引かない

魔女が一歩下がった時、その足を縫い付けるようにヴァリーの矢が

魔女の足を捕らえた

魔女の意識がヴァリーに向き、一瞬の隙ができた瞬間にディオがその首を跳ね飛ばす


血を吹き出しながら、魔女の身体が地面に倒れるのを確認して

ディオは地面に転がった頭を拾い、持ってきていた袋に投げ入れた

「ディオ、怪我を見せて…」

ヴァリーがディオの肩に突き刺さったままの岩の棘を抜き

持っていた貝殻入りの軟膏をさっとひと塗りする

「このくらいならこの薬で大丈夫

シピ、貴女も怪我を見せて」

「要らない、ただの打撲だし」

流石は猫だけあり、吹き飛んだ後

着地は綺麗に決めていたシピだが

苦しそうにお腹を押さえていた

「おっおい!俺のも何とかしてくれよ!」

地面にひれ伏したようになっているラビッシュは懇願するが…

「これは…ごめんどうしようも出来ない」

「ラビッシュ、多分時間経過で取れるよ」

「そっそんなぁ!」


こうして、ヴァリーを加えた新しいメンバーでの初魔女狩りは終了した

その後はネフロイトへ戻りいつものように解散

ヴァリーは着いてくるというので

ディオは彼女を伴っていつもの報告と戦利品の売却を終えた

邸宅に戻る途中の道で、不意にヴァリーが

「まあ、美味しそう」

と言うので、そちら見ると花屋があった

ディオは思わず笑ってしまう

「え?…何かおかしなことがあった?」

「いえ、すみません…ふふ…

俺も初めてここを通った時、クラゥ…領主様に同じことを言ったなと思って

このお店のお花は食品じゃないんですよ」

「…!そうなの!?

あんなに美味しそうなのに…」

「そうだ、丁度時間もいい頃だし

お花が食べられるお店に行きませんか?」

ディオはクラウスがしてくれたように

ヴァリーをエディブルフラワーのサラダが食べられる店に連れて行った


辿り着いた“パステラ”というカフェは

オーガニック食品を中心に扱うお洒落なお店で女性人気が高い

「こんな場所に私が入ってもいいの?」

と戸惑うヴァリーだが、既にクラウスと何度もここで食事をしているディオを見て

店員は特に何も言わずに窓際の席へと案内してくれた

花のサラダを2人分注文して、何だか落ち着かない彼女と会話をする

「何かおかしなことは…私、粗相をしてない?

変なことがあったらすぐに教えて」

「大丈夫ですよ」

ディオは、多分クラウスと初めてきた時の自分もこんな風だったのだろうなと

少し恥ずかしくもあり新鮮な気持ちにもなる


「今日の戦闘、色々とありがとうございました」

「いえ、なんて事はない

ああでも…思う所が

私は魔女と戦ったのは初めてだけど

いつもあんな感じなの?」

ヴァリーは、今回の戦いの悪い所を思いつく限り全て話した

「今日勝てたのは、相手が戦いの素人だから」

魔女はあくまで魔力の研究に取り憑かれた

魔法使いや魔族の成れの果てである

レベルが高く魔法攻撃が強力とはいえ、戦闘のノウハウはない

「だけど、もし相手が戦闘に慣れた魔女だったら?

そうだったら私達は全滅していた

特にあの2人は感情に任せて突っ込んでいく

あの戦い方はよくない、せっかく一人一人が高レベルで強くても

こんな戦い方だとお互いに潰しあってしまう

戦略を立てて連携して戦うべきだ、そうすれば不必要に怪我だってしなくて済む

ディオ、それがチームでしょう?」

「作戦とか反省会とか、俺も最初の頃はやろうと思ったんです」

ただ、ラビッシュはそんなの要らないと効く耳を持たず

ミーティアは聞いてくれるが、結局ラビッシュの行動によって

台無しになるのでやめたのだとディオは肩を落とした

「シピはもっと俺の言うことなんて聞きません

無理なんです…色々」

「ああ…そうとは知らずに、ごめんなさい

でも、力を合わせることが出来たら

貴方達はもっと強くなれる、勿体無いな」

「そうですよね…今までミーティアが

滅茶苦茶な俺たちを無理矢理繋いでたので」

「なるほど、私は戦力というより

その繋ぎをしなくてはならないのか

…うん…難しいなフルールは」

多分難しい顔をしているのだろうヴァリーは考えるように顎に手を添えて唸る

「…ミーティアの代わりが出来なくても全然大丈夫です

来てくれたのがヴァリーさんで良かった」

シピのことがあって、話ができない人が来たらと不安で夜も眠れなかった

真面目に考えてくれる人で本当に安心したとディオは笑う

「実は私もフルールや人間と接触するのは初めてで緊張してた

リーダーが貴方で良かった」

「はは、俺たちなんか似てますね

先日初めて会ったとは思えないです」

「私もそう思ってた!同種同族だからかな」

テーブルに運ばれてきた花のサラダをたべながら

2人は時間も忘れて語り尽くした

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