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眠り姫はのんびり寝たい〜王子様の溺愛はいりません!〜  作者: 幻影の宵
転生と出会い編

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25/25

25話 夢から覚めたら何を想う?

残虐なシーン再来です。R15です。



(…夢の中だ。)




 前世を含めても、夢の中で夢だと自覚することができたのは、今回が初めてだった。




 自覚できてるってことは、自由に遊べるじゃん!!!って思っていたのに…その希望は秒で潰えた。


『ねぇ、あれ見ました?』


『えぇ。見ましたわ。噂通り、なんて禍々しい容姿なのでしょうか…』



 突然場面が代わり、とある貴族婦人たちの会話になっていた。


 また場面が代わり今度は少し中年のおじさん貴族たちの会話に変わる。


『きっと、あれはライラックに災いを引き起こす。…見ていて気味が悪くてしょうがない。』


 お酒を飲みながら楽しそうに話す。周りも酒を飲みながらそれに乗っかって楽しそうにしていた。


(人の悪口が酒の肴なんて、趣味が悪いな…本当、この夢って一体なんなんだろう?)


 知らない場所、知らない人ばかり出てくるのに、やけに再現度が高い。


 そして、再び場面が移り変わった_




**

『本当。あの餓鬼ガキ、馬鹿だよねぇー。呪われた王子を愛する人なんて1人もいないのにね?』


 1人のメイドが馬鹿にしたような笑みと声色で、もう1人のメイドと話しているようだった。


『きっと陛下も王后陛下も殿下も…あの()()()()()()のことなんて本当は愛していないのね。一切顔を出さなくなったのが証拠じゃない。』




(王子?…もしかして)




 また、展開が変わった_





**

「ここは…どこだろう?見たことはないけど、なんか王城の雰囲気っぽいし、別棟か何かの建物なのかな?」


 しばらく辺りを散策していると、前方に男の人が立っていた。


 _ただし、その手には血塗られたナイフが握られていた。一滴、また一滴と、血がナイフの刃先から地面に落ちっていくのが見える。



(夢と自覚しててよかった…そうじゃなかったら、もっと(精神的)絶対ダメージ受けてた。)


 一瞬の瞬きの内に、展開が変わり、さっきまで、前方に立っていた男が黒髪の子供に接近する場面へと変わっていた。


 …もちろん、先程の血塗られたナイフをもったまま_



 私の心臓は嫌な音を立てた。


『すべてはライラックのために…』


 男を前に、私より幼く見える黒髪の男の子が真っ青な顔で男を見ていた。


私は無我夢中で駆け出し、気づけば男の子の前に立っていた。


『すべてはライラックのために…すべてはライラックのために…(省略)』


 狂気的すぎて、なんか怖いよー!!!!!


国の名前を連呼してるのも怖いけど、目が虚ろで灰暗いのも怖かった。


 目の前を捉えているようでどこか空虚。でも、この男の子を捉えてるのだけは、すごく伝わる。そんな可笑しな瞳。その瞳は私の体を自然と硬直させた。


 けど、何か行動を起こさないとやられるのは確実だと思った。


「これは夢…これは夢…」


 そう自分に言い聞かせながら、私は男のもとへ正面で突っ込んでいき、脛を思いっきり蹴りとばした。勢いをつけたのもあって、男はうぅと唸りながらその場でしゃがんだ。



「今の内!!走るよ!!!」



 私はその隙を見逃さず、急いで男の子の手をひいて走り出す。


(これで追ってきたらホラーだよ。来ませんように!!)


 走ってる最中、男の子はこう呟いた。


「…夢の中でもお前は騒がしいんだな。」


 聞き覚えがある声だと思い振り返る。私が手を引いていた黒髪の男の子はルイ殿下だった。


 それに今の発言から、殿下もここが夢であることを自覚しているのだとわかった。


「も、もしかして、いつも殿下が見てる悪夢ってこれらのことなんですか?!」


 走り続けながら私は質問する。


「そうだ。」


 私が思ってたよりも生々しくて怖い悪夢なんですけど_


 おばけが出てきて怖いー!みたいな子供らしい悪夢だと思ってたのに、怖さレベルが子供が見る悪夢レベルをとうに超えている。想像以上に怖すぎ!!大人でも発狂ものの恐怖だよ。


 私は虚ろ目の男が追ってこないのを確認して、私は脚を止める。


「ちなみにですが、今、私が割り込んでなかったら、どうなるんですか?」


「現実だったら兵士が食い止めるが、夢では、眼球にナイフが当たるくらいのところまでで振り下ろされて夢が終わる。」




(え、現実??…)


 それが本当なら、殿下が言っていた悪夢は、殿下視点で現実に起こった恐ろしい出来事が再現された夢だったらしい。



「この夢を見ているなら、お前も聞いただろ?貴族や使用人がしていた俺の悪口を。」



 ・・・第2王子の人生、子供時代からだいぶハードモードすぎるでしょ!!


