24話 side黒い少年③
「お待たせしました。お水です。」
アイツは俺に水を差し出す。
(毒…)
俺は毒が入れられてないか警戒する。
別棟では、刺客によって毒殺されかけたことがあった。だから、安易に受け取ることができないでいた。
(別棟に移る前の俺だったら、素直に受け取れていたんだろうな。)
なんとか、受け取ろうとしようと思っても、体が動かない。
『…。ルイ殿下少しお待ちください。』
そう言うと、アイツは少しだけ水を飲み、俺に毒がないことを示してから、水の入ったコップを渡してきた。…なぜドヤ顔してるのかはわからないが、アイツなりに気遣ってくれたんだろう。
俺はまだ少し恐れつつもコップを受け取り水をゆっくり飲み干した。
(やはり毒はなかったな。)
俺が飲み干したのを確認したときにアイツは、安堵の表情を浮かべていた。
『おかわりはいりますか?』
「いらない。」
わかりましたと言ってあいつはさり気なく部屋を出ていこうしているが、見逃すわけがなかった。俺は勝手にいなくならないように、また、アイツの腕を掴んだ。
掴まれた本人は…
『まだ自分の部屋に戻れそうにないかぁ…。寝たい。』と心の声が漏れていた。もちろん、本人は気づいてなかった。
**
「俺と兄上を比べてどう思う?」
『??。お二人とも、綺麗な顔立ちだなーと思います。』
(うん。そういうことが聞きたいわけじゃない。こいつ天然かそれとも、ただの馬鹿?)
「…俺の容姿だ。気づくことがあるだろ?」
『………????』
(こいつ…本当に気付いてなかったのかよ。)
アイツはきょとんと不思議そうな顔をしている。
「父…陛下も、兄上も髪も瞳の色は、俺と違って薄紫色だっただろ。」
家族みんな同じで俺だけが違う。
紛い者は嫌われる。残念ながらそれが現実、どんなに建前や言葉を吐いても、嫌われるときは嫌われる。
「…お前もどうせ…化物だと思うんだろ。」
(内心お前も思っていたんだろ?…言えよ。俺は化け物だと‥‥なぁ、言えよ。)
あいつは、俺の望む言葉を言わなかった。
『思ってないです。先程、言ったじゃないですか。"綺麗"だと。』
アイツは、はっきりとそう言った。俺は、この色を綺麗と言われる日が来るとは思わず、俺はアイツの言葉になんて返せばいいかわからなくなっていた。
『…ふっ、俺をおだてるように伯爵に言われたのか?』
しかし、今の俺はその言葉を素直に受け入れられるほど、周りが信じられる訳ではなかった。そんな俺が今返せるセリフは、この皮肉っぽいセリフでしかなかった。
『”信じたくないなら信じなくていいです”』
俺が返した皮肉をっぽい言葉を聞いても、こいつは、淡々と返すだけだった。
疑ってばかりだというのに、それを責めることも、否定されることもなかった。
そんなことは置いといて。といいながら、アイツは話題を変えた。
『…それよりルイ殿下。殿下は何日かかけて逃亡していたんですよね?寝ていないんですか??』
…会話を変えてまで、聞きたかった事ってそれかよ。
(出会って初めから思っていたが、こいつって変人だよな。)
内心呆れながらも俺はアイツの質問に答えた。
「…追っ手から逃げていたんだぞ。寝れてるわけないだろう。」
逃亡してる隙間に何時間も寝れているわけがない。ちゃんとそれを説明した後、説明を聞いたあいつは下を向いた。
『…も…………すか(ボソッ)』
声が小さすぎて聞き取れなかった。
「今なんていった?」
そう聞くと、下を向いていたアイツはいきなり顔をあげる。俺の顔の至近距離まで近づいてきて_
「‥‥”問題大アリじゃないですか!!”と言ったんですよー!!」
なぜかキレられた。さっき俺に皮肉っぽい言われされてに怒ることがなかった奴が、なぜ怒るのかは理解できなかった。怒ったのかと思っていたら、また、下を向いてぶつぶつと1人呟いていた。
『睡眠は大切だというのに1時間も寝てないだなんて…由々しき事態。こんな状況、睡眠愛好家(自称)の私が許さない!(ボソッ』
心の声が漏れていることに、当然ながら本人は気づいてないな。ってか、睡眠愛好家(自称)ってなんだよ…
『今すぐ寝てください!!』
「なんでお前にそんなことまで、言われないといけないんだよ。」
『…』
俺の言葉を無視して、アイツは俺の顔をじーっと見てくる。
(近すぎだろ!!)
アイツは本当に遠慮がなくなってきたようで、俺の発言をスルーし出している。これでも俺は王族なんだが‥‥
「…怖い夢をみるせいであまり寝れないんですか?」
だからなんだ?そんなこと聞いて何になるんだ。
「じゃあ、私と手を繋いで寝るのはどうですか??」
『……はぁ?!」
じゃあってなんだよ。じゃあって…。急にぶっ飛んだことを言い出すコイツの頭の中は一体どうなってるんだ??
俺は完全にあいつペースに飲まれていた。
(本当に何なんだよこいつ!!)
『仮に悪夢をみても、隣に人がいると安心するものなのかなーって思いまして。あ、でも初対面の私だと余計気が休まないですかね?』
きょとんと顔を傾げてくる。
「……いいだろう。試してみろ。」
そういうと、あいつは、ぱあっと笑いながら、失礼しますと言って俺と同じ布団に入ってきた。
「怖い夢みたら遠慮なく起こしてくださいね!!それではおやすみなさい。」
『あぁ。おやすみ。』
そういってすぐ隣のアイツをみたら、…もう眠っていた。いくらなんでも早すぎだろ。
(理由つけてでも寝たかったんだな。)
俺を思っての発言に聞こえるが、自分が寝たかったという理由とで、五分五分ってところだったんだろうな。心の声が漏れたときに寝たい…とは言っていたから確証はある。
あいつからやってきたとはいえ、途中から引き留めていたのは俺だったからな。しょうがないから突っ込まないでおいた。
『ルイ殿下!!!』
いきなり、あいつが声をはってきたものだから、当然驚く。
「なんだ。起きていたんだな。」
『いい加減、寝て…くだ…しゃい……寝にゃいと、心身共に休まない…です…かりゃ…』
「……寝言だったか。」
夢の中でも俺に寝ろって言ってるあたり、だいぶしつこい。
自分の欲に忠実かと思えば、他者の心配もするし、こいつは色々と変な奴だ。
「…まぁでも、またあんな夢をみるくらいなら、寝ろーとしつこく言ってくるお前が出てくる夢の方がマシなのかもな。」
俺の体も流石に限界だったようで、どんどん眠気に引っ張られていく。
俺は仕方なく意識を手放すことにした。
頭に浮かんでても表現が‥‥
表現力と語彙力が欲しい‥(´;ω;`)




