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5話 街に行こう♪

 

「そうだレム。俺はこれから護衛を連れて街に行こうと思うんだけど、レムも一緒に行くか?」


 前世の記憶を思い出す前にも1回だけ街には行ったことがあるが、その時はお母様の買い物について行っただけだった為、ちゃんと街を見たことはなかった。そんな私にとって、ソルお兄様のお誘いは外の世界をしっかり見ることができるチャンスだった。これに乗らないわけがない。


「行きたいです!」

 私は即答した。

「…わかった。父上には俺から伝えておくから、レムは準備をしてきな。」

「はい!急いで準備してきますね!」

 私は部屋に戻って、急いでお出掛け用の服に着替えて、ソルお兄様の元へと向かう。



「ソルお兄様、お待たせしました!」

「っ!俺の…俺の天使が可愛いすぎる…(ボソッ」

 ソルお兄様は急に胸を抑えてしゃがみこむ。


「ソルお兄様!!大丈夫ですか?!」

「大丈夫だ。これは俺の問題だから…」

(俺の問題???どういうこと?)


「レム。あの変た…ソルお兄様のことは気にしなくていいのよ。」

 ルーナお姉様は私をギューっと抱きしめながら言った。

「それよりもレム。ソルお兄様と街に出掛けるんでしょ?外は何が起こるかわからなくて危険だから、()()()()ソルお兄様から離れちゃ駄目よ。わかった?」


 ルーナお姉様が優しい声で私に言い聞かせる(さま)は本当に9歳なのだろうか?と疑いたくなるほどだ。


 私が素直に頷いてるのを確認したルーナお姉様は穏やかに微笑み、今度は地面の上でしゃがみこんでいるソルお兄様の方へと体の向きを変える。

「それで?…ソルお兄様はいつまでそこに()してるつもりですか?」


 私と接してるときとは打って変わって、ルーナお姉様の冷たい視線が容赦(ようしゃ)なくソルお兄様に突き刺さる。


 グサッ!という効果音まで聞こえてきたような気がした。


「レムが可愛いくて仕方ないのはわかりますが、しっかりレムを守ってくださいね?」  

「もとからそのつもりだ。…何があってもレムに傷一つつけさせない。」 

「お願いしますね。」


 ルーナお姉様はソルお兄様の元に近づいて、耳打ちをする。

「…私達の天使に危害を加える不届き者がいたら…(ボソッ」

「わかってる。もちろん()()()に…だよな?(ボソッ」

「流石は、ソルお兄様ですわ。よくわかってらっしゃる♪」


 ルーナお兄様とルーナお姉様は互いににっこり笑っているけど、なぜか目が怖いような…気がした_



**

「わぁー、すごーい!」


 街についた私とソルお兄様は早速街に足を踏み入れる。屋台の方からは美味しそうな食べ物の匂いがしたり、広場の方からは楽しそうな音楽が聞こえてきたりと、とても楽しそうな雰囲気だ。


「レム。ルーナとの約束は覚えているか?」

「『絶対にソルお兄様から離れない』ですよね?」

 ソルお兄様はにっこりとした顔で頷いた。

「じゃあ、行こうか。」

「はい!」


 早速、街の中を歩いて行く。野菜や果物が売っていたり、雑貨屋さんや本屋もあって、見ているだけでも結構楽しい。

「今日は特別に父上からお小遣いを貰ったから、欲しいものがあったら言うんだぞ。」

とソルお兄様が言ってくれたので、私はソルお兄様とおもちゃ屋さんに立ち寄った際にお願いしてみることにした。


「ソルお兄様。私と同じ瞳の色のあの白い羊のぬいぐるみが欲しいです。」  

 私は棚に置かれている白い羊のぬいぐるみを指差す。


「…」

 ソルお兄様は目を見開いて、驚いた顔をしていた。

「ソルお兄様??」

「っ!!…なんでもないぞ。」

 ソルお兄様は私の頭を優しく撫でてくるが、なぜ撫でられたのかはわからなかった。



「はい、ぬいぐるみだ。」

 ソルお兄様から白い羊のぬいぐるみを受け取る。

「ソルお兄様、ありがとうございます!大切にします!!」

 もちろん、感謝の気持ちも忘れない。

「あぁ。」

 そう返事した直後、再びソルお兄様は私の頭を撫で始める。

「あのー?先程からなぜ私の頭を撫でてくるのですか?」

「なんでだろうな?」

 ソルお兄様はニッコリと笑うだけで教えてはくれない。

「気になります〜!!教えてください!!」

  


 あれからソルお兄様にしつこく聞いてみたけど、残念ながら上手い具合にはぐらかされて、理由を教えて貰うことはできなかった。

         


✽✽✽

_一方、城では


 城の兵士たちは城中を忍び足で走りまわる。

「おい。見つかったか?」

「いや、まだだ…」

「…ったく。なんで俺達が()()()()王子の捜索なんかをしないといけないんだよ。…いっそこのまま野垂れ死んでくれねぇかな。」

「しっ!!お前。ここがどこかわかってるのか?!…その呼び方はここでは控えろ。一応、あの方はこの国の王族だ。無礼な発言は許されないぞ。」

「大丈夫、大丈夫。今は誰も聞いてねぇって。」



『…』

 一人の少年は木の上で身を潜めながら、先程から聞こえる二人の兵士の会話を聞いていた。


「とりあえず、まだ城内にはいるはずだ。急いで見つけ出すぞ。」


 兵士が通り過ぎるのを確認した少年は隙を見て、木から飛び降る。

『…あんな息が詰まるところにいたって、苦しいだけじゃねぇか。』

 少年は風魔法を使って空を飛び、城から抜け出すのであった。


_黒い少年が白い少女に出会うまで残り3日。



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