2話 女神様と転生
私は勢いよく起き上がる。
「ここはどこ?…たしか事故にあって死んだはずじゃ…だとしたらここは天国??」
『その通りです。』
「!!」
『こんにちは。崎口紗夜さん。』
美しい女神様が優しく微笑みながら、私の目の前に舞い降りてきた。
(綺麗な方だなぁ…)
あまりの美しさに目を奪われてしまう。
『…私の名前はサリアと申します。お気付きだと思いますが、女神です。どうぞ「サリア」とお呼びください。」
「え、えーと…じゃあ…サリア様。」
『呼び捨てでも良いのですよ?』
私は首を振る。
(こんなに美しい女神様に呼び捨てなんて出来る訳がない!!…だって、あの女神様だよ?!)
『そうですか…』
少し女神様は残念がっているが、これはしょうがない。私に女神様を呼び捨てにする勇気なんてなかった。
**
『いきなりですが、貴方には異世界に転生していただきたいと思います。』
「え?異世界?」
急すぎて言葉の理解に時間がかかった。
『そうです。これから詳しく説明をしますね…』
その後、私は女神様からその世界について詳しく聞くことができ、おかげである程度のことは把握することができた。
「なるほど…」
…女神様の話をまとめると、私が転生する世界は剣と魔法、そして貴族階級が存在している世界だそうだ。
妖精や精霊、ドラゴンも存在してるらしく、theファンタジーな世界という感じらしい。
『転生するにあたって、言語理解は自動的に転生者特典に入っております。それ以外で何かご要望はございますか?』
「要望ですか?……それなら…」
**
『…なるほど。わかりました。今言ったものに当てはまるスキルと……魔力適正・全属性を特典に追加しておきますね。』
女神様は画面のようなものを表示させて、操作する。
今の話の後半部分をまったく聞いてなかったけど、さっき言った特典を追加してくれてるんだろうなー。
っなんて思ってた私は、話をしっかり聞いてなかったことを後々、後悔することになる_
✽✽
「女神様。何から何までありがとうございます。」
私は頭を下げる。
『いいのですよ。これくらいどうってことありません…から。』
なぜか女神様の表情が曇ったような気がしたんだけど、気の所為だったかな??
『準備が整いました。これより転生を開始します。』
「っ!!」
私の足元から光が放たれる。
「サリア様。本当にありがとうございました。それでは行ってきますね!」
『っ!』
女神様に笑顔を向けた直後、女神様は一瞬だけ驚いた顔をしていたように見えた。
そして、私の記憶はここで途絶えるのであった。
**
『何度転生しても__様は変わりませんね。』
女神の頬の上には一粒の雫がこぼれ落ちていた…