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春の学校エッセイチャレンジ 

文化祭でハボタン売り

作者: 恵京玖

 農業高校だったので、文化祭は結構盛り上がっていた。なぜなら生徒が作った野菜やらジャムなどが安く手に入るからだ。こんなのイベント、近所の主婦は行くしかないだろう。

 文化祭が始まると野菜売り場などにお客さんは殺到していた。午前中からこんな感じなので、午後になる前に売り切れてしまう。

 そんな中、一年生だった私は何をしていたかと言うとハボタン売りだ。


 ハボタンって何? と思う方は近くの公園や駅などの花壇に、キャベツみたいな植物を見たことがあるだろうか。そう、あれである。あれをハボタンと言うのだ。


 だが公園のキャベツこと、ハボタンを買っていく方は少なかった。というか売り場が畑だったので、校舎より遠く客もそこまで行かないのだ。それにかなりの大きさの植物なので、ご家庭で使われているプランターでは場所を大きく取ってしまう。それでも買ってくださる方は、ありがたいことにいた。

 そんな数少ないお客様がやってきたら畑からハボタンを掘り出してお渡しする……だけではない。一輪車にハボタンを乗せて、お客様の車まで持って行くサービスも行っていた。


 無事にお客様の車までハボタンを持って行った帰り道、知り合いの陽キャに「恵京! 乗せてよ」と言われる。陰キャの私は面倒だなと思いつつ、一輪車に乗せて動かす。


 意外と一輪車に乗るのは楽しかったりする。家も農家だったから、乗せてもらったり乗せたりしたものだ。


 きっと楽しんでくれているだろうと思いきや、知り合いの陽キャは「あ、もういい」と恥ずかしそうに言って、降りて行った。文化祭だから知らない人の目に羞恥心を覚えたらしい。陽キャも恥ずかしいって思うんだと気づいた。


 そうして昼が過ぎると客足が減るのと一緒に、クラスメイトがいなくなってきた。この現象は人間の本能と言うべき行動、つまりサボりである。


 サボっていない生徒も客が来ないので、みんなはダラダラと喋っていた。高校生なので、たわいもない話で盛り上がるのだ。

 農業高校の場所は高い建物が無く、空がとても広く見えた。その下でのんびりと畑で友達と喋っていたのは懐かしいなと思う。

 こんな感じで一年の文化祭を終えた。


 さてうちの高校の文化祭では、喫茶店とかお化け屋敷とか普通高校みたいな出し物はしない。クラスでやるとしたら露店で食べ物を売るくらいだ。一度、【二年桃組喫茶】と言うキャバクラみたいな名前の喫茶店をする案を出したが担任に秒で却下された。

 こうして二年生の時、チョコバナナを売る事になった。これに担任は「バナナチョコ? サルでも作れるわ!」と苦言を申していたがクラス全員は無視した。


 担任の言う通りサルでも作れると思っていたバナナチョコだったが、色々と大変だった。バナナチョコなんて祭りの露店でよくある食べ物だから楽勝だろうと考えていたのだが、まず割りばしはバナナにうまく刺さらず、バナナが落ちてしまう。結局、小皿にバナナと入れてチョコレートをかけて出す事になった。

 そしてまたもやサボる奴らも出てきて、現場は混乱した。


 こういった混乱とかも後々考えると青春だなー……って思うわけが無く、サボっていた奴も文化祭の賃金をもらっていたので何だかなーっていう気分だけが残っている。そしてどうやって音もなくサボれるのか聞けば良かったな……と後悔している。






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