No.1 主人公になりたくない
『ナンバー2』
現世の役職で言うところの〈副〉にあたるポジション。創作物なんかで言えば主人公の頼れる相棒、頭脳役──主役にはなれないけれど……主人公不在時なんかには主人公の想いを汲み取り、理解し、進むべき道に導いてくれる存在。
主人公からは無条件の信頼を獲得しており、むしろこっちが真のヒロインじゃね? と思われる事もしばしば(仮に男であろうと)。
俺は昔から主役よりもそんな【ナンバー2】に憧れていた。
みんなが主人公を選ぶ中、必ずナンバー2のキャラを選んでいた俺はさぞかし奇異な眼で見られていた事だろう。主人公の争奪戦となるガキのごっこ遊びではむしろありがたい存在に思われていたかもしれない。
だが、それでも俺は【ナンバー2】を支持し続けていた。青年期になってもそれは変わらず、そして……俺もそんな【ナンバー2】な存在にいつかなりたいと願っていた。
小学生のころのクラス役員決めではいつも2番手であるクラスの『副』会長に率先して立候補した。
テストやかけっこではいつも2番だった──いや、2番でいるように心がけた。学年トップになって目立つのは避けた(今思えば2番でも充分目立ってた)
勿論、2番でいるためのたゆまぬ努力も怠らなかった。
そして……それは大人になった今でも変わっていない。2番ポジでいるための大事な100ヶ条を常に心に持ち続けている。
その甲斐あってか、遂に俺のナンバー2人生を最も輝かせる時が巡ってきた──『異世界転生』だ。いや、異世界転生自体は別にどうでもいい。この物語の本質はそこじゃない。
大事なのは転生した俺が【勇者】である男の【幼なじみ】として産まれ変わったという事実だ。
どういうわけが現世の記憶を有したまま(そこもどうでもいいし、この先あまり関係ないだろう)だとか、【ツウ・バンナー】という冗談みたいな名前の話などは……全て俺のナンバー2人生の始まりの前には些事に過ぎない。
大事なのは幼なじみの【勇者】がテンプレの【魔王討伐】を命じられ、相棒として俺も同行する事になった事実のみなのだ。
これからが憧れた俺のナンバー2人生の本番だ。補佐役として、決して突出しない二番手として──俺は必ず自他共に認められる【NO.2】の王に輝いてみせる。
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「──じゃあ役割を決めようぜ!! ツウ!! お前は使えねーから雑務全部な!!」
勇者の【リオネス・ワン】は魔王討伐への旅立ちの日、城の一室でそう叫んだ。その表情はまるで勇者とは思えない醜悪なものだ。
「………えっ? ゆ……勇者様、それは……」
その発言に待ったをかけるかのように、一旦静寂に包まれた場を切り崩す返答をしたのは【大聖女】とよばれる【ヒロイック・ルミエール・ツリィ】。
此度の勇者神託の儀及び魔王討伐に伴い地方より召集され、勇者パーティーの一員になるよう任命された神官である。
「…………」
その様子を興味なさそうな表情で見つめているのが魔法使いの美少女【フォルル】、そして大柄な体格の戦士である【フアーイブ】。
二人とも指折りの名だたる勇士であり、如何に今回の魔王討伐の旅へ世界諸国が力を注いでいるかが窺える。
「なんだ? 神に選ばれし神託の勇者の俺になにか意見でもあんのか?」
「……………」
「……………」
勇者の言に再び静まりかえる室内、気まずい空間──俺達の初顔合わせと自己紹介を兼ねた邂逅はとてつもなく不穏なものとなってしまった。まるでこれからの旅路の運命を示唆するかのように。
「いや、俺は大丈夫だから気にしないでくれ。こいつの言う通りに雑務は全て俺がやるよ」
「ツウさん……でも、」
「大丈夫さ、慣れてるから。これからよろしくな、みんな」
折角の旅立ちの日をこんなつまらない諍いなどで台無しにするのも忍びない──俺にはそんなことよりも大事な使命があるのだから。仕方ないので場を納めた。
「は、はいっ。こちらこそ宜しくお願い致します」
「うん、よろしく」
「おう、まぁ楽しくやろうぜ! がっははは!」
これから苦楽を共にするであろう同志達は気さくに笑い合う──どうやら、性格的にもいいメンバーが集まったようだ……ナンバー1である勇者を除いて。
そんな中、当の勇者はやはり俺がメンバー達と仲良くしているのが気に入らないのか明らかに苛ついた様子を見せる。
………
………あれ?
なんかどっかで聞いた事あるぞこの展開。
これ………隠された強大な力を秘めた主人公が勇者パーティーから弾かれて異世界を謳歌するやつじゃない?
そんでもって勇者パーティーは崩落して戻ってきてと頼まれてももう遅い的なやつじゃない?
つまりこれ『なろう』的な冒険ファンタジーじゃね?
これ、詰んでね?
こっから俺、どうやって勇者パーティーのNO2になるん?
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