3話 綺麗な青空
「っ!!」
私は勢いよく飛び起き上がる。
(思い出した!!私には前世の記憶が…)
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まだ少し記憶が混乱している為、情報整理をしようと思っていたのだが…
「お嬢様。お目覚めになってたのですね!…旦那様達にお伝えしないと!」
「ちょっ!…」
待ってと言おうとした私の言葉は届くことなく、メイドは素早く部屋を出ていってしまった。
(まずは心配をかけてしまった家族皆に会うことが先かな。)
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「「レムー!」」
家族全員が一斉に私のもとに駆け寄ってきた。
ちなみに、私の家の家族構成は父と母、そして兄2人と姉1人と私の6人家族だ。
『レムは3日も熱で寝込んでたのよ?…もう体調は大丈夫なの?』
今、優しくわたしの体調を気にしてくれてる女性が今世の私の母。ミラ・ホワイトである。
『無事目が覚めてよかった…』
穏やかで優しい私の父。ルーク・ホワイト。
ホワイト伯爵家の立派な当主だ。
『本当に大丈夫か?無理してないか?』
ソル・ホワイト。太陽のように明るく、面倒見のいい1番上のお兄様だ。
『また体調が悪くなるようなことがあったらすぐに言うのよ?』
ルーナ・ホワイト。とても9歳とは思えないくらい落ち着いていて、大人っぽい性格。ソルお兄様の次に生まれたお姉様だ。
『無理…しちゃダメ…』
普段は静かで口数が少ないんだけど、とても優しい性格であるノア・ホワイト。私とは2歳違いのお兄様。
(3日も熱に苦しんでいたなんて…家族皆には本当に心配かけさせちゃったな…)
「お父様。お母様。ソルお兄様。ルーナお姉様。ノアお兄様。ご心配おかけしてしまい、申し訳ありませんでした。もう大丈夫です。」
私は家族に安心してもらえるように、笑顔で笑った。
『『っ!!』』
なぜか家族全員の顔がぴしりと固まってしまう。
(??みんなどうしたのかな?)
そう疑問に思っていると、お父様が場の空気を変えるように咳き込んだ後、話し出す。
「とりあえず、レムは明日までしっかり休むこと…わかった?」
「はい。わかりました。」
私は素直に返事をした。
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3日後…
ノートとペンを用意してもらって、私は今後の目標について書き記していく。
「人生の目標…それはもちろん『健やかな安眠をすること!!』」
前世では家族も恋人もいなくて、ひたすら仕事をする日々を送っていた。そんな私にとって睡眠はまさに至福の時間だった。
一時期、安眠グッズやアロマなどを買い集めていたほどに睡眠…寝ることが大好きだった。
今世では恐らく前世のように過酷な労働をすることはないはずだ。だから、前世ではできなかった「健やかな安眠」をすることができるかもしれない。
私はこれから目指す「健やかな安眠」に心躍らせながら、1人天井に向かって拳を思いっきり突き上げる。
『「健やかな安眠」を目指して、これから頑張るぞー!…おーー!!』
この日の空は新しい人生の始まりにぴったりな綺麗な青空だった。