プロローグ
初めまして
これは本に命を吸われた経験がある筆者の実体験を何枚もの分厚いフィルターを通して盛大に美化した物語、つまりはほぼフィクションでございます
頭の中には今も尚続き、言ってみれば海に沈んだり、空を飛んだりと大変波があり書き終わる時が不明であります
完全に自己満足である為、更新は不定期も不定期、文字の打ち間違いに手間取る等しております
ご容赦ください
朝日がのぼりきる前の深い霧の中、川は穏やかに流れ、遠くからバイクの音が風に乗る。光と共に鳥たちは歌い出す。
どこにでもある一日の始まり。
今日も空気は灰色で大人たちの目は疲れ切っていた。いつもの日常。
その中に小さく遊ぶ子供の姿がある。道路に落書きして、石を投げ、花を摘む。皆は知っていた。此処には未来がないことを。そして絶望すら選べないことを。そして知らなかった。この街から出る方法を。
この街は澱んでいる。
誰も気が付かないほどに。
少女は静かに本を閉じた。
宿題の読書感想文をこれから書かなければならない。
本くらい自分で選びたかった。まだまだ読んだ事のない本は幾らでもあるのに。
鉛筆を持つ。
ふと、少女はその鉛筆を眺めた。
──何故。
疑問が少女の頭を一杯にした。
鉛筆以外にも筆やボールペンがある。それにシャーペンも。
それなのに何故学校では鉛筆というルールなのか。
書ければ何でも良いのではないか。
少女は頭を横に振り、作文用紙に字を連ねた。
──これでよし。
ランドセルに仕舞う。時計の針は午後四時を回った所だった。
さして面白くもなかった課題図書。
子供向けの本なんか、どうせファンタジー。子供だましなら偉人の本を読ませなさいよ。
そんな事を思いつつ、まだまだ子供。子供の世界は家と学校、その周辺で確立されていた。小さな小さな心は少しづつ灰色に染まっていく…。
こうして日々は巡る。何事も無かったかの様に。
そこには涙も笑顔もあったはずなのに、記憶の欠片にもならない程に早く過ぎ去っていく。手を伸ばしても遅すぎて、振り返るには幼すぎて、少女はまだこの街で生きていた。
少女は今日も本を読んでいた。
図書準備室の窓際に放置されたままの日焼けした本。
古い匂いが紙から漂う。
装飾の施された赤い表紙を開く。
少女は泣いた。
少女は笑った。
少女の命が今、花開いた瞬間だった──