 ルイ殿下の表情は疲れた表情をしているように見えた。でもそうだよね。悪意を向けられ続けて慣れることはあっても傷つかなくなるわけじゃない。



(ルイ殿下は、自分の心を守るために王城から離れる事にしたのかな。)




 別にその選択肢が間違ってると否定するつもりはない。そもそも殿下を否定するなんてこと本来はできない。私はただの侯爵家の末っ子娘だから。


 でも、私はふと思ってしまった。"もったいない"と…




 これ以上、踏み込むつもりはなかったけど、あんな悪夢みせられて、このまま殿下を見捨てるようなら、罪悪感で私も悪夢に苛まれてしまう気がしてしまった。  


…そう、これはあくまで心地よい安眠をするため。殿下のためじゃない。




「なぜ殿下が殿下を傷つけた人たちのために、出ていかないといけないんですか。」



 私は、彼の目を見る。


「なら、ずっと陰口を聞き続けないといけないのか?」


 睨まれて一瞬怯んでしまったけど、私は話を続けた。


「殿下は、"権力"という武器があるのに、なぜ使わないのですか?賢い殿下ならいくらでも有効活用できるはずではないですか?」


「俺はこれでも王族だ。とはいえ私欲のために権力を振りかざすつもりはない。」


「真面目で優しいんですね。…でもそれで自分が辛いままなら意味ないと思いますよ。」


「……」


それには反論できないようだ。


「これは個人的な意見ではありますが…時には自分を守るために権力を使っても罰は当たらないじゃないかなーって思いますよ。まぁ、流石に限度がないわけではないでしょうけど…」


 強く信じて、結局裏切られてしまうなら信じることに意味なんて見い出せるわけないだろうし、無理に信じようとしても疲れるのが目に見える。


ならそんな殿下に残されたのは、自分の武器をいかに有効に余すことなく使うかだと思う。


「とまぁベラベラと私個人の意見を言いましたが、お父様には内緒にしてくださいね。殿下に向かって何偉そうに話しているんだ。なんて怒られるのが目に見えるので。」


「………」


 次の瞬間、目の前が真っ白になっていく。




(え!!何何?)

  

 夢の中が崩れていく… 

ま、まさかの夢強制終了?!


「ルイ殿下ー!またあとで!」

 

 そう言って私の意識は途絶えた。




✳✳

 私は目を覚ます。外はもう朝になっていたようで、カーテンの隙間から光が漏れ出ていた。


(もう朝?…)


 寝てはいたけど夢の中で色々ありすぎて、疲れた…。いつもより寝た気がしなかった。


 隣を見るとルイ殿下も目を覚ましていた。というか、寝顔覗くくらいなら起こしてもよくない??とは思ったけど、声には出さない。


「お、おはようございます。その…大丈夫ですか?」

「平気だ。」


 本当かな?と思って殿下の顔色を見る。


「お前のおかげでいつもとは違う結末だったから、それで充分だ。」

「そうですか。」

「そんな顔するな。これは俺の問題だ。お前がそこまで考える必要はないだろ。」


 ルイ殿下の言う通りだ。初めて会ったばかりの5歳児にできることなんてきっと何も無い。

わかってはいるけれど、このもやもやは拭えなかった。その心情がどうやら表情に出てたようだ。


「それはそうと…手を離していただけませんか?」



 よくよく考えたら、急いで部屋に戻らないと、夜に殿下の部屋に無断で入ったのがバレて、お父様に怒られてしまう。


 ヤバい。欲に目が眩んで、先走って、挙句の果てに粗相を起こしたことがバレる…


「その…手を繋ぐ理由はなくなりましたよね?もう今は起きていますし…」

「断る。」

「え?断る??!!」


 ルイ殿下は私を掴む手を強めてきた。なんかデジャヴ…!!


「…嘘だ。」



 殿下は小さく笑いながら手を緩め手を離した。


(か、揶揄われたっ∥)


 私は失礼しました!!と言ってダッシュで部屋を出ていった。





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